動機づけ・感情・ストレス① 動機づけ|院試塾 基礎心理2限目①

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院試塾 基礎心理2限目①。動機づけです。基礎心理2限目の1本目です。この動画では、欲求・動因とホメオスタシス、内発的動機づけと外発的動機づけ、Deci の実験とアンダーマイニング効果・エンハンシング効果、認知的評価理論と自己決定理論、達成動機と自己効力感、ヤーキーズ・ドッドソンの法則、葛藤の3つの型を、院試で問われる形に整理します。

目次

動画① 動機づけ

基礎心理2限目①の頻出語マップ

この動画で覚える 10 語

語を押すと、動画のその場面・テキストの該当箇所が開きます。青は、とくに出題の多い語。

動画① 動機づけ(10語)

テキスト

この動画の内容を、答案に書ける順に文章にまとめる。基礎心理2限目は、動機づけ・感情・ストレスである。2本に分け、この回は1本目の、動機づけである。

直近の入試では、2つの実験の記述を読んで、カタカナの効果の名前を答え、報酬が動機づけに与える影響を、内発と外発の語を使って短く書く問題が出ている。内発的動機づけを下げる効果と、上げる効果の名前を、組で選ぶ問題も出ている。

内発的動機づけは、以前の入試でも、用語の説明で出ていた語である。名前と、実験の手続きを押さえる。

動機づけの語

最初は、動機づけの基本の語である。動機づけは、行動を起こさせ、一定の方向に向けて、続けさせる働きの全体を言う。

  • 欲求 = 内側にある、足りない状態。たとえば、のどが渇いている
  • 誘因 = 外にある目標。たとえば、目の前の水
  • 動因 = 行動を直接おし出す力

欲求と誘因が出会うと行動が起こり、動因がその行動をおし出す。

体の内側の状態を、一定に保とうとする働きを、ホメオスタシスと言う。Bernard の内部環境の考えを、Cannon が実験で確かめて、この名前をつけた。Cannon は、次の回の情動の理論にも出てくる、同じ人物である。

キャノン(Cannon)の肖像
キャノン(Cannon)

Hull は、欲求と動因をつないで、動因を減らす行動が学習される、とする動因低減説を立てた。

内発的動機づけと外発的動機づけ

次は、動機づけを2つに分ける。

活動そのものが目的になっている動機づけを、内発的動機づけと言う。たとえば、パズルが面白いから解く。その原型は、知的好奇心である。活動の外にある結果のために動くのが、外発的動機づけである。お金やほめ言葉を得るため、罰を避けるために、パズルを解く。

  • 内発的動機づけ = 目的は、活動そのもの。例は、面白いからパズルを解く。原型は、知的好奇心
  • 外発的動機づけ = 目的は、活動の外にある結果。例は、お金がもらえるから解く。原型は、賞を得る・罰を避ける

内発的動機づけは、動因低減説では説明しきれない行動がある、という反論から出てきた語である。Berlyne の概念的葛藤や、White のコンピテンスが、早い時期の研究である。そのあと、Deci や Lepper らが、報酬との関係を、実験で調べた。

Deci の実験

報酬を与えると、内発的動機づけはどう変わるのか。実験をしたのは、Deci である。大学生に、面白いパズルを、3回に分けて解いてもらった。

デシ(Deci)の肖像
デシ(Deci)
  1. 1回めは、どちらの群も、ふつうに解く
  2. 2回めだけ、一方の群には、1題解くごとに1ドルを払う。もう一方の群には、払わない
  3. 3回めは、どちらの群も、報酬なしに戻す
  4. それぞれの回のあとに、8分の自由時間がある。この時間に、自分からパズルに取り組むかを見る

報酬をもらった群では、報酬がなくなった3回めの自由時間に、パズルに取り組む時間が減った。

アンダーマイニング効果とエンハンシング効果

Deci の実験で見られたことには、名前がついている。報酬の効果を、下げる向きと、上げる向きの、2つに分けて押さえる。

内発的に取り組んでいた活動に、外から報酬を与えると、内発的動機づけが下がる。これを、アンダーマイニング効果と言う。過剰な正当化効果とも呼ばれ、辞典の見出しは、こちらの名前である。

逆に、ほめ言葉などの報酬で、内発的動機づけが高まることを、エンハンシング効果と言う。直近の入試では、この2つの名前を、組で選ぶ問題が出ている。

  • アンダーマイニング効果(過剰な正当化効果) = 外的な報酬で、内発的動機づけが下がる
  • エンハンシング効果 = ほめ言葉などで、内発的動機づけが高まる。下げる効果と対で出る

