精神医学③ 子どもと高齢者|院試塾 2限目③

院試塾 2限目③ 精神医学③ 子どもと高齢者
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院試塾 2限目③。出題率がいちばん高い領域、精神医学の3本目です。診断をするのは医師で、心理職は診断をしません。診断の分類は、医師やほかの職種と話すための共通の言葉として学びます。子どもと高齢者に関わる問題です。発達障害(ASD・ADHD・学習障害)、学校で出会う問題(不登校・いじめ・非行・児童虐待)、高齢者の問題(認知症・せん妄)を扱います。

目次

動画③ 子どもと高齢者

2限目③ の頻出語マップ

この動画で覚える 11 語

語を押すと、過去問での出題率・動画のその場面・テキストの該当箇所が開きます。青は、直近の入試でも出題が続いている語。

動画③ 精神医学③ 子どもと高齢者(11語)

テキスト

2026年改訂について(何が変わったか)

原文(DSM-Ⅳ-TR 時代)現在(DSM-5-TR/ICD-11)
精神遅滞知的発達症(知的能力障害)。重症度は IQ ではなく適応機能で判定
広汎性発達障害・自閉性障害・アスペルガー障害自閉スペクトラム症(ASD)に統合
注意欠陥/多動性障害注意欠如多動症(ADHD)。発症年齢の基準は7歳以前 → 12歳以前
学習障害限局性学習症(SLD)
痴呆認知症(2004年に行政用語変更)。DSM-5-TR では神経認知障害群

神経発達症群(発達障害)

日本の発達障害者支援法(2005年施行)は、発達障害を「自閉症、アスペルガー症候群その他の広汎性発達障害、学習障害、注意欠陥多動性障害その他これに類する脳機能の障害であって、その症状が通常低年齢において発現するもの」と定義している(法律の条文は旧用語のまま)。DSM-5-TR ではこれらは神経発達症群としてまとめられる。

7.1 知的発達症(知的能力障害)

知的機能(推論、問題解決、学習など)と適応機能(概念的・社会的・実用的領域)の両方の欠陥が発達期に生じたもの。DSM-5 では重症度を IQ の数値ではなく適応機能で判定する(軽度・中等度・重度・最重度)。IQ はおおむね70前後以下が目安。旧称「精神遅滞」。

7.2 自閉スペクトラム症(ASD)

DSM-5 で、自閉性障害・アスペルガー障害・特定不能の広汎性発達障害などを一つの連続体(スペクトラム)に統合した。中核特性は2領域。

  1. 社会的コミュニケーションと対人的相互反応の持続的な困難 ― 情緒的相互性、非言語的コミュニケーション、関係の発展・維持の困難
  2. 限定された反復的な行動・興味・活動 ― 常同運動、同一性へのこだわり、限定された興味、感覚の過敏・鈍麻(DSM-5 で追加)

症状は発達早期から存在し、知的障害や言語の遅れを伴う場合も伴わない場合もある。原因は脳の機能的な特性とされ、「母親の養育が原因」という古い説は否定されている。支援は特性理解に基づく環境調整、早期療育、構造化(TEACCH)、SST など。

旧用語の扱い:「アスペルガー障害」「高機能自閉症」「広汎性発達障害」は DSM-5 で診断名としては廃止されたが、院試では歴史と、なぜ統合されたか(境界を引くことの困難、連続体としての理解)が問われる。カナーの早期幼児自閉症(1943)、アスペルガーの報告(1944)、ウィングの「三つ組」とスペクトラムの提唱も押さえる。

7.3 注意欠如多動症(ADHD)

不注意(注意の持続困難、忘れ物、指示に従えない、整理が苦手)と多動性・衝動性(落ち着きのなさ、離席、順番を待てない、しゃべりすぎる)を主症状とする。DSM-5-TR では症状が12歳以前から存在し(DSM-Ⅳ は7歳以前)、複数の場面で6か月以上続き、機能を妨げていることが基準。不注意優勢・多動衝動優勢・混合の3つの状態像がある。成人期まで持続することも多く、成人の診断も増えている。支援は環境調整、ペアレント・トレーニング、行動的支援、薬物療法(メチルフェニデート等)の組み合わせ。

7.4 限局性学習症(SLD)

全般的な知的発達に遅れはないが、読み(ディスレクシア)・書き・算数のいずれかの習得と使用に著しい困難がある。旧称「学習障害(LD)」。教育の場では文部科学省の定義(聞く・話す・読む・書く・計算する・推論する)がより広い。

7.5 その他の神経発達症

  • コミュニケーション症群(言語症、語音症、吃音など)
  • 運動症群 ― 発達性協調運動症(不器用)、チック症群:突発的・反復的な運動または音声。多彩な運動チックと1つ以上の音声チックが1年以上続くものをトゥレット症という

7.6 秩序破壊的・衝動制御・素行症群(旧・破壊的行動障害)

DSM-5 で ADHD から分離して独立した群となった。

  • 反抗挑発症 ― 怒りっぽく、反抗的・挑発的な行動様式
  • 素行症(行為障害)― 人や動物への攻撃、所有物の破壊、嘘や窃盗、重大な規則違反を持続的に繰り返す
  • 間欠爆発症 ― 攻撃的衝動の制御不能

かつての用語:「微細脳機能障害(MBD)」は1960年代に LD や ADHD の原因として想定された概念で、現在は用いられない。「軽度発達障害」も行政用語として使われたが、2007年に文部科学省が使用を控える方針を出した。歴史として知っておく。

