動機づけ・感情・ストレス② 情動とストレス|院試塾 基礎心理2限目②

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院試塾 基礎心理2限目②。動機づけ・感情・ストレスの2本目、情動とストレスです。基礎心理2限目の2本目です。この動画では、情動の3理論(ジェームズ=ランゲ説・キャノン=バード説・情動二要因理論)、ストレッサーとストレス反応、Selye の汎適応症候群、Holmes と Rahe の尺度、Lazarus の認知的評価とコーピングを、院試で問われる形に整理します。

目次

動画② 情動とストレス

基礎心理2限目②の頻出語マップ

この動画で覚える 10 語

語を押すと、動画のその場面・テキストの該当箇所が開きます。青は、とくに出題の多い語。

動画② 情動とストレス(10語)

テキスト

この動画の内容を、答案に書ける順に文章にまとめる。基礎心理2限目は、動機づけ・感情・ストレスである。2本に分け、この回は2本目の、情動とストレスである。

直近の入試では、問題焦点型コーピングと、情動焦点型コーピングを、違いが分かるように説明する問題が出ている。

情動の理論や、ストレスの学説を、選択肢から選ぶ問題も出ている。理論の名前と、唱えた人を、組にして押さえる。

情動の3理論:身体が先か、同時か

最初は、情動である。急に起こって、短い時間で終わる、強い感情を言う。情動が起こる順序について、情動の3理論がある。

1つめは、ジェームズ=ランゲ説である。James と Lange が、それぞれ唱えた。刺激を受けると、まず身体が変化し、その変化を感じることが情動だ、とする。悲しいから泣くのではなく、泣くから悲しい、という言い方で知られる。身体の側から説明するので、末梢起源説とも呼ばれる。

2つめは、キャノン=バード説である。刺激の信号は、脳の視床に届き、そこから大脳皮質と身体へ、同時に送られる、とする。たとえば、大きな音に驚く気持ちと、胸の高鳴りが、同時に起こる、と考える。中枢起源説とも呼ばれる。Cannon は、ホメオスタシスの名をつけた人と、同じ人である。

ジェームズ(James)の肖像
ジェームズ(James)
キャノン(Cannon)の肖像
キャノン(Cannon)
  • ジェームズ=ランゲ説 = 末梢起源説。身体の変化が先。泣くから悲しい
  • キャノン=バード説 = 中枢起源説。視床から同時に。驚きと胸の高鳴りが同時

情動二要因理論

3つめは、情動二要因理論である。2要因説とも言う。Schachter と Singer が、実験で示した。

  1. 参加者に、アドレナリンを注射する。体が興奮する薬である
  2. 一部の参加者には、その作用を正しく説明しない
  3. 愉快にふるまう、または怒ってみせるサクラと、同じ部屋で過ごす。作用を知らされなかった参加者は、サクラの影響を受けた

情動は、自律神経系による生理的な喚起と、その喚起を場面の手がかりで解釈することの、2つで決まる、とする理論である。3つの理論は、順序の違いで書き分ける。

名前と人の組

3つの理論のほかに、名前と人を組で押さえる語を、3つ挙げる。

ソマティック・マーカー仮説は、Damasio の仮説である。身体の反応の信号が、意思決定に影響する、と考える。直近の入試で、感情の理論を選ぶ問題の、選択肢に並んでいる。

基本情動は、Ekman の研究で知られる。幸福、驚き、怒り、嫌悪、悲しみ、恐れの6つの表情は、文化を越えて共通する、とされる。辞典によっては、軽蔑を加えて、7つとする。

エクマン(Ekman)の肖像
エクマン(Ekman)

感情制御は、Gross の考え方である。感情を経験したり、表に出したりする仕方を、調整する過程を言う。先行焦点型と、反応焦点型の2つに分ける。感情調整、情動調整とも呼ばれ、呼び名が揺れる語である。

ストレッサーとストレス反応

ここからは、ストレスである。ストレスという語は、2つに分けて使う。

外から加わる要求を、ストレッサーと言う。それによって起こる、心と体の緊張を、ストレス反応と言う。ストレインとも呼ぶ。たとえば、試験が近づいて、眠れなくなる。試験がストレッサーで、眠れないことが、ストレス反応である。

