エリクソンの漸成的発達段階・ライフサイクル論

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エリクソンの漸成的発達段階・ライフサイクル論

エリクソンはフロイトの発達論を発展させ独自の精神分析学的発達理論を展開。特に自我心理学に基づく発達理論と対人関係的、社会文化的、歴史的視点を取り入れ、自己と心理社会的関わりを重視し、自我の発達を中核にすえた八つの発達段階からなるライフサイクル論を展開した。また、各発達段階には各々発達させるべき自我の発達課題があるとし、人間関係を通じて克服しながら自我を発達させていくと考えた。

乳幼児期(口唇期(0-3歳):基本的信頼感VS不信)

 この時期に母親を中心とする養育者から養育される中で、健康的なパーソナリティの基礎となる「基本的信頼感」を獲得する。この信頼感が子供の中に同一性の感覚の基礎を形成する。これに失敗すると「不信感」に特徴付けられる自己になる。

幼児前期(肛門期(3,4歳):自律性VS恥・疑惑)

 トイレットトレーニングによる諸活動の中で「自律」を獲得するが、失敗すると「恥・疑惑」の感情が子どもに植え付けられる。この時期には、決断に際してどう判断してよいかと迷い葛藤する中で自分の意志の力を獲得する。

乳児後期(男根期(5,6歳):自発性VS罪悪感)

内的な力が統制できる能力が身に付いてから、自分の要求を表現できるようになることを「自発性」と言っている。「自主性(自発性)」の獲得・目的という力の獲得が課題となる。これがうまくいかないと、行動が規範を犯し、はみ出た行動となり、それに対する罪の意識が生じる。

学童期(潜伏期(6-11,12歳):勤勉性VS劣等感)

 学校での様々な活動を通して「勤勉性」を身に付けることが課題であり、失敗した場合には自分には「能力がない」という劣等感が生まれる。この時期には、絶えず脅かされる劣等感に弱められることの無い、知性と技術を自由に用いることができる有能さを獲得する。

青年期(青年期(12歳-):同一性VS同一性拡散)

 自我同一性の確立が課題となる時期、達成には性的同一性や人生観の達成、様々な役割を試み、将来に対する見通しと分化をある程度持つことが必要である。価値体系に伴う矛盾に出会っても自分が誓った信念を支える能力であり、それには頑固な信念と確かな仲間意識が必要となる。

成人前期(若い成人期(20代-30代):親密性VS孤立)

 配偶者などの異性関係の中で「親密さ」を経験することが課題とされている。自己や他人と親密さを形成できない場合には人間関係が表面的に成り、「孤独(孤立)」に陥る。

成人期(成人期(40-50代):世代性VS停滞)

自分の子どもをはじめとした後続の人間を育成するという次世代への「生殖性(世代性)」の達成が課題である。これに失敗すると、自己の内外での「停滞」感覚を持つようになる。ここで身につく力は「世話」であり、世話は、生産・創造されつつあるものを育てる生き生きとした力。

老年期(成熟期(60代以降):統合VS絶望)

それまでの人生を振り返り、それを受容し、統合することが課題となり、失敗した場合には「絶望感」を抱くことになる。

アイデンティティ

エリクソンの人格発達理論は、「アイデンティティ(自我同一性)」が中核。エリクソンの定義では、①自己の斉一性②時間的連続性と一貫性③帰属性の基準によって定義されうる主体的実存的感覚あるいは自己意識の総体のこと。エリクソンは自我同一性・アイデンティティを確立することが青年期において最も重要であるとした。この時期には、これこそが真の自分であるという自分を模索し自己概念を構築しなければならない。エリクソンは、青年期をモラトリアム(執行猶予期間)と呼び、アイデンティティの模索のために大人としての責任を一時的に猶予された期間であると考えた。

青年期危機

青年期の発達課題である同一性の確立に失敗した同一性拡散の状態。多くは一過性に経験する自己喪失の状態。「あれも自分」「これも」自分といった意識があるためどれが本当の自分であるのか確信が持てない。この状態が極端になると「自分自身が浮遊している感じ」が現れる。

アイデンティティ拡散

自我同一性が形成される途上において、社会から与えられたモラトリアム(社会に出る前の執行猶予期間)を利用して、さまざまな実験的同一化を統合していく社会的遊び(Social Play)がなされて、社会的な自己定義の確立が困難な状態をさす。選択の回避や麻痺、時間的展望の拡散などが見られる。

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