発達障害の二次障害について考える

発達障害のトラウマケアは二次障害の文脈でも語られることが多いと思います。
このコラムでは発達障害への心理支援に専門家として長く関わってきた且つ、発達障害の私自身の経験をもとに
総論的な解説をします。第2回目は、事件発生後の対応について解説したいと思います。
ここからでも読めますが、一応シリーズモノですので、事件発生直後については次をご覧ください。
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目次

発達障害の二次障害について考える

『コケタ、バイクで。』
これは私が当時、Twitter映えを期待して投稿したコメントです。
昔のことなので定かではないのですが、バイクの横転&ぶっ飛び具合を倒置法で表現するウィットに酔っていた気がします。今読むのはとても心が痛い。
なぜ当時のTwitterを見返すのが辛いのでしょうか。やっぱり、事件直後のカラ元気だった自分やまだ何も現実がわかっていないで浮かれているあの頃を思い出すからでしょう。第一回で触れたとおり、事件直後は心も体も痛くないのですが、そこから月日経つにつれてピークへ向けてどんどん痛くなっていきます。

そのピークは事件×認識力の相互作用だと思うので人それぞれだと思いますが、発達障害の方(自分)は、特定の情報について独特な認識の仕方があるので認識がおくれていつまでもヘラヘラしているように見えることがあるかもしれません。今回は著者のバイク事故ですが、よくあるのは学校での仲間関係をようやく「いじめ」と認識して数十年経ってから傷つきはじめることなどもあります。私も2分前に、とうとう数年の歳月を経てめでたく自分のTwitter投稿を「恥」と認識するに至りました。つまり、発達の偏りそのものではなく、それが理由の一つとしてブレーキ効かず投稿されてしまった記事とその反応に傷つきを感じております。いや、みんな優しくコメントしてくれてるんですけれど、今とても恥ずかしいのです。あの時の気持ちはわからないけれど、もうTwitterなんてしない!二つの意味でブレーキが効かず起きた事故に悩み、そして、その現象を避けてしまうこと。これは完全に二次的な障害です。そういえば、バイクも1カ月は乗る気にならなかったな。Twitterは今思うと本当に恥ずかしいな。

というか、やっぱり題名がイタい。バイクで社会に迷惑かけた挙句、なにやってんだ。
と、当時をやっぱり想起して心が痛くなるんですよね。

「あ”ーーーー」の疑似体験をしてみよう!

そう、中2頃にみんなもカッコつけてやっていたことを今になって思い出してみませんか?そっちじゃなくて、奥深く忘れたい方のやつです。どうです?ダサダサで思い出すだけでも「あ”ーーーー」ってなりません?ょ?あの感覚です。
当時大流行してた、エヴァンゲリオンの「人類補完計画」に準えて、「友達止めよう計画発動したから!」といって、孤独で学生生活を送る宣言なんかしなければよかった!(同日ヒトマルマルサンに計画倒れる)実は、さすがに、この計画は私の計画ではなく、今もつながりある橋本光雄君の黒歴史なので彼が今この記事を読んで「あ”ーーーー」ってなっているはずですけど。いいたいことは、そう!僕ら体はもちろん、心に関しても「イタい」思い出には「あ”ーーーー」ってなるのです。自分で思い出す分にはまだいいのですが、人から強制的に思い出させられて「あ”ーーーー」ってなることは本当に最悪ですよね。心理士はもちろん、人としても絶対に意図的にはやってはいけないことなのです。基本的にね。

発達の偏りある人は不器用なこと多いから「あ”ーーー」って思い出すことも多いんじゃないかな(自分)。

あの「あ”ーーーー」は何なんでしょうか。心理士として分析すると、もう分析もできないから「あ”ーーーー」なんですが・・・強いていうなら、もっと自分はああしておけばよかった(後悔)とか、周りからどう見られていたんだろう(恥)とか、また同じ目にあったらどうしよう(不安)、なんでこんなことに(怒り)、でしょうか。そもそも、バイク事故の発端はツイートはもちろん、誰も見てないカーブでカッコつけて曲がりたい「曲がり映え」の衝動に駆られたことなわけです。教習所では「(安全)だろう運転ではなく、(危険)かもしれない運転でいきましょう」と教わり、結果的に「(かっこいい)かもしれない運転」で激しく転倒、縁石にぶつかり大破いたしました。

その後の心と体の反応

ようやく最近はなくなりましたが、事故後5年間くらいはS字カーブで曲がるとき、一気に体が硬くなって緊張するんですよね。みなさんも車運転しているとき、こんなご経験ありませんか?流れに流れまくっている道路で、いきなり強いブレーキ踏む前の車。車間距離無かったらぶつかってたぞ!みたいな車。なんなんだ、あいつは馬鹿か!みたいな車、もしくはバイク。それ、僕です。S字カーブが前方にみえた時はもちろん、△マークの中にS字があると、もうそれは極度にスピードを落とす癖?体反応がついてしまったのです。いや、これは癖なんかじゃなくて、意識すらしていない自動的な反応です。△+Sの黄色い標識を見ただけで体がこわばるのでございます。国際学会の三角ネームプレートの中にSawaと書かれていた名札を配られたって体が強張る自信すらあります。というわけで、世の中には色々な形で事故を起こしている車が多くいるわけで、それぞれのご経験でそれぞれの思い出で急ブレーキを踏んでしまうことがあるのでしょう。信号、横断歩道、猫、松、竹、梅・・・。

