発達障害のトラウマケアについて考える


発達障害のトラウマケアは二次障害の文脈でも語られることが多いと思います。
このコラムでは発達障害への心理支援に専門家として長く関わってきた且つ、発達障害の私自身の経験をもとに総論的な解説をします。第一回目は、事件発生時の対応について解説したいと思います。



目次

発達障害のトラウマケアについて考える

心の傷付きを臨床心理学用語でトラウマというわけですが、僕はこの言葉を使いません。
発達障害もそうですが、そこには様々な現象が含まれていて、「専門用語」を使うとわかった気になって具体的な一つ一つの
事例と対処法について見失うからです。その結果、総論的な本質をも見失うことが多いでしょう。

そのようなわけで、人生数十年、多くの心の傷を人なり?に抱えてきている私の中で最近抱えた心の傷といえる大きな事件を紹介したいと思います。
題して「S字カーブDEバイク大破事件2017」です。長らく記事にしてこなかったことを考えると、ようやく傷のかさぶたが取れたのかもしれません。
それは心の傷もそうですが、文字通り足の傷もそうです。なかなか古傷がうずいて治らなかったんですよね。


古傷がうずくといえばかっこいいけれども、事件の概要は、S字カーブで曲がり切れずバイクが縁石にぶつかり大破したという、先の題名からほとんど情報が追加されることのない本当にダサ自損事故です。どれくらいダサいかというと、駆け付けた知り合いの医療関係者が勧める救急車を断り、絆創膏、消毒液すら「イヤ!ダイジョウブデス!アレ?先生知らないんですか?消毒液って最近の学校保健室では使わない方がいいって言われてるんですよ!(高音)」と謎に説教(ダサポイント1)。
そして得意げに見せびらかす事故直後のバイク映像写真。後に判明するのですが、私は事故直後に大破したバイクをスマホでネタとして撮影して見せていたと思ったのですが、その写真には何も写っていない灰色のアスファルトだけで、「ホラ!ホラ!ホラ!(高音)」と見せ迫る沢に彼は何が何だかよくわからなかったそうです(ダサポイント2)。
とどめに、レッカー車を待っている間「時間もったいないからカラオケ行きましょう!」と連れ込み、18の夜に盗んだバイクで走り出すドウノコウノを歌う始末(ダサポイント3)。

話が長くなるので、免許取り立て実は新車1ヵ月のバイクをレッカーし、着いた購入元バイク屋で全く同じ新しいバイクを買う等のダサポイント4以降は、省略します。

心の傷は、時間とともに大きくなる

何が言いたいかと言いますと、何か大きな心の傷を負った瞬間は、当人、感覚が麻痺していて気が付いていないということです。それは体の傷も同じで、本当に痛くなったのは1週間後です。心の傷も、「あー対向車来てたら死んでたんだなぁー」、「やっぱり通帳からは1台目のバイクと全く同じ金額が引き落とされてるんだなぁー」「なにより医療関係者の友人に分けわからない態度をとってしまったなぁー」と1週間あたりから徐々に心が痛んでくるものなのです。特に発達の偏りがあると自負する私にとってみたらその認識は、普通よりかなり遅いとも思いますし、そのあたりは個人差でもっと遅い人もいると思います。

心の傷を負った直後であろう人への接し方

だから、このコラムを読んでいるあなたはきっと心の傷に興味があって、私の友人のように支援してくれる心広い人たちと思うので、私のような心の傷を負った人へのタスケサポートポイント略してタサポイントをお伝えします。

タサポイント1 事件直後、当人は辛さに気がついていないことが多い。平気な顔しているし、逆になんかハイになっていて変なことをしていることも多いと思います。「君は結構傷ついているんだよ。」と伝えても私のように意味ないことが多いし、無駄な反論をしてくることも予想されるので、家族に連絡したり、本当にバイクその場で二台目契約する必要があるの?とか、車道に飛び出して再び写真撮影等しはじめないように、現実的な対応と寄り添うことが大事だと思います。(傷つきの自覚は基本的に張本人のペースで時間をかけてじょじょにやってもらう作業と捉えていただくと幸いです。種が腐るので決して、水を多くあげたり掘り返したりしないようにしましょう。日当たりのいいところに置くだけで問題ありません)

次回は、発達障害のトラウマケアとして、事件発生からしばらく時間的経過した後の話をしてみようと思います。

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この記事を書いた人

沢 哲司(医学博士/臨床心理士/公認心理師)のアバター 沢 哲司(医学博士/臨床心理士/公認心理師) 医学博士/臨床心理士/公認心理師

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