院試塾 2限目②。出題率がいちばん高い領域、精神医学の2本目です。診断をするのは医師で、心理職は診断をしません。診断の分類は、医師やほかの職種と話すための共通の言葉として学びます。統合失調症、気分(うつ病・双極症)、摂食症、パーソナリティ症を扱います。診断をするのは医師です。心理職は、アセスメント・心理教育・心理療法・家族支援・多職種連携で関わります。
動画② 統合失調症・気分・パーソナリティ
この動画で覚える 11 語
語を押すと、過去問での出題率・動画のその場面・テキストの該当箇所が開きます。青は、直近の入試でも出題が続いている語。
動画② 精神医学② 精神病圏・気分・パーソナリティ(11語)
テキスト
2026年改訂について(何が変わったか)
| 原文(DSM-Ⅳ-TR 時代) | 現在(DSM-5-TR/ICD-11) |
|---|---|
| 精神分裂病 | 統合失調症(2002年に呼称変更。統合失調スペクトラム症及び他の精神症群) |
| 気分障害(単極性うつ病/双極性障害) | 抑うつ症群と双極症及び関連症群に分離 |
| 人格障害 | パーソナリティ症(DSM-5-TR 日本語版。「パーソナリティ障害」も併用) |
統合失調スペクトラム症及び他の精神症群
統合失調症(schizophrenia)は、①陽性症状(幻覚、妄想、まとまりのない思考・発語・行動)と ②陰性症状(感情の平板化、意欲の低下、会話の貧困、ひきこもり)を主な症状とし、DSM-5-TR では特徴的症状が6か月以上(活動期の症状が1か月以上)持続し、機能が低下していることが基準となる。認知機能の障害も注目されている。
- 呼称:2002年に日本精神神経学会が「精神分裂病」から「統合失調症」に変更した。人格の分裂という誤解と偏見を避けるため
- 経過:前駆期 → 急性期 → 消耗期(休息期)→ 回復期。早期発見・早期介入が重視される
- 関連する診断:統合失調型パーソナリティ症、妄想症、短期精神症、統合失調症様症、統合失調感情症
- 治療と支援:抗精神病薬による薬物療法を基本に、心理教育、SST(社会生活技能訓練)、家族支援、リハビリテーション、地域での生活支援を組み合わせる。心理職は心理教育・認知機能の評価・家族支援・地域移行に関わる
抑うつ症群と双極症及び関連症群
DSM-Ⅳ-TR の「気分障害」は、DSM-5 で 抑うつ症群 と 双極症及び関連症群 に分けられた。診断はどのような気分のエピソード(抑うつエピソード、躁エピソード、軽躁エピソード)が、どのような経過で現れるかによって行う。
4.1 抑うつ症群
- うつ病(大うつ病性障害) ― 抑うつ気分または興味・喜びの喪失を含む5つ以上の症状(食欲・体重の変化、睡眠障害、精神運動の焦燥または制止、易疲労感、無価値感・罪責感、思考力・集中力の低下、死についての反復思考)が2週間以上続く
- 持続性抑うつ症(気分変調症)― 軽いうつ状態が2年以上続く
- 重篤気分調節症 ― DSM-5 で新設。小児の持続的な易怒性と癇癪
- 月経前不快気分障害 ― DSM-5 で正式診断に
4.2 双極症及び関連症群
- 双極症Ⅰ型 ― 少なくとも1回の躁エピソード(気分の高揚・易怒性と活動性の亢進が1週間以上、または入院を要する)。抑うつエピソードを伴うことが多い
- 双極症Ⅱ型 ― 軽躁エピソード(4日以上、社会的機能の著しい障害はない)と抑うつエピソードの両方があり、躁エピソードはない
- 気分循環症 ― 軽躁症状と抑うつ症状が2年以上続くが、いずれのエピソードの基準も満たさない
院試での問われ方:「うつ病の診断基準の要点」「双極症Ⅰ型とⅡ型の違い」「気分障害という分類がどう変わったか」。うつ病の治療は薬物療法と認知行動療法・対人関係療法などの心理療法、休養と環境調整の組み合わせ。自殺リスクのアセスメントが心理職の重要な役割である。
食行動症及び摂食症群(旧・摂食障害)
DSM-5 で独立した群となった。食行動の異常と、体重・体型への認知の歪みを特徴とする。
- 神経性やせ症(拒食症)― 体重増加への強い恐怖と、著しい低体重。制限型と過食・排出型