報酬の種類で、結果が変わることも、実験で確かめられている。Deci の実験では、お金の報酬では内発的動機づけが下がり、ほめ言葉の報酬では高まった。

認知的評価理論と自己決定理論

Deci は、実験の結果をもとに、報酬が内発的動機づけを下げる場合と、高める場合を説明する理論を立てた。これを、認知的評価理論と言う。

その後、この考え方は、自己決定理論へと広がった。自己決定理論は、自分で決めているという感覚と、内発的動機づけを大切にする理論である。臨床ではない専攻の、直近の入試では、働く人の意欲を高めるのに必要な要素を、自己決定理論をもとに説明する問題が出ている。

注意がある。次の回で扱う、Lazarus のストレスの理論にも、認知的評価という語が出てくる。英語では別の語で、Deci の理論とは別物である。名前が似ているので、人物と組にして区別する。

  • Deci = 認知的評価理論(動機づけ)
  • Lazarus = 認知的評価(ストレス)

達成動機と自己効力感

ここからは、動機づけの強さに関わる語を、2つ挙げる。どちらも、以前の入試で、用語の説明として出ていた語である。

1つめは、達成動機である。物事を、優れた基準でやりとげようとする動機のことである。最初に記述したのは Murray で、McClelland が広く研究した。達成動機の強い人は、成功の見込みが中くらいの課題を選び、易しすぎるものや、難しすぎるものを避ける。

2つめは、自己効力感である。ある行動を、自分はうまくやれる、という見込みのことである。提唱したのは、Bandura である。6限目で扱った、モデリングと同じ人である。

バンデューラ(Bandura)の肖像
バンデューラ(Bandura)

自己効力感の源は、4つ挙げられている。

  1. 自分でやりとげた経験(熟達の経験)
  2. 他者を見て学ぶモデリング
  3. ほかの人からの励まし(社会的説得)
  4. 体の状態(生理的状態)

ヤーキーズ・ドッドソンの法則

覚醒の度合いと、成績の関係もある。横軸に、覚醒の度合い、つまり、どれだけ気持ちが高ぶっているかをとる。縦軸に、成績をとる。

覚醒が低すぎても、高すぎても、成績は下がり、中くらいのときに、成績が最もよくなる。グラフは、逆U字の形になる。これを、ヤーキーズ・ドッドソンの法則と言う。名前は、研究した Yerkes と Dodson の、2人からとられている。辞典では、覚醒の代わりに、賦活という語も使われる。逆U字の形と、2人の名前を、組にして書けるようにする。

葛藤の3つの型

2つ以上の欲求が同時にあって、どちらかを選べない状態を、葛藤、コンフリクトと言う。欲求不満は、以前の入試でよく出ていた語である。葛藤の型も、穴埋めや論述で出ている。5限目で扱った、無意識の葛藤とは、別の語である。

型を分けたのは、Lewin である。基礎心理1限目の2本目で、リーダーの型を比べた人と同じである。

  1. 接近=接近 = どちらも手に入れたいのに、片方しか選べない。たとえば、2つの部活に誘われて、どちらにも入りたい
  2. 回避=回避 = どちらも避けたいのに、どちらかを選ばなければならない。たとえば、満員電車に乗るのは嫌だが、遅刻するのも嫌だ
  3. 接近=回避 = 1つの目標に、良い面と嫌な面が両方ある。たとえば、欲しい靴があるが、買うとお小遣いがなくなる

ほかの回で扱う語

動機づけの章で出る語のうち、2つは、ほかの回で扱う。

Maslow の欲求階層説は、8限目の2本目で、ピラミッドの5つの層として扱った。層の名前と順序は、そちらで確かめる。Seligman の学習性無力感は、基礎心理7限目の、学習の回で扱う。どちらも、名前と人物を組にして、この回の語と一緒に押さえておく。

答案でやりがちな間違い

  • 報酬を与えると、いつも内発的動機づけが下がる、と書いてしまう。お金の報酬と、ほめ言葉の報酬では結果が違う。報酬の種類と組にして書く
  • アンダーマイニング効果と、エンハンシング効果を、逆にしてしまう。報酬で下がるのがアンダーマイニング、高まるのがエンハンシング
  • 認知的評価を混ぜてしまう。Deci の認知的評価理論は動機づけ、Lazarus の認知的評価はストレスの理論

基礎心理2限目①のまとめ

まとめる。欲求と誘因が出会い、動因が行動をおし出す。体を一定に保つホメオスタシスは Cannon、動因低減説は Hull である。

内発的動機づけは、活動そのものが目的の動機づけである。Deci の実験で、報酬が内発的動機づけを下げる、アンダーマイニング効果が示された。高まるほうは、エンハンシング効果である。

達成動機は Murray と McClelland、自己効力感は Bandura。覚醒と成績は逆U字で、葛藤には3つの型がある。

次の回は、基礎心理2限目の2本目、情動とストレスである。

院試ではこう問われる(この動画のまとめ)

