知能と査定① 知能の理論|院試塾 9限目①

院試塾 9限目① 知能の理論
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院試塾 9限目①。知能と査定です。知能の理論を、院試で問われる形に整理します。9限目の1本目です。この動画では、知能の定義(ウェクスラー)、スピアマンの2因子説、サーストンの多因子説、キャッテルの流動性知能と結晶性知能、ギルフォードの知能の構造モデルを、人名と学説の組で整理します。

目次

動画① 知能の理論

9限目①の頻出語マップ

この動画で覚える 10 語

語を押すと、過去問での出題率・動画のその場面・テキストの該当箇所が開きます。青は、とくに出題の多い語。

動画① 知能と査定① 知能の理論(10語)

テキスト

この動画の内容を、答案に書ける順に文章にまとめる。9限目は、知能と査定である。3本に分け、この回は1本目の、知能の理論である。心理学では、知能を、いくつかの因子に分けて説明する理論が、いくつも出されてきた。この回は、その理論を、人名と学説の組で整理する。

院試では、人名と学説の対応と、対になる語の違いが、問われる。とくに、キャッテルの、流動性知能と結晶性知能は、近年の入試でも、複数の大学で出ている。知能検査の歴史と、検査の名前は、2本目と3本目で扱う。

知能の定義(ウェクスラーの定義)

まず、知能という語である。知能は、とらえ方の多い語である。新しい環境に適応する力、学習する力、抽象的に考える力など、立場によって、さまざまに説明されてきた。

その中で、よく引かれるのが、ウェクスラー(Wechsler)の定義である。知能とは、目的的に行動し、合理的に思考し、環境を効果的に処理するための、個人の、集合的ないしは総体的能力である。

ウェクスラーは、知能を、1つの力ではなく、質の違ういくつもの能力が集まったものと考えた。

旧過去問では、英文の中のこの定義がウェクスラーのものだと示したうえで、ウェクスラーが作った検査の名前を答えさせる形が出ている。ウェクスラーの名前と、組にしておく。

スピアマンの2因子説(一般因子と特殊因子)

ここから、知能の因子説である。最初は、スピアマン(Spearman)の、2因子説である。スピアマンは、学科の成績や、さまざまな知的な課題の成績どうしの、相関を調べた。そして、知能を、2種類の因子で説明した。

  1. 一般因子。g因子とも言う。すべての知的な活動に、共通してはたらく因子である
  2. 特殊因子。s因子とも言う。1つ1つの課題に、固有の因子である

共通の一般因子と、課題ごとの特殊因子。この2つで知能を説明するので、2因子説と呼ぶ。近年の入試でも、選択肢の中に、g因子とs因子の組が出ている。

サーストンの多因子説(基本的精神能力)

次は、サーストン(Thurstone)の、多因子説である。

サーストンは、知能は、多くの群因子からなると考えた。スピアマンが、すべてに共通する、1つの一般因子を考えたのに対して、サーストンは、いくつもの因子の組み合わせで、知能をとらえた。

大規模な研究から、共通する7つの因子を取り出し、基本的精神能力と呼んだ。7つは、数、知覚、空間、言語、記憶、帰納推理、語の流暢性である。訳語は、本によって少しずつ違うが、数は7つである。

旧過去問では、スピアマンとサーストンの名前が、組で並んで出ている。サーストンは、多因子説、7つの因子。この組で押さえる。

流動性知能と結晶性知能

3人目は、キャッテル(Cattell)である。キャッテルは、知能を、流動性知能と、結晶性知能に分けた。ホーン(Horn)と組にして、キャッテルとホーンとして出ることもある。

  • 流動性知能(fluid intelligence)。新しい場面に適応するときに、はたらく知能である。情報を知覚し、操作する力にかかわる
  • 結晶性知能(crystallized intelligence)。経験の結果として、身についた知能である。知識を蓄えたり、言葉を理解したり、社会の場面に対処したりする力にかかわる

この2つの相違点を、説明させる形が、近年の入試で出ている。流動性知能と結晶性知能は、とくに出題の多い語である。新しい場面か、経験の結果か。この軸で、書き分ける。

日常の場面で仕分ける

日常の場面で、2つを仕分けてみる。例は、この塾で作ったものである。

  • 初めて行く駅で、乗り換えの道順を、その場で考える。新しい場面への適応なので、流動性知能である
  • 長く続けてきた仕事の経験から、段取りを決める。経験の結果なので、結晶性知能である
  • 初めて使う家電の、使い方を、手探りで見つける。これも、新しい場面なので、流動性知能である
  • 暮らしてきた地域の、言葉や習わしを使って、あいさつ状を書く。経験の中で身についたものなので、結晶性知能である

新しい場面か、経験の結果か。この物差しで、分ける。

2因子説はどちらの説か

ここで、取り違えやすい点を、2つ見る。1つめは、2因子説という名前である。2因子説は、スピアマンの説である。一般因子と、特殊因子の、2つであった。

一方、キャッテルも、知能を2つに分けた。ただし、答案に書くときは、キャッテルの説を、2因子説と書かない。近年の入試では、同じ設問の中に、スピアマンの2因子説と、キャッテルとホーンの説が、並んで出ている。名前が混ざると、選択肢で迷う。

キャッテルは、流動性知能と、結晶性知能。2つめの取り違えは、この2つの入れ替えである。選択肢では、2つの説明を入れ替えた文が、出ている。新しい場面への適応が、流動性知能。経験の結果が、結晶性知能である。

知能の構造モデル(ギルフォード)

4人目は