研究法と統計③ 分析手法・研究倫理・研究計画|院試塾 4限目③

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院試塾 4限目③。4限目の最終回、分析の手法と、研究倫理と、研究計画です。研究法と統計の3本目、最終回です。この動画では、記述統計、t検定、分散分析と回帰分析、カイ二乗検定、相関係数、因子分析、研究倫理、インフォームド・コンセント、先行研究レビュー、研究計画の4点セット、検定力分析、横断法と縦断法を扱います。

目次

動画③ 分析手法・研究倫理・研究計画

4限目③の頻出語マップ

この動画で覚える 12 語

語を押すと、過去問での出題率・動画のその場面・テキストの該当箇所が開きます。青は、直近の入試でも出題が続いている語。

動画③ 研究法と統計③ 分析手法・研究倫理・研究計画(12語)

テキスト

この動画の内容を、答案に書ける順に文章にまとめる。4限目の最終回である。分析の手法、研究倫理、そしていちばん配点の大きい「研究計画を立てなさい」型への答え方を扱う。研究計画の4点セットは、複数の大学が出題している型なので、必ず書けるようにする。

記述統計を先に報告する理由

記述統計とは、平均・標準偏差・分布の形など、データそのものの特徴をまとめて示す統計である。分析結果の報告では、まず記述統計を示すことが多い。理由は2つある。第一に、平均・標準偏差・分布の形を示すことで、その後の推測統計が正規性や等分散性といった前提を満たしているかを、読み手が判断できる。第二に、効果の実質的な大きさが伝わる。有意差の有無だけでは、どれくらい違うのかが分からない。

t検定・分散分析・回帰分析

t検定とは、2群の平均の差を検討する検定である。対応のないt検定を行う場合、必ず確認すべきデータの特徴が2つある。第一に正規性で、各群の母集団分布が正規分布に従うかである。崩れていれば、マン・ホイットニーのU検定などのノンパラメトリック検定に切り替える。第二に等分散性で、2群の分散が等しいかである。崩れていれば、Welchのt検定を用いる。

分散分析は、3群以上の平均の差を検討する分析である。3群以上をt検定で総当たりに比べてはいけない。検定を繰り返すほど、第1種の誤りが増えるからである。回帰分析は、予測変数から結果変数を予測し、その相対的な寄与を検討する分析である。1要因の分散分析ではなく回帰分析を用いた方が望ましい状況が2つある。第一に、独立変数が連続量のときである。連続変数を高群・低群に切ると、情報が捨てられ検定力が落ちる。第二に、共変量を統制したいときや、複数の予測変数の相対的な寄与を見たいときである。

カイ二乗検定と相関係数

カイ二乗検定とは、観測された度数が、独立を仮定したときの期待度数から、どれだけずれているかを見る分析である。質的変数どうしの関連を扱う。実際に観測された人数の分布が、まったく関連がないと仮定した場合に期待される分布から、どれだけかけ離れているかを、数値で表す手続きである。

相関係数(ピアソンの積率相関係数)とは、2変数それぞれを標準化した値の積の平均である。一方が平均より上のとき他方も上、下のとき他方も下になる傾向が強いほど、+1に近づく。一方が上のとき他方が下になる傾向が強いほど、−1に近づく。関連の強さと向きを、−1から+1で表す指標である。ただし、相関係数は因果関係を示すものではなく、直線的な関連しか捉えられないという限界がある。

因子分析

多変量解析の代表が、因子分析である。観測変数の背後にある潜在因子を探る手法で、尺度の構成概念妥当性の検討に使う。ほかにも、複数の予測変数から連続量の結果変数を予測する重回帰分析、多数の変数を少数の合成変数に要約する主成分分析、潜在変数を含む変数間の関係をモデルとして検証する構造方程式モデリングがある。モデレーションとメディエーションという英語の用語も、あわせて押さえておく。

研究倫理の3つの柱

倫理的配慮とは、研究を実施するうえで、参加者の人権と福祉を守るために講じる措置の総称である。この20年で新しく重くなった出題の軸であり、研究計画の小問として単独で問われることもある。柱は3つである。

  • インフォームド・コンセント。研究の目的・方法・所要時間・公表の仕方を対象者に説明し、原則として書面(オンラインでは同意画面など)で同意の記録を残す。参加はいつでも中止でき、中止しても不利益がないことも明示する。未成年者の場合は、保護者の同意に加えて、本人にも分かる言葉で説明し、本人の同意(アセント)も得る
  • 匿名性・秘密保持。個人が特定されない形でデータを扱う。保管方法・保管期間・廃棄の方法まで決める
  • 負担への配慮。心理的な負担が生じうる場合のデブリーフィングや相談先の提示、そして倫理審査委員会の承認を得る旨を明記する。検査を行う研究では、結果を本人にどう返すか、フィードバックも大事な要素である

先行研究レビューの探し方

先行研究レビューとは、研究計画を立てる前に、既存の研究を整理し、何が分かっていて何が分かっていないかを明らかにする作業である。CiNii Research(国立情報学研究所=NIIのデータベース)、J-STAGE、Google Scholar、Web of Scienceなどのデータベースを用いる。展望論文を先に読むこと、その領域で繰り返し引用される中心論文を必ず読むこと、構成概念を狭く絞ることの3点がコツである。

