カウンセリング、発達相談、コンサルティングの違い

FromUの個人向け相談事業には、発達心理検査、カウンセリング、コンサルティングがあります。東京都北区赤羽にオフィスがあります。代表の沢哲司(臨床心理士/公認心理師/医学博士)は、大学と大学院で、脳や神経・心の多様性について研究・教育してきました。FromUの心理支援は、ここで培ったニューロダイバシティー(神経多様性)という考え方に基づいています。大事にしているのは、一人ひとりが生まれながらに持っている個性の有効活用です。

目次

発達心理検査/知能検査は、発達障害の診断に役立たせるだけではありません

 まず、発達心理検査では、努力で変えられる個性と、変えにくい個性の見極めを重視しています。知能・社会性・制御力の3つの視点で、その人の個性を立体的に評価していきます。検査と聞くと怖いイメージがありますが、安心してください。発達心理検査で変えにくい部分や発達障害とよばれるような症状が明らかになったとしても、それは「障害」でなく「生かすべき特徴」と私たちはとらえていますし、変えられない苦手な部分は誰もが持っていることをFromUスタッフ自身が自分のこととして知っています。そこでFromUでは、検査の結果で明らかになった変えにくい部分は、無理に克服するのでなく、持って生まれた資質として深く理解し、あなたらしい人生を送れる戦略を提案します。戦略とは、無駄な戦いを省略するという意味です。たとえば、努力以外の部分で起こる「忘れ物」については、大事なものにスマホから居場所を鳴らせる忘れ物ITタグをつけ、くよくよしない社交的な性格をいかし、周囲から借りる戦略にマインドを切り替えるなどです。ただし、前述したようにひとり1人の特性は多様性に富むものです。たとえ同じ診断名でひとり1人はまったく違いますので、オーダーメイドで作られる戦略の提案とその土台になる検査パッケージはFromUの発達心理検査の腕の見せどころになります。発達心理検査には、時間と費用がかかりますが、そこで理解できる自分自身の特性は、一生モノといえるでしょう。

コンサルティングについて

 コンサルティングでは、検査のフィードバックと戦略をもとに希望の方を対象に環境との相互作用という観点から、一人ひとりの個性が発揮できるように継続的な支援をします。生活の中で使える心理学的な工夫や情報をお伝えします。また、学校や会社の環境調整を提案し、必要であれば橋渡しも直接的に実施いたします。他に環境調整として、提携している医療機関や教育機関を新しくご紹介することもできます。専門機関はどこに行けば良いか迷う方も多い中で、個性の有効活用という価値観で結ばれているFromUとの提携先は、連携もスムーズです。ハブとしてのFromUを活用することで無駄な労力を省略することを目指します。個性は複雑に成り立っていますので、環境とのマッチングは検査結果をもとにしながらも試行錯誤が重要です。そのため、FromUの提携先は、信頼できることはもちろん、「お試し」できることを重視しています。

カウンセリングについて

さて、個性は変えられる部分もあります。また、変えられるのに実は変えたくないために変わらないふりをしている部分もあります。

 カウンセリングでは、そうした変えられる部分へのアプローチです。たとえば、同じ「忘れ物ぐせ」であっても発達心理検査の結果から心理的に引き起こされていることが推測されれば改善される可能性があります。しかし変えられる部分の改善には大事な要素がもう一つあります。それは、変わりたい人自身が心から変わりたいと思っているかどうかです。カウンセリングの過程では、よくよく考えてみると症状と思っていたものが自分にとって大事で自分そのものだったということや、周りからいわれて変えなくてはならないと思っていたもので自分ではあまりそう思ってなかったとに気づくことが多くあります。おなじように、子どもに対して大人の価値観や経験をぶつけて子どもを思うように変えることを目的にカウンセリングやプレーセラピーをおこなっても変化は起こせません。変えられる部分を明確にして、その人自身から変わろうと思うことが変化の鍵です。マスコミなどの影響で心理学者が人を変えられると思われることも多いのですが、もしそうなら、この世界は心理学者が支配する世界になっているはずです。逆に、大学の研究や教育に基づけば、「人を変えられる」と呼び込むこと、症状ではなく変えられない部分である発達障害そのものを「治せる」という人や場所はかなり怪しいといえるでしょう。

