院試塾 5限目①。精神分析のパーソナリティ論、1本目です。フロイトが心をどんなモデルで考えたかを整理します。5限目の1本目です。この動画では、精神分析の定義、催眠から自由連想法への流れ、局所論(意識・前意識・無意識)、構造論(エス・自我・超自我)、リビドーを扱います。
動画① 局所論と構造論
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動画① 精神分析 パーソナリティ論① 局所論と構造論(11語)
テキスト
この動画の内容を、答案に書ける順に文章にまとめる。5限目は精神分析のパーソナリティ論である。1本目は、精神分析とは何か、どのように生まれたか、そしてフロイトの2つのモデル、局所論と構造論を扱う。2本目は防衛機制である。
精神分析とは何か
精神分析(psychoanalysis)の創始者は、フロイトである。意味は3つある。1つめは、心を研究する方法。自由連想法を使う。2つめは、その方法で得られた、心についての理論。3つめは、その理論にもとづく治療の技法である。定義を問われたら、まず、この3つを書く。国際精神分析学会の定義では、ここに経験の集大成を加えた4つで示される。
すべての前提になっているのが、無意識の過程がある、という仮説である。人の行動や症状は、本人が気づいていない心の動きに左右されている、と考える。
催眠から自由連想法へ
精神分析が生まれるまでを、4つの段階で見る。
- 催眠。フロイトは、パリのシャルコーのもとで学んだ。そこで、ヒステリーの症状が、催眠によって生じたり消えたりすることを知る。体の病気だと考えられていた症状が、心の働きで起きる。これが出発点である
- 催眠浄化法(カタルシス法)。先輩の医師ブロイアーの症例、アンナ・Oが有名である。催眠のもとで症状が始まったころの記憶を話すと、症状が消えた。フロイトは、無意識の内容を意識にのぼらせることが治療になると考えた。ブロイアーとの共著『ヒステリー研究』は1895年に出ている
- 前額法。催眠にかからない人がいる。そこで、額に手を当てて、思い出すように促す方法を試した
- 自由連想法。頭に浮かぶことを、選ばずに、そのまま話してもらう方法である。ある患者に、質問で考えの流れを邪魔しないでください、と言われたことが、きっかけになった。これが、精神分析の基本の方法になる
局所論 心の3つの領域
1つめのモデルが局所論である。心を、3つの領域に分ける。
- 意識。いま気づいている心の内容
- 前意識。いまは気づいていないが、注意を向ければ思い出せる内容。昨日の夕食を思い出せるのは、それが前意識にあるからである
- 無意識。思い出そうとしても思い出せない内容。それでも、行動や感情に大きな影響を与えている
なぜ思い出せないのか。受け入れがたい内容を、意識から締め出す力が働いているからである。この働きを抑圧と呼ぶ。よく氷山にたとえられる。水面の上に見えているのが意識で、水面の下に、はるかに大きな無意識がある。局所論は、1900年の『夢判断』で示された。
構造論 心の3つの働き
2つめのモデルが構造論である。1923年の『自我とエス』で示された。局所論を改めた理由は、抑圧する側の働きも、本人には意識されていないことが分かってきたからである。意識か無意識か、という分け方だけでは説明しきれなくなり、心の働きを3つの部分に分けた。
- エス(イド)。本能的な欲動のみなもと。不快を避けて快を求める。これを快感原則と呼ぶ。論理も、時間も、善悪もない
- 超自我。良心と理想の働き。してはいけない、こうあるべきだ、と自分を見張る。親のしつけや社会の決まりを、心の中に取り入れることで作られる
- 自我。調整する役。エスの欲求、超自我の命令、そして外の現実の間に立って、折り合いをつける。現実原則に従う。いますぐの満足をがまんして、現実に合った形で欲求を満たそうとする原則である
自我は、3つの主人に仕える
フロイトは、自我を、3人の主人に仕える召使いにたとえた。エスは、いますぐ満たしたいと求める。超自我は、してはいけないと禁じる。外界は、現実に合わせなさいと迫る。3つの要求はよくぶつかり、ぶつかると、自我は不安を感じる。
- エスに圧倒されそうなときの、エス不安
- 超自我に責められるときの、超自我不安(道徳的不安とも言う)
- 現実の危険に対する、現実不安
