思春期の恐怖症型不登校の援助

目次

思春期の恐怖症型不登校の援助

※本資料は、一部の不登校を扱った研修の資料です。支援・対策は専門家にご相談ください。

前提キーワード

1.思春期とは

・ 思春期:精巣における精子の形成,初潮から長骨骨端線の閉鎖までの数年間

2.初期から中期思春期における親子関係の変化

  • 親に全面的に頼れない部分が発生する(incest taboo)うざい,臭い,寄るな,触るな,あっちに行って。反発・反抗=親離れの現れ
  • エディプスコンプレクスの再燃

3.同性の仲間関係の変化

  • 親密な同性同年代仲間の形成 → 自我理想の書き換えに必要十分な条件
  • loyalty 忠誠,忠誠をめぐる葛藤の発生
  • 困ったときに親または教諭に相談するのは例外的な出来事(5-10%)
  • privacyを必要とする
  • 親子間で育ちそこなった部分は仲間関係を通して修復される

4. 仲間を失うことによって生じる諸問題

  • 超自我の緩和不能
  • 自我理想の書き換え不能
  • 発達の停滞
  • 性衝動,攻撃衝動の鬱積 ⇒ 異常行動の発生

6.エディプスコンプレクスを乗り越える営み(個人的なもので,一人ひとり異なる)

  • 親の侵入(干渉)や支配を嫌う
    • 自分の心の内面を言葉にするには他人が必要である(仲間,恋人,大人)
    • 職業選択と対象選択の準備

7.後期思春期と青年期とは

  • 成長速度は低下する
    • 成人に近い体つきになり,新しい自己の身体を受け入れる
    • 性特異的に安定した血圧,脈拍数,基礎代謝率
    • 将来を見定めた選択が始まる(大学進学,就職,恋愛など)

8. エディプスコンプレクスの再燃と解消とは

  • 男根期(3-6歳)エディプスコンプレクス(同性の親殺し願望と異性の親との近親姦願望)⇒ 去勢不安(男児),分離不安(女児)の亢進(=報復恐怖 fear of retaliation)からエディプス願望は粉砕されて,そこに同性の親の規範が取り込まれ,同一化する(超自我の内在化とも言う)。これは幼児期の後半から始まり、潜伏期(幼児性欲が隠れるの意味であり、一般的には児童期と呼ぶ)の初めに完成する過程である。自己の内側に親が住み着いて規範を示し欲動満足の制御を求めるようになる。その結果、子どもは親(代理)からしばらくの間離れていても問題なく、または少なく過ごすことが可能になる。担任は休み時間を取ることが可能になる。ADHDや行為障害では超自我が十分に機能していないと理解する
    • 思春期にエディプスコンプレクスは再燃するが,近親姦の掟に従って,親を性愛対象としないような心の動きが生じる。異性の親との距離を取るようになる(うざい,あっちに行って,などの言動の出現)
    • 欲動の満足を得る方向で葛藤を解決するところが男根期から潜伏期への発達と異なる。潜伏期への進入では欲動は昇華して満足する。元来の欲動満足を得ることはない。思春期青年期では欲動の満足する方向で解消するが,現代では長い禁欲期間が発生する
    • 欲動の昇華は趣味や芸術,運動などの領域でなされる。昇華経路のある親は思春期の子どもの反抗を受けても、昇華の経路を使って気分転換ができるので、冷静適切な子どもへの対応を取りやすい。昇華経路のない、あるいは少ない親は子どもの反抗を受けて不安が高まり、そのまま子どもに不安な気持や子どもが問題を発生する可能性があるように返すので、親子関係はもつれやすい。共に絶望的な気持に襲われる
    • すべての無意識の葛藤を解決することは理論的にのみ可能であり,誰にでも未解決の無意識の葛藤,すなわちエディプスコンプレクスは残存する。しかし職業選択と対象選択によってその大部分は解消する

9.愛情対象の選択(Freud)

  • 自己愛的対象選択 narcissistic object choiceと依存的(委託的)対象選択 anaclitic object choice
    • すべての対象選択はこの2種の組み合わせ。自己愛的対象選択の部分が大きいと愛情関係はむずかしくなる。というのは、相手を自分の理想を映し出す鏡であることを要求するから
    • 恋愛は青年の子ども時代の心の傷を癒す。子どもを育てる。失恋も同じく青年を育てる
    • 性器統裁(フロイト),それぞれの幼児性欲が関連性をもつようになって、性器期的性欲の元に連なるようになる。精神社会的な次元での青年の発達は自我同一性の確立(エリクソン)である。自分は主に自分が支えて生きるようになる。同じ村で大人になり、働き、年老いて行く時代には村が人々を支えるので、自我同一性は不要であった

10. 性器統裁の失敗

  • 社会的ひきこもり(自我同一性の拡散)
    • 性倒錯(窃触症,窃視症,露出症,フェティシズム,小児愛,死体愛)
    • 一対一の性愛関係の形成・維持・発展の困難
    • 育児困難

11.初期成人期

  • 一定の性愛関係の中で相互に性愛本能を満たし合う。intimacy(親密性)の共有
    • 子どもを育てること,あるいはそれに相当することが,自分自身の発達につながる。結婚後,子どもの誕生によって家族は成立して末子の自立で家族サイクルは終わる。家族形成には同性の親との心理的な和解が必須である
  • 恐怖症型不登校:school phobia

不登校に関するキーワード

1不登校とは

  • 不安の亢進とその回避⇒不登校
    • 原因は重層決定 本人の内的状態+きっかけ⇒発症

2不安とは

  • 不安は本人に危険を知らせる信号であり心身の症状は恐怖と同じ。恐怖=対象あり 不安=対象なし 恐怖症=現実的に恐怖の対象となりにくいものを恐怖する。
    • 思春期になって子供は、急速に増大する性衝動と攻撃衝動を体験し不安に襲われる。

3精神分析的理解

  • 今まで親に向かっていたエネルギーが外に向かいだす。親への愛着から抜け出し、自我の発達に前向きな方向へと向かう。または同性の仲間関係に向けられる。一部は自分に向かい、自意識が高まる。
  • 不安の亢進によってエネルギーが外に向かわないと、親への愛着から抜け出せない。子供がえりが起こる。⇒母子の共生関係、家庭内暴力
  • エディプス願望⇒投影⇒父親怖い(去勢不安)⇒置き換え⇒学校怖い
  • 同性の仲間関係からの脱落⇒超自我の緩和不能、自我理想の書き換え不能⇒発達の停止⇒エネルギーの鬱積

4思春期の子供の引きこもりに対する親の反応

  • 非常に心配して昼夜逆転を是正しようとする
  • 両親間で子育ての失敗を互いに責める
  • 子育ての失敗を自責して謝る
  • 共生関係の渦に巻き込まれる

5思春期の引きこもりへの対応

  • 親との間の穏やかな陽性転移の維持
  • 子供へは通常の衣食住を提供する
  • 親の不安に駆られての行動はとらない。余計な謝罪はしない
  • 親の不安は子供にぶつけるのではなく、親ガイダンスを受けることで制御
  • 母子の共生関係を止める
  • 父親の母子切断機能

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