付け加えておくと、人類の心理特性として「保続のミス」というものがあります。ルールが変わった状況でも相変わらず同じルールで行動してしまうことです。2年2組のあなたが3年1組に進級したとき、4月10日にうっかり2年2組に入っていってしまったことってないですか?ウォシュレットのないトイレでボタンをついつい探したことないですか?今の彼女の名前を昔の彼女の名前で呼んだことありませんか?そーゆーのを保続のミスというのですが、発達の偏りがある人に強く出やすいと言われています(談・例をコンプリートした者より)。私も事故後、S字に潜む悪魔とツルツルマンホールの存在を知ったわけですし、何より安全意識も向上しているわけで前の状況とはかなり違うの100も承知ですが身が竦んでしまってたのですよ。なかなか治らなかったことを鑑みても、やっぱり保続のミスを重ねる傾向も関係しているように思います。

しかしですよ!保続のミスは「ミス」というと嫌な気がしますが、ルールの変更は許さない、頑固職人タイプには必要な特性だと思っています。彼女の名前は3カ月経つまで高頻度で言い間違えてた私ですが、一度設定した「いい心理臨床をする」というスタンスはブレないでいると思っています。結果、大学教員の地位も捨てる覚悟をしたわけですが、それはおいておいて・・・一度強く入った失敗経験ってなかなか拭えないんですよね。人類は。発達偏りある人は特に。そのモジュールがないと、何台バイクと命あっても足りません。保続のミスは「ミス」ではなくて、職人肌な感覚、そしてミスを防ぐものとも言えます。モノはいいようようですね。

ココロの回復過程

さて、そんな僕が、どうやってサンカクエスマークを克服できたのか。それは…気が付いたら気にならなくなってました!なんなら、コケた現場も事故時より速いスピードで「リベンジ!」とかいって法定速度ギリギリで駆け抜けてますね。なぜだろう。時間が解決してくれたんだと思います。そして、やっぱりバイク楽しいからですね。最高に生産性高い乗り物だからですね。使い古された言葉ですけれど、バイクが僕を傷つけ、そんなバイクに癒されたわけです。前回登場した、先生(敏腕柔整師院長)にも申し訳なく会うたびに「あ”ーーー」ってなってましたけど、変わらない付き合いをしてくれたおかげで今はなんとも思いません。というか、彼様に限っていえば3日目くらいから何とも思わなくなりました。一つ余談なのですが、「打撲」って整骨院で治り早くなるんですね!いえ、昔、違うところにいったことあるんですけど、逆に痛くなったんですよね。しかし、友人先生は敏腕柔整師院長です。整骨院に通うと、あんなに打撲が早く治るなんて思いませんでした。あれ、余談と思いきや、大事ななことを言っていたので以下にまとめと解説を最後します。



今回の話のまとめ

1.心の傷は、基本的に多くの場合はその人のペースで時間が解決してくれる。
基本的に他人が掘り返していけません。友達止めよう計画がまた発動しかねません。これもよくいわれることですが、友人なら友人、家族なら家族としてふつうに寄り添うことが大事かなと思います。(ふつうが一番難しいと偏りある僕はわかってますが。)
2.解釈をみつめてみる
ご自身の心の傷を見つめようと勇気をふり絞っている方がこれを読んでくださっているのなら、ほんの小さなヒントとして、その現象の解釈・体験を見直してみることがご提案できるかもしれません。なんというか、バイクが傷つけ、バイクが癒してくれた的な。人(仲間)によって傷つけられたけど、人(仲間)によって癒された部分がある的な。そんな後者の解釈をご自身のペースで見つけられることは少なくとも立ち直りの指標にはなっているはずです。
が、は?何いってんの?と思うのなら、それは私が間違っているので、そっとこの画面を閉じられるのが良いと思います。・・・と思いましたが、最後に一つだけ言わせてください。
3.専門家に相談してみよう
似た・同じ資格名でも、いろいろな専門家がおります。特に心理士は他記事でも述べていますが、千差万別です。ぜひ、ご自身にあった専門家を見つけることもあきらめないでみてください。5人目、10人目でたどり着いたという話もよくお聞きします。

そう、そのためにも私は使命としてこれから自分の考えや実践を発信しなければならない!マッチングするクライアントに来てもらうために!

もし君に1つだけ、強がりを言えるのなら
もうTwitterなんてしないなんて、言わないよ絶対
[sen]

【次の記事】
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この記事を書いた人

沢 哲司(医学博士/臨床心理士/公認心理師)のアバター 沢 哲司(医学博士/臨床心理士/公認心理師) 医学博士/臨床心理士/公認心理師

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