研究計画を立てる4点セット

ここが、いちばん配点の大きい型である。複数の大学が、その場で研究計画を作らせる問題を出している。指定がない大学でも、研究課題・意義・仮説・研究方法の4点で書けば外さない。

  1. 研究課題。問いを1文で書く。因果を見るなら「何々は何々に影響するか」、関連を見るなら「何々と何々は関連するか」の形にする
  2. 意義。先行研究で、何がどこまで分かっていて、何が分かっていないか。この研究が埋める穴を書く。「関心があるから」は理由にならない
  3. 仮説。検証できる形で書く。「何々すれば何々になるだろう」。方向まで書く
  4. 研究方法。デザイン・対象者・測定・手続き・分析・倫理的配慮まで書く。測定では、何をどの尺度で測るかという操作的定義が要る。分析では、仮説の形と統計手法が対応しているかを確かめる

研究デザインを、横断法か縦断法かまで定めたうえで、対象者の選び方と統計手法を書かせる出題もある。横断法とは、ある1時点で、異なる対象者から一度にデータを収集する方法である。縦断法とは、同じ対象者を、時間をおいて繰り返し調査する方法である。発達的な変化や、時間を追った因果の向きを見たいときは縦断法が適し、多くの対象から一時点の関連を見たいときは横断法が適する。

検定力分析

研究方法の欄で、対象者の人数を書くとき、根拠が要る。その根拠になるのが検定力分析である。有意水準、想定する効果量、目標とする検定力を決めて、必要なサンプルサイズを逆算する手続きである。2本目で扱った、効果量、サンプルサイズ、検定力の関係を、そのまま使う。人数の根拠に検定力分析を挙げられると、答案が強くなる。

答案でやりがちな間違い

  • 仮説と、分析手法が噛み合っていない。「差がある」という仮説なのに、相関を出してしまう
  • 操作的定義がない。「自己肯定感を測る」とだけ書いて、何でどう測るかが書かれていない
  • 倫理的配慮が抜けている。配点が明示されている大学もある

4限目③のまとめ

まとめる。分析手法は、仮説の形と対応させて選ぶ。t検定、分散分析、回帰分析、カイ二乗検定、相関係数である。研究倫理は3つの柱、同意・秘密保持・負担への配慮である。研究計画は4点セット、課題・意義・仮説・方法に、倫理的配慮を添える。出願する研究計画書については、概要欄の情報を見てほしい。

院試ではこう問われる(この動画のまとめ)

  1. 分析手法 ― 仮説の形と対応させて選ぶ。2群ならt検定、3群以上なら分散分析、連続量の独立変数なら回帰分析、質的変数の関連ならカイ二乗検定
  2. 研究倫理 ― 3つの柱は、インフォームド・コンセント・匿名性と秘密保持・負担への配慮。この20年で新しく重くなった出題の軸
  3. 研究計画 ― 4点セット(研究課題・意義・仮説・研究方法)で書けば外さない。人数の根拠には検定力分析を使う

4限目③の課題:頻出語の200字と、立案800字

動画の終わりで出している課題と同じです。どちらも、院試の出題の形に合わせて、この塾で作った課題です。

課題1 用語説明(各200字)
この動画の終わりに出てくる頻出語(12語)を、1語ずつ200字で説明してください。「定義 → 誤解しやすい点、または規定する要因 → 似た語との違い」の順で書くと、200字になります。

課題2 立案(800字)
関心のあるテーマで、研究計画を1つ考案しなさい。研究課題・意義・仮説・研究方法の4点を含めること。

段落は4つで書けます。研究課題、意義、仮説、そして研究方法の順です。テーマは、自分の関心から選んでかまいません。

書いたら「できた!」を押す。頻出語の200字と、立案の模範解答は、学生証(無料登録)で読めます。

4限目の1冊|PR
『よくわかる心理統計』の表紙

よくわかる心理統計

山田剛史・村井潤一郎 著/ミネルヴァ書房(2004年)

この回の参考文献の1冊で、心理統計の入門書です。1つの項目を短く区切って説明しているので、知りたい語から開けます。次の2本で扱う推測統計と仮説検定、そして t検定・分散分析までを、順に読み進められます(回帰分析や因子分析は、この本では扱っていません)。

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この授業について
大量の過去問を AI で分析し、大学院と院試専門の塾で教えていたスタッフが制作・監修しています。ナレーションは合成音声です。公開前に人が内容を確認しています。
知識は AI で広く。関係は人で深く。知識は無料で届けます。心のことは、人から、関係の中で学ぶものだと考えています。AI の時代に心理士を目指す人にこそ、対面で、人との関係の中で受けるスーパービジョンと師弟関係を大事にしてほしいと思っています。
▶ 院試塾 時間割▶ 学生証(無料登録) ※ 過去問の問題文そのものは各大学の著作物のため、扱っていません。
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この記事を書いた人

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FromU 心理支援ラボの編集チームです。臨床心理系大学院で教えてきた教員と、心理面接に携わる公認心理師・臨床心理士が、院試塾のテキストと講義を作っています。知識は無料で広く。心のことは、人から、関係の中で。ラボでは、スーパービジョンと学びの場を開いています。

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