- 神経性過食症 ― 過食と、体重増加を防ぐための不適切な代償行動(自己誘発性嘔吐、下剤の乱用、過度の運動)の反復
- 過食性障害(むちゃ食い症)― 代償行動を伴わない過食の反復。DSM-5 で正式診断に
- 回避・制限性食物摂取症 ― 体型へのこだわりを伴わない食物回避
パーソナリティ症群(パーソナリティ障害)
パーソナリティの偏りが著しく固定化し、本人が苦しみ、または周囲との間に持続的な問題を生じている状態。DSM-5-TR では10種類を3群(クラスター)に分ける。DSM-5 では多軸診断の廃止に伴い、他の精神疾患と同じ列で診断する。
| 群 | 特徴 | 各パーソナリティ症 |
|---|---|---|
| A群(奇妙で風変わり) | 他者への不信、孤立、奇異な信念 | 猜疑性(妄想性):他者の動機を悪意あるものと解釈し、根に持つ/シゾイド(スキゾイド):親密な関係を求めず、感情表出が乏しい/統合失調型:奇妙な信念や知覚、対人不安 |
| B群(演技的・情緒的・移り気) | 感情と行動の不安定さ、対人関係の激しさ | 反社会性:規範の無視、欺瞞、衝動性、良心の呵責の欠如(18歳以上、15歳以前に素行症の証拠)/ボーダーライン(境界性):見捨てられ不安、理想化とこき下ろしを揺れ動く対人関係、不安定な自己像、衝動性、自傷/演技性:注目の的でいようとし、感情表出が浅く移ろいやすい/自己愛性:誇大性、賞賛への欲求、共感の欠如 |
| C群(不安・恐怖) | 不安と自信のなさが目立つ | 回避性:否定的評価への過敏さから対人接触を避ける/依存性:面倒をみてもらいたい欲求、分離への恐れ、決断を他者に委ねる/強迫性:秩序・完全主義・統制へのとらわれ、融通のなさ |
- ボーダーライン(境界性)パーソナリティ症は心理臨床で最も問われる。カーンバーグの境界水準(§1.3)とは概念が異なる点に注意(前者は DSM の診断名、後者は病態水準)
- 治療は、弁証法的行動療法(DBT)、メンタライゼーションに基づく治療(MBT)、転移焦点化精神療法(TFP)、スキーマ療法など、パーソナリティ症に特化した心理療法が発展している
院試ではこう問われる(この動画のまとめ)
- 用語説明 ― 「統合失調症の陽性症状と陰性症状」
- 歴史と変更 ― 精神分裂病 → 統合失調症、気分障害の分離、人格障害 → パーソナリティ症。なぜ変わったか(偏見の回避、連続体としての理解)まで書く
- 心理職の関わり ― 診断は医師の業務。心理職はアセスメント・心理教育・心理療法・家族支援・多職種連携で関わる。公認心理師法(第2条)の業務に即して書く
2限目②の課題:頻出語の200字と、論述800字
動画の終わりで出している課題と同じです。どちらも、院試の出題の形に合わせて、この塾で作った課題です。
課題1 用語説明(各200字)
この動画の終わりに出てくる頻出語(11語)を、1語ずつ200字で説明してください。「ひとことの定義 → 外せないキーワード → 人物・分類名と、対応する内容 → 似た語との違い」の順で書くと、200字になります。
課題2 論述(800字)
② 統合失調症の陽性症状と陰性症状を説明し、心理職がどのような支援に関わるかを論じなさい(経過の4つの時期に触れること)。
書いたら「できた!」を押す。頻出語の200字と、論述の模範解答は、学生証(無料登録)で読めます。
できた!を押して、学生証へ
できたら、押してください。この端末に記録され、時間割に反映されます。
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大量の過去問を AI で分析し、大学院と院試専門の塾で教えていたスタッフが制作・監修しています。ナレーションは合成音声です。公開前に人が内容を確認しています。
知識は AI で広く。関係は人で深く。知識は無料で届けます。心のことは、人から、関係の中で学ぶものだと考えています。AI の時代に心理士を目指す人にこそ、対面で、人との関係の中で受けるスーパービジョンと師弟関係を大事にしてほしいと思っています。
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