心理検査の種類
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心理検査の種類
多くの心理検査があるが、「取り組み方」によって検査を分類する切り口がある。それぞれの心理テストは効用と限界をもっているため、複数のテストの特徴を理解し、被験者をより多面的な角度から理解する必要がある。
質問紙法
査定すべき内容に関する多種の質問項目を設定し、被検者の回答を得るという自己報告に基づいた検査方法である。比較的簡便に用いることができる。個別でも集団でも実施可能。実施対象は小中高校生あるいは成人用というように検査が分けられていることが多い。
長所
質問紙法は、実施から評価までマニュアル化されており、客観的な測定が可能である。また実施も比較的簡便である。
短所
検査の意図が被験者に分かりやすく、虚偽の回答をすることも可能。また、自己評定であるため、自己を客観的に捉えることのできない者には利用できない。また、質問項目以外のことを知ることはほとんどできない。
代表的な検査
Y-G性格検査(矢田部-ギルフォード性格検査)
ギルフォードらが自らの性格理論に基づき作成した3つのパーソナリティ検査をモデルに矢田部達郎によって作成された12の下位尺度ごとに10問、計120問の質問項目から構成される。特性論的解釈を行うだけでなく、全体的プロフィールの傾向から、5つの類型を典型とする類型論的な評価も可能。
MMPl(ミネソタ多面人格目録)
1943年ミネソタ大学のハザウェイとマッキンレイにより考案された質問紙法。心気症、ヒステリー、うつ、精神病的偏奇、パラノイア、精神嚢弱、統合失調症、軽躁病など9の臨床尺度と、4つの妥当性尺度から構成される。適応水準とその人格像に関する仮説を提出できる。臨床場面に即した作成手続きを行っており、質問紙そのものは病理的な面からのアプローチであるが、正常群との比較が常になされているためMMPIは特に臨床現場において最も良く用いられている質問紙パーソナリティー検査の1つ。
他には…
他には…MPI、16PF 、MAS(顕在性不安尺度)、STAI (状態-特性不安検査)、GHQ28
投影法
外部からの観察や意識的内省によって直接とらえることのできない人格構成要因や構造様式、あるいは知覚機能や認知の成立過程を理解する方法。新奇で構造化されていない多義的な刺激と、自由度の高い反応を求める教示とが作り出す全体として曖昧な刺激状況を担供する。
長所
投影法はその性質上、検査の意図が分かりにくく、虚偽の反応は少ない。また、質問紙法では捉えることのできない無意識の水準まで総合的に捉えることが可能とされる。
短所
一方で反応の数量化が難しく、検査者の熟練を要する。また、主観の入る余地を排除することは不可能である。また、検査に手間と時間がかかり、被検者への負担も大きい。さらに、自我の弱い者に対しては無意識を刺激することによる悪影響も考えられる。(あいまいな状況におくものである以上、検査を行うこと自体が不安や抵抗感を招きやすく、心理的安定を驚かす危険性を常にはらんでいる。)
代表的な検査
TAT(主題統覚検査:Thematic Apperception Test)
マレーらにより精神分析理論を基礎として考案された。絵に対して作られるも物語から、作った人のパーソナリティの特徴を明らかにしよう,とする心理検査。人間的な営み・体験を示唆する絵を被験者に示し、その絵から、登場人物の欲求(要求)、そして将来を含めた物語を構成させ、空想された物語の内容から被験者の主に欲求の系統を明らかにする。ロールシャッハと並んで最もよく知られた投影法。
SCT (文章完成法:Sentence Completion Test)
未完成の文(例えば「私は子どものころ」など)を刺激対象として、その後ろを完成させて文章を作成する。被験者は自分を統制しやすく、投影法の中では比較的意識水準に近い。自己像、社会生活における態度・価値観・対人関係・生育歴・将来への希望・性格傾向など様々なものが測定される。
他には…
P-Fスタディ(絵画要求不満テスト)、描画法(バウムテスト、人物描画テスト、風景構成など)
作業検査法
特定の課題作業を行わせて、その結果から個人の特性を知ろうとするもの。作業課題を行う際の意思の張、興奮、慣れ、練習効果、混乱、欲求不満などがパーソナリティに反映するという前提に立つ。
長所
言語を用いないので、言語障害の人にも使える。集団に実施できる。採点や結果の数量化が容易にできる、反応の歪曲が起こりにくい
短所
人格の主に意志的な側面に限られる
代表的な検査
内田クレペリン検査
計算問題を休憩を挟みながら連続的に実施し、その処理傾向から被験者のパーソナリティを予測する。
ウェクスラー式知能検査
一般的に、作業検査に分類はされないが、質問紙、投影法、作業検査の切り口で分類するならここかな・・・。
世界的に実施されている知能検査で、全体的な知能だけでなく、知能を4側面に分けて捉えてそれぞれの能力の高低を予測できる。目で見て手を動かして答える作業検査や、耳で聞いて言葉で答えるいくつかの検査課題で構成されている。
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