  1. 動機づけの基本の語 ― 欲求(内側にある、足りない状態)・誘因(外にある目標)・動因(行動を直接おし出す力)。ホメオスタシスは Cannon(Bernard の内部環境の考えを実験で確かめて名づけた。次の回の情動の理論にも出る)、動因低減説は Hull
  2. 内発と外発、Deci の実験 ― 内発的動機づけは活動そのものが目的(原型は知的好奇心。Berlyne の概念的葛藤、White のコンピテンス)、外発的動機づけは活動の外にある結果が目的。Deci の実験は、2回めだけ一方の群に報酬を払い、3回めの自由時間に、報酬をもらった群はパズルに取り組む時間が減った
  3. アンダーマイニング効果とエンハンシング効果 ― アンダーマイニング効果(過剰な正当化効果)は、外的な報酬で内発的動機づけが下がること。エンハンシング効果は、ほめ言葉などで高まること。Deci の実験では、お金の報酬で下がり、ほめ言葉の報酬で高まった。2つの名前を組で選ぶ問題が出ている
  4. 認知的評価理論と自己決定理論 ― 認知的評価理論は Deci の理論(動機づけ)で、Lazarus の認知的評価(ストレス)とは別物。その後、自己決定理論へ広がった
  5. 達成動機・自己効力感・覚醒・葛藤 ― 達成動機は Murray が記述し McClelland が研究(強い人は成功の見込みが中くらいの課題を選ぶ)。自己効力感は Bandura(源は4つ)。覚醒と成績は逆U字(ヤーキーズ・ドッドソンの法則)。葛藤は Lewin の3つの型(接近=接近・回避=回避・接近=回避)

基礎心理2限目①の課題:用語説明(200字)

動画の終わりで出している課題と同じです。院試の出題の形に合わせて、この塾で作った課題です。

この動画の終わりに出てくる頻出語(10語)を、何も見ずに、1語ずつ200字で説明できるか、確かめてください。書けなかった語は、そこだけもう一度聞き直してください。

課題 用語説明(200字)
「内発的動機づけ」と「アンダーマイニング効果」について、外発的動機づけとの違いが分かるように、報酬の与え方の例を挙げながら、200字程度で説明してください。はじめに内発的動機づけを、次にアンダーマイニング効果を、最後に報酬の与え方の例を書く、という順に組み立てます。

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『新・心理学の基礎知識』の表紙

新・心理学の基礎知識

中島義明・繁桝算男・箱田裕司 編/有斐閣(有斐閣ブックス)

この回の語を、設問に答える形の解説で、1つずつ確かめられる本です。動機づけ研究の歴史(Cannon のホメオスタシス、Hull の動因低減説、内発的動機づけ)、内発的動機づけと報酬(Deci の実験で、金銭的な報酬・ほめる報酬・報酬なしを比べた話)、コントロール概念(Bandura の自己効力感)、葛藤(Lewin の3つの型)の項目があります。達成動機は、成功不安と、認知的動機づけ理論(アトキンソンのモデル)の項目の中に出てきます。覚醒と成績の逆U字(ヤーキーズ=ドッドソンの法則)は、目撃記憶の項目の中に出てきます。この回の参考文献の1冊です(Deci の実験の、報酬の種類の違いで引きました)。この回の課題を書く前に、内発的動機づけと報酬の項目を読み直したいときに向いています。なお、アンダーマイニング効果とエンハンシング効果の名前、自己決定理論という名前は、この本には出てきません。この動画とテキストで確かめてください。また、心理学の全体を見渡す本なので、1つの語を長い文章で論じる使い方には向きません。答案の型も、この動画とテキストで確かめてください。

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写真
キャノン:Bachrach 撮影(Wellcome Collection)から上部を切り出し・縮小・円形に加工・CC BY 4.0(Wikimedia Commons)
https://commons.wikimedia.org/wiki/File:Walter_Bradford_Cannon_1934.jpg
https://creativecommons.org/licenses/by/4.0/
デシ:Center for Self-Determination Theory 撮影・縮小・円形に加工(同じ CC BY-SA 4.0 で公開)・CC BY-SA 4.0(Wikimedia Commons)
https://commons.wikimedia.org/wiki/File:Edward_L_Deci.jpg
https://creativecommons.org/licenses/by-sa/4.0/
バンデューラ:Gentle 撮影・円形に加工・CC BY 4.0(Wikimedia Commons)
https://commons.wikimedia.org/wiki/File:Albert_Bandura_(cropped).jpg
https://creativecommons.org/licenses/by/4.0/
この授業について
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この記事を書いた人

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FromU 心理支援ラボの編集チームです。臨床心理系大学院で教えてきた教員と、心理面接に携わる公認心理師・臨床心理士が、院試塾のテキストと講義を作っています。知識は無料で広く。心のことは、人から、関係の中で。ラボでは、スーパービジョンと学びの場を開いています。

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