カウンセリングのアプローチ

 では、変えられる部分に対してどのようなアプローチをとるのでしょうか。ここでは、カウンセリングを運動のトレーニングにたとえながら、2つのポイントを説明することにします。

 運動トレーニングでは、定期的に運動を実行し、目指したい目標に向けて体の癖や状態を確認し続けてゆけばフォームや体力の変化が期待できるでしょう。

 それと同じで、①定期的に自分を振り返ることを実行し、②目指したい自分に向けた「心の癖」に気をつけ続ければ、自分自身を変えることができるでしょう。

カウンセリングで自分を振り返る場をつくること

 しかし、忙しい現代人にとって、運動や、自分自身を振り返り続けるということはできそうに思えても、実際には、場所と時間が無いとできないものです。本来どこでもできるはずの運動でも会員制のスポーツジムが利用されるように、カウンセリングルームがあるのもそれと似ているところがあります。会費制のトレーニングジムを契約して定期的な運動の機会にするように、カウンセリングでは、その人が自分から自分を変える場所・時間を提供するというのが、ポイントの一つめです。スポーツジムとの相違点は、運動以上に毎週の同じ曜日と同じ時間の習慣化を大事にすることです。その理由として、目に見えない心をあつかうので、できるだけ間隔と状況を同じにすることで、カウンセリングで起こる心の変化はもちろん、休みや遅刻などの行動からも自分自身を振り返るきっかけにするためです。テレビドラマも同じ間隔で放映されていることに「人の動きを理解する」ポイントがあると考えています。ただ、遅刻・休みができないという意味ではないので、その際は早めに担当者までご相談ください。場合によっては、カウンセラー側の事情で休みになる週もあります。

カウンセリングで自分の心の癖に気づくこと

 次に、カウンセリングアプローチのポイントの2つめです。どのように、目指したい自分に向けた「心の癖」に気をつけられるのでしょうか。カウンセリングでは、運動トレーニング中に体の癖や状態をコーチにフィードバックをもらうように、カウンセラーは話す方の癖や状態をフィードバックします。たとえば、「幸せ」や「不安」という抽象概念を話し手がおっしゃられたときに、より深くその意味の説明をしていただくようにお聞きします。特に感情に関わる部分はその人の心の癖が表れやすいのでよくお聞きします。当たり前に使っていた言葉の意味を改めて考えてみると、自分の考え方や癖の解像度があがり、目に見えない心の状態がみえてきます。ちょうど、あたりまえに動かしていた体の「癖」を鏡の前でコーチと一緒に気がつくのと似ているかもしれません。運動であれば、その癖でスポーツがうまくいかないのかもしれません。心であれば、その癖で対人関係がうまくいかないのかもしれません。「幸せ」になりたいといっていたけれど、自分は具体的に将来何がしたいのか、いや、その言葉を使うことで具体的に何かやることが「不安」なのかもしれない。「不安」といったけれど、自分は周りから与えられないと動けないし、与えられないとどこかで人に対して腹が立ったり失望する部分を対人関係で繰り返してきたかもしれない、そうか、自分で動き始めなきゃいけないから不安なんだ…。といった具合に、つまり、「心の癖」に気づくには、対人関係で沸き起こる自分の複雑で多様な感情についての解像度を言葉であげていくことなのです。それに気がついて修正するかしないかは、最終的には自分次第になります。

 さて、複雑で多様な自分の感情の解像度をあげていくことが自分の「心の癖」を知る第一歩だとお伝えしました。カウンセリングでは、外の状況からの話しにはじまります。家族、上司、同僚との状況、対人関係です。そして、カウンセリングが進んでいくときまってカウンセラーとの関係についての話に展開します。外の人間関係で生じているのが「心の癖」ならばカウンセリングでの人間関係でも同じことが起こってくるからです。カウンセラーに対して今ここでの状況、対人関係について話すことは大事で、カウンセリングをわざわざ受ける最大の意味でもあります。外の状況の話は過去の話ですし、見えにくいので「体験」を伴いづらいですが、今ここでの話は、外に比べて話し手と聞き手で確認しやすく、また体験を伴います。「心の癖」を頭で理解しても人は変わりません。感情体験を伴った「あー自分はそうだったんだ。」と腹落ちしたときに人は変わります。他人とは何も感情が揺さぶられなかったのに、同じような体験であっても信頼した人間関係の中では感情が動き、自分が変わったという体験は心当たりある人も多いかと思います。