ストレス学説 セリエの汎適応症候群

ストレスを、体の反応として説明したのが、Selye である。どんな種類のストレッサーでも、体には同じような反応が起こる、とした。これを、非特異的な反応と言う。副腎皮質の肥大、胸腺や脾臓、リンパ節の萎縮、胃や十二指腸の潰瘍である。この反応のまとまりを、汎適応症候群と言う。

セリエ(Selye)の肖像
セリエ(Selye)

ストレッサーが続くと、反応は3つの時期をたどる。

  1. 警告反応期 = 抵抗力が、いったん下がる
  2. 抵抗期 = 症状が消える
  3. 疲憊期(疲労期) = 症状が、再び出てくる

この3期の名前と順序を、Selye と組にして押さえる。

社会的再適応評定尺度

日常の出来事を、ストレッサーとして数えたのが、Holmes と Rahe である。社会的再適応評定尺度を作った。

生活の変化を伴う出来事を、43項目並べ、項目ごとに点数を決めた。経験した出来事の点数を足して、受けたストレッサーの大きさとみなす。過去1年の合計点が高いほど、病気になりやすい、とした。

ストレス学説 ラザルスの認知的評価

Selye が体の反応を見たのに対して、Lazarus は、出来事をどう評価するか、に注目した。Folkman との共著で、ストレスを、環境と個人の関係としてとらえる。日常の小さないらだちごとも、重視した。

まず、一次的評価である。その出来事が、自分にとって重要か、害や脅威になるか、を評価する。たとえば、人前での発表を任されて、失敗したら困る、と受け止める。

次に、二次的評価である。その状況を、自分で何とかできるか、を評価する。準備の時間があるから大丈夫、と考えるのも、二次的評価である。

そのうえで行う対処を、コーピングと言う。ここで言う認知的評価は、動機づけで出てくる、Deci の認知的評価理論とは、別の語である。

コーピングの2つの型

コーピングは、2つの型に分けられる。問題焦点型と、情動焦点型である。直近の入試で、この2つの違いを説明する問題が出ている。

問題焦点型は、問題そのものに働きかける。問題をはっきりさせる、情報を集める、解決策を考える、といった対処である。たとえば、レポートの締め切りが迫ったら、計画を立て直す。

情動焦点型は、問題から生じる、つらい気持ちを和らげる。回避する、距離をおいて静観する、気晴らしをする、といった対処である。たとえば、締め切りの前に、少し散歩をして気分を変える。

  • 問題焦点型 = 情報を集める。解決策を考える
  • 情動焦点型 = 気晴らしをする。距離をおいて静観する

答案でやりがちな間違い

答案用紙に書くときの、やりがちな間違いを3つ挙げる。

  • 3つの時期をたどるストレスの反応を、Lazarus の説だと書いてしまう。直近の入試でも、この取り違えが、誤った選択肢として置かれていた。3期は Selye である。Lazarus は、認知的評価とコーピングである
  • 末梢起源説と、中枢起源説を逆にしてしまう。身体が先の、ジェームズ=ランゲ説が、末梢起源説である。キャノン=バード説が、中枢起源説である
  • ストレッサーと、ストレス反応を混ぜてしまう。外から加わる要求がストレッサー、心と体の緊張がストレス反応である

基礎心理2限目②のまとめ

まとめる。情動の3理論は、ジェームズ=ランゲ説、キャノン=バード説、情動二要因理論である。身体が先か、視床から同時か、喚起とその解釈か、で区別する。

Selye は、ストレッサーへの非特異的な反応を、汎適応症候群と呼び、警告反応期、抵抗期、疲憊期の3期に分けた。

Lazarus は、出来事への一次的評価と二次的評価に注目した。コーピングは、問題焦点型と情動焦点型の2つである。

次の回は、基礎心理3限目、発達である。

院試ではこう問われる(この動画のまとめ)