この不安から自分を守るために、自我が無意識に使う方法がある。それが防衛機制である。2本目で詳しく扱う。精神分析では、自我の強さを、健康なパーソナリティのかなめと考える。3つの要求に折り合いをつける力が、あるかどうかである。
局所論と構造論の整理
2つのモデルを並べる。局所論は、意識・前意識・無意識で、気づいているか、いないかで分ける。構造論は、エス・自我・超自我で、心のどの働きかで分ける。
よくある誤解は、エスが無意識で、自我が意識だ、という対応である。これは正しくない。エスは、すべて無意識である。けれども、自我と超自我にも、無意識の部分がある。たとえば、防衛機制は自我の働きだが、本人は気づかずに使っている。2つのモデルは、対立するものではない。同じ心を、別の切り口で見たものである。
リビドー
リビドーとは、性の欲動のもとにあると想定された、心のエネルギーである。ここでの性は、おとなの性行為だけを指さない。口で吸う、触れる、といった、広い意味での快を含む。このエネルギーが、体のどの部分に向かうかは、成長につれて移り変わる、とフロイトは考えた。これが、あとの動画で扱う発達論の土台になる。
エネルギーが、どこにどれだけ配分されているか。この見方を、経済論的な観点と呼ぶ。フロイトは、1920年ごろから考えを改め、生の欲動と死の欲動の2つを考えるようになった。生の本能、死の本能とも訳される。エロスとタナトスである。
答案でやりがちな間違い
- 局所論と構造論を取り違える。局所論は意識・前意識・無意識、構造論はエス・自我・超自我である
- 自我は意識で、エスは無意識だ、と書いてしまう。自我と超自我にも、無意識の部分がある
- 前意識を、抑圧された無意識と同じものとして書いてしまう。前意識は、注意を向ければ思い出せる領域であり、抑圧されて思い出しにくい無意識とは区別する
5限目①のまとめ
まとめる。精神分析は、方法であり、理論であり、治療法である。前提は無意識、方法は自由連想法である。局所論は、意識・前意識・無意識。構造論は、エス・自我・超自我で、エスは快感原則、自我は現実原則に従い、超自我は良心と理想である。
出典について
図は自作。前田重治『図説 精神分析を学ぶ』『図説 臨床精神分析学』(誠信書房)に着想を得ている。
院試ではこう問われる(この動画のまとめ)
- 精神分析 ― 方法・理論・治療法。前提は無意識の過程があるという仮説、方法は自由連想法
- 局所論 ― 意識・前意識・無意識。気づいているか、いないかで分ける。1900年の『夢判断』
- 構造論 ― エス・自我・超自我。エスは快感原則、自我は現実原則、超自我は良心と理想。自我と超自我にも無意識の部分がある。1923年の『自我とエス』
5限目①の課題:頻出語の200字と、論述800字
動画の終わりで出している課題と同じです。どちらも、院試の出題の形に合わせて、この塾で作った課題です。
課題1 用語説明(各200字)
この動画の終わりに出てくる頻出語(11語)を、1語ずつ200字で説明してください。「ひとことの定義・キーワード・著作と年・混同しやすい語との違い」を入れると、200字になります。
課題2 論述(800字)
エス・自我・超自我のはたらきを説明し、不安と防衛がどのように生じるかを論じなさい。局所論との違いに触れること。
段落は3つで書けます。局所論との違い、3つのはたらき、そして不安と防衛の順です。
書いたら「できた!」を押す。頻出語の200字と、論述の模範解答は、学生証(無料登録)で読めます。
できた!を押して、学生証へ
できたら、押してください。この端末に記録され、時間割に反映されます。
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大量の過去問を AI で分析し、大学院と院試専門の塾で教えていたスタッフが制作・監修しています。ナレーションは合成音声です。公開前に人が内容を確認しています。
知識は AI で広く。関係は人で深く。知識は無料で届けます。心のことは、人から、関係の中で学ぶものだと考えています。AI の時代に心理士を目指す人にこそ、対面で、人との関係の中で受けるスーパービジョンと師弟関係を大事にしてほしいと思っています。
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