 お伝えしたとおり、カウンセリングでは感情や今ここでの話をすることが大事になるのですが、それはとても話しづらいことです。通常の人間関係の中では感情を調整して社会生活を営むものだからです。極端ですが、殺したい程の怒りや、何もしなくても与えてもらいたい甘えの気持ち、万能でなかった自分の悲しさなどが語られることもあります。しかし、自分で紡いだ自分の言葉は、まぎれもなく自分なのです。「いま、ここから、自分を生きる。」ための本音を感じて話すことには、トレーニングが必要なのです。

 そのために、カウンセラー側はカウンセリング中に気をつけていることがあります。それは、こちら側の話をしないということです。それは、カウンセラー側の興味で質問することや、沈黙が続いて気まずい雰囲気に負けてカウンセラー側が話をしてしまうことです。それは、話し手が言葉を紡ぐ機会を奪うことになります。また、話し手が「気まずい」と感じてそれを言葉に紡ぐ機会を奪うことにもなります。勇気を出してどうして気まずいか、気まずいとは何かを話すことが自分を変える感情を探し出すヒントになるかもしれません。感情は自分を変える力にもなりますが、自分を維持している力でもあります。「変える」というまえに、自分の中に何が起こっているのかみてみるのがカウンセリングなのかもしれません。

よくある質問

 最後に、よくある質問をご紹介します。

発達心理検査を受けないとカウンセリングを受けられない?

それについての判断は人それぞれで難しいところです。そして、そのためにも初回面接があります。そこで、どのようなパッケージを組み立てるか支援の方向性を説明し料金なども含めて話し合います。初回面接では困っていることや、目指したいことの他に生育歴、家族歴など「歴史」の部分をお聞きします。その歴史は、検査でもカウンセリングでも、また自分を知るうえの仮説にもなるものなので、試しにそれだけをお受けになるのも価値あるかと良いと思います。初回は、ご希望であればオンラインでもお受けすることができます。他機関からの依頼で、紹介状等がある場合には初回面接なしで検査のみをお受けすることもあります。

絶対に毎週、同じ曜日同じ時間でないとだめですか?

お伝えしたとおり、「絶対」ではないので、早めにご相談ください。ただし、前提として隔週でカウンセリングをすすめることや、時間を過度に偏らせてすすめていくことには慎重です。確かに、時間を柔軟に決めてカウンセリングを実施することは双方にとって「楽」かもしれません。しかし、その「楽」がかえって心に向き合う「つもり」に終わってしまうことが多いと考えます。体のことが大事であれば入院があります。心についても覚悟を決めたら、毎週、同じ曜日と同じ時間で心に向き合う真剣勝負の場をつくります。FromUは安易に楽を選ばず、心に向き合うことに必要なことに対しては、真剣でありたいと思っています。

オンラインで実施はできませんか?

オンラインでもカウンセリングは実施できますが、特別な理由がない限り実際の対面の方が良いでしょう。往復の移動中は、意識こそしなくても頭のどこかで考えている大事な時間にもなりますし、対面で話す時間はオンラインと比べて自分に真剣に向き合う時間・場所になる方が多いようです。遠方の方で面接中に人や外音に邪魔されない環境であればオンラインも選択肢にはいってきます。また、併用も人によっては考えることができますので初回面接時に希望があればおっしゃってください。

 全体的な流れと料金については、HP上に掲載しておりますのでご確認ください。

発達検査ご希望の方はこちら

心理カウンセリングご希望の方はこちら

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この記事を書いた人

沢 哲司(医学博士/臨床心理士/公認心理師)のアバター 沢 哲司(医学博士/臨床心理士/公認心理師) 医学博士/臨床心理士/公認心理師

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