  1. 情動の3理論 ― ジェームズ=ランゲ説(James と Lange。身体の変化が先。末梢起源説)、キャノン=バード説(視床から大脳皮質と身体へ同時。中枢起源説)、情動二要因理論(Schachter と Singer。生理的な喚起とその解釈の2つで決まる)。身体が先か、視床から同時か、喚起とその解釈か、で区別する
  2. 名前と人の組 ― ソマティック・マーカー仮説(Damasio)、基本情動(Ekman。6つの表情。辞典によっては7つ)、感情制御(Gross。先行焦点型と反応焦点型。呼び名が揺れる)
  3. ストレッサーとストレス反応 ― 外から加わる要求がストレッサー、それによる心と体の緊張がストレス反応(ストレイン)
  4. Selye の汎適応症候群 ― 非特異的な反応のまとまり。警告反応期(抵抗力が下がる)・抵抗期(症状が消える)・疲憊期(症状が再び出る)の3期。3期は Selye であり、Lazarus ではない。Holmes と Rahe の社会的再適応評定尺度は43項目
  5. Lazarus の認知的評価とコーピング ― 一次的評価(重要か、害や脅威か)と二次的評価(自分で何とかできるか)。コーピングは問題焦点型と情動焦点型の2つ。Deci の認知的評価理論とは別の語

基礎心理2限目②の課題:論述600字

動画の終わりで出している課題と同じです。院試の出題の形に合わせて、この塾で作った課題です。

論述(600字)
Selye と Lazarus は、ストレスを、それぞれどのようにとらえたでしょうか。二人の考え方の違いを述べてください。そして、同じ出来事でも、人によってストレスの感じ方が異なる理由を、コーピングに触れながら、論じてください。

あわせて、この動画の終わりに出てくる頻出語(10語)を、何も見ずに、1語ずつ200字で説明できるか、確かめてください。書けなかった語は、そこだけもう一度聞き直してください。

基礎心理2限目②の1冊|PR
『公認心理師必携テキスト』の表紙

公認心理師必携テキスト

福島哲夫 編集責任/学研メディカル秀潤社(初版)

この回の語のほとんどを、1冊の中で確かめられる本です。情動の理論(ジェームズ=ランゲ説、キャノン=バード説、シャクターとシンガーの2要因説)、ソマティック・マーカー仮説、基本感情説(エクマンの6種類)、感情制御、ストレッサーとセリエのストレス学説、ホームズとレイエの社会的再適応評価尺度、ラザルスの認知的ストレス理論(1次評価・2次評価)、コーピング(問題焦点型・情動焦点型)の項目があります。この回の課題を書く前に、セリエの項目とラザルスの項目を読み直したいときに向いています。なお、呼び名が違う語があります。情動は「感情」の見出しで、基本情動は「基本感情」、3期の2つめと3つめは「一般適応反応期」「疲弊期」と書かれています。また、公認心理師の試験の範囲を、全分野にわたって解説した本なので、1つの語を長い文章で論じる使い方には向きません。答案の型も、この動画とテキストで確かめてください。

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写真
ジェームズ・セリエの肖像:パブリックドメイン(Wikimedia Commons)
キャノン:Bachrach 撮影(Wellcome Collection)から上部を切り出し・縮小・円形に加工・CC BY 4.0(Wikimedia Commons)
https://commons.wikimedia.org/wiki/File:Walter_Bradford_Cannon_1934.jpg
https://creativecommons.org/licenses/by/4.0/
エクマン:Paul Ekman Group, LLC 提供の写真を縮小・円形に切り抜き(加工あり)・CC BY-SA 3.0(Wikimedia Commons)
https://commons.wikimedia.org/wiki/File:Paul_Ekman_(cropped).jpg
https://creativecommons.org/licenses/by-sa/3.0/
この授業について
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この記事を書いた人

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FromU 心理支援ラボの編集チームです。臨床心理系大学院で教えてきた教員と、心理面接に携わる公認心理師・臨床心理士が、院試塾のテキストと講義を作っています。知識は無料で広く。心のことは、人から、関係の中で。ラボでは、スーパービジョンと学びの場を開いています。

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