卒論テーマが決まらない心理学部生へ|「2列のキーワード」で見つける決め方

卒論のテーマ決めに迷う学生のイメージ

卒論のテーマが決まらない。心理学の授業はひととおり受けてきたのに、「自由に決めていい」と言われると、かえって手が止まってしまう——そんな学生さんは多いと思います。

テーマ決めが「迷いの森」だとすると、テーマの決め方は「地図とコンパス」のようなものです。森で迷っている学生さんの多くは、森が深いからではなく、地図とコンパスを持たずに歩き出しているように見えます。私たち大学教員は、長年の研究で森の歩き方が身についてしまったぶん、学生さんに地図を渡すことをつい忘れていたのかもしれません。

この記事では、授業で習ったことと自分の好きなことを 2 列に並べ、その組み合わせからテーマを見つける方法を、6 つの手順に分けて紹介します。心理系の卒論を念頭に書いていますが、レポートのテーマ決めにも、ほかの学部の課題にも使えると思います。

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目次

卒論テーマが決まらないのは「決め方」を知らないから

テーマが決まらないとき、多くの学生さんは「授業で習ったこと」の中からテーマを探そうとします。ところが、ここから考えると、なかなか決まりません。

学部生の段階では、ある分野で先行研究がどこまで進んでいるのか、用語が厳密にはどう定義されているのか、どんな研究法があるのか——そうしたことをまだ十分には知らないのがふつうです。よく知らない土地で「面白い場所を探してきて」と言われても困ってしまうのと同じで、習ったことだけを見つめていても、アイデアは出てきにくいのです。

つまり、テーマが決まらないのはあなたの力が足りないからではなく、探す場所が狭すぎるからかもしれません。そこで、探す場所をもう 1 つ増やします。それが、あなたがよく知っていること、好きなことです。

卒論テーマの決め方:2列のキーワードを組み合わせる

決め方の手順は、次の 6 つです。

  1. 授業で習ったことのキーワードを並べる(左の列。5〜10 個ほど)
  2. 自分の得意なこと・好きなことのキーワードを 10 個ほど並べる(右の列。思いつかなければ、しりとりで言葉を出していってもかまいません)
  3. 2 列を見比べて、組み合わせられそうなものを線で結ぶ
  4. 「そんなことできるの?」と思っても、まずは書き出す
  5. 確実に研究できるものに絞る
  6. 最後は「興味が持てるか」で選ぶ

右の列は、部活、アルバイト、アイドル、アニメ、野球、料理……なんでもかまいません。心理学と関係なさそうに見えるものほど、組み合わせたときに思いがけないテーマが生まれることがあります。

たとえば、こんなふうに組み合わせてみます(例は架空のものです)。

習ったこと(左の列)好きなこと(右の列)組み合わせたテーマの例
動機づけ部活のサッカー部活を続ける理由は「楽しいから」か「勝ちたいから」か——運動部員の動機づけ
同調推し活・アイドル推しのグッズを買うのは自分の意思か——ファン同士のつながりと同調
記憶カフェで流れる音楽作業用 BGM があると覚えやすいか——BGM の有無と記憶課題の成績

左の列だけを見ていたときには出てこなかった問いが、右の列と結ぶことで出てくるのがわかると思います。好きなことについては、あなたのほうが教員よりずっと詳しいはずです。その詳しさが、テーマの独自性になります。

この決め方は、動画でも 8 分ほどで話しています。

たくさん出してから「研究できるもの」に絞る

手順 4 で「できるかどうかは気にせず書き出す」としたのには、理由が 2 つあります。

1 つは、アイデアがアイデアを呼ぶからです。書き出した組み合わせを眺めているうちに、「これとこれをつなげたら」と次の組み合わせが見えてくることがあります。もう 1 つは、最初から絞り込もうとすると、まだ形になっていない面白い芽まで一緒に捨ててしまいやすいからです。

また、机に向かっているときより、お風呂やぼんやりしているときにふと浮かぶこともあります。行き詰まったら、いったん離れてみるのも 1 つの方法です。

数が出たら、手順 5 で絞ります。卒論は期限のある研究なので、次の 3 つを目安にしてみてください。

  • 対象者が集まるか:協力してくれる人を、期限までに必要な人数集められそうか
  • 測れるか:知りたいことを、質問紙や実験などの方法で確かめられそうか
  • 期限内に終わるか:準備・実施・分析・執筆まで、スケジュールに収まりそうか

上の表でいえば、1 つめと 2 つめは質問紙で、3 つめは実験で確かめることになりそうです。組み合わせによって、研究の方法も変わってきます。テーマから仮説を立てる流れは「心理系研究計画書の目的・仮説・検定の書き方」で、質問紙で調べるときに気をつけたいことは「質問紙調査をする上での注意点」で詳しく書いています。

最後は「興味が持てるか」で選ぶ

研究できる候補がいくつか残ったら、最後は「自分がいちばん興味を持てるか」で選ぶことをおすすめします。

卒論は、テーマを決めてから書き上げるまで長い時間がかかります。途中でうまくいかない時期もあります。そのときに自分を支えてくれるのは、「これを知りたい」という気持ちだと私は考えています。教員の目から見ても、書き手が面白がっているレポートは、読んでいて伝わってくるものです。

そして、好きなことの列は、テーマ決めの直前に慌てて作るより、日ごろから少しずつ仕込んでおくほうが豊かになります。気になったこと、ハマっていることを、メモに残しておく。それが、いつか 2 列のうちの右の列になります。

肩の力を抜いた自由な雰囲気のほうが、アイデアは出やすいように思います。森の中で地図を広げるつもりで、まずは 2 列のキーワードを書き出すところから始めてみてください。

テーマが決まったら、次に読むもの

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この記事を書いた人

沢 哲司のアバター 沢 哲司 合同会社FromU 代表|臨床心理士・公認心理師・博士(医学)

大正大学で臨床心理学を学び、北里大学大学院で発達障害の神経心理学的研究に取り組んで博士(医学)を取得。病院・保健所・小学校のスクールカウンセラーとして臨床を重ねたのち、東京福祉大学・北里大学大学院で教員を務め、心理オフィスFromUを開業。
いまはカウンセリングと心理検査のほか、企業・学校での研修やコンサルテーション、大学での臨床心理学の講義を担当しています。専門は発達障害、心理アセスメント、精神分析的心理療法。
このブログでは、臨床心理学を学ぶ人と心理職を目指す人に向けて、見立ての考え方、大学院入試の過去問分析、心理学部の選び方を書いています。

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