児童・青年期に特有な問題

  • チック症群・トゥレット症 ― §7.5
  • 排泄症群 ― 遺尿症(5歳以上で、衣服や寝具への反復する排尿。夜尿を含む)、遺糞症(4歳以上で、不適切な場所への反復する排便)
  • 分離不安症 ― 愛着対象からの分離に対する過剰な不安。登園・登校しぶり、身体症状を伴う。DSM-5 で不安症群へ
  • 選択性緘黙 ― 他の場面では話せるのに、特定の社会的場面で一貫して話せない。背景に強い不安がある。DSM-5 で不安症群へ
  • 不登校 ― 診断名ではなく、文部科学省の定義(年間30日以上の欠席、病気・経済的理由を除く)による状態像。要因は多様で、不安症・うつ病・発達特性・家庭環境などが重なる。個別の見立てと、学校・家庭・関係機関の連携による支援が基本
  • 児童虐待 ― 身体的・性的・心理的虐待とネグレクト。心理職には通告義務と、トラウマの理解に基づく支援が求められる。直近の院試で出題が増えている

神経認知障害群(老年期に特有な問題)

9.1 認知症

後天的な脳の疾患により、いったん獲得された認知機能が持続的に低下し、日常生活に支障をきたした状態。DSM-5-TR では認知症(major neurocognitive disorder)と、それより軽い軽度認知障害(MCI)を区別する。旧称「痴呆」は2004年に「認知症」に改められた。

  • 中核症状 ― 記憶障害、見当識障害、失語・失行・失認、実行機能の障害
  • 行動・心理症状(BPSD) ― 妄想、幻覚、抑うつ、不安、徘徊、興奮など。環境や関わり方の影響を受けやすく、心理職の関与が求められる領域
  • アルツハイマー型認知症 ― 最も多い(おおむね6〜7割)。脳の神経細胞の変性・脱落による退行性疾患で、進行性。初期に記銘力の低下が目立つ。65歳未満の発症は若年性
  • 血管性認知症 ― 脳梗塞や脳出血の後遺症として生じる。障害された部位により症状がまだらに現れる
  • レビー小体型認知症(具体的な幻視、パーキンソン症状、認知の変動)、前頭側頭型認知症(人格変化、脱抑制)も押さえる

9.2 せん妄

注意と意識の障害(注意の集中・維持・転換の困難、意識の混濁)と認知の変化(見当識障害、記憶欠損、言語の障害)が短期間に出現し、日内変動する状態。身体疾患、薬物、手術、環境変化などが引き金になる。認知症とは異なり、原因を取り除けば回復しうる。

9.3 老年期うつ病

もの忘れや身体の不調を主訴として受診することが多く、認知症との鑑別(仮性認知症)が必要になる。身体疾患、配偶者や友人との死別、退職や転居などの喪失体験がきっかけになりやすく、自己効力感の低下と自殺のリスクに注意する。

院試ではこう問われる(この動画のまとめ)

  1. 用語説明 ― 「自閉スペクトラム症」「せん妄と認知症の違い」
  2. 歴史と変更 ― 痴呆 → 認知症、広汎性発達障害 → ASD。なぜ変わったか(偏見の回避、連続体としての理解)まで書く
  3. 心理職の関わり ― 診断は医師の業務。心理職はアセスメント・心理教育・心理療法・家族支援・多職種連携で関わる。公認心理師法(第2条)の業務に即して書く

2限目③の課題:頻出語の200字と、論述800字

動画の終わりで出している課題と同じです。どちらも、院試の出題の形に合わせて、この塾で作った課題です。

課題1 用語説明(各200字)
この動画の終わりに出てくる頻出語(11語)を、1語ずつ200字で説明してください。「ひとことの定義 → 外せないキーワード → 人物・分類名と、対応する内容 → 似た語との違い」の順で書くと、200字になります。

課題2 論述(800字)
③ 自閉スペクトラム症の特性を説明し、学校で心理職がどのような支援に関わるかを論じなさい(診断名が統合された経緯に触れること)。

書いたら「できた!」を押す。頻出語の200字と、論述の模範解答は、学生証(無料登録)で読めます。

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『看護のための精神医学 第2版』の表紙

看護のための精神医学[第2版]

中井久夫・山口直彦 著/医学書院(2004年)

精神科の病気を、分類や基準としてではなく、目の前の人とどう関わるかという視点から書いた本です。題名は「看護のための」ですが、心理職を目指す人にも長く読まれてきました。動画で診断の枠組みを押さえたあとに読むと、病名の向こうにいる人の姿が見えてきます。2004年の刊行なので、病名や診断基準は当時のものです。いまの病名は、この限目のテキストで確かめてください。

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できた!を押して、学生証へ

できたら、押してください。この端末に記録され、時間割に反映されます。

2限目③クリア、おめでとうございます。net.fromu.jp に無料登録すると、この課題の模範解答と章末クイズが開き、進み具合がアカウントに残ります。
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この授業について
大量の過去問を AI で分析し、大学院と院試専門の塾で教えていたスタッフが制作・監修しています。ナレーションは合成音声です。公開前に人が内容を確認しています。
知識は AI で広く。関係は人で深く。知識は無料で届けます。心のことは、人から、関係の中で学ぶものだと考えています。AI の時代に心理士を目指す人にこそ、対面で、人との関係の中で受けるスーパービジョンと師弟関係を大事にしてほしいと思っています。
▶ 院試塾 時間割▶ 学生証(無料登録) ※ 過去問の問題文そのものは各大学の著作物のため、扱っていません。
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この記事を書いた人

Lab.FromUのアバター Lab.FromU FromU 心理支援ラボ

FromU 心理支援ラボの編集チームです。臨床心理系大学院で教えてきた教員と、心理面接に携わる公認心理師・臨床心理士が、院試塾のテキストと講義を作っています。知識は無料で広く。心のことは、人から、関係の中で。ラボでは、スーパービジョンと学びの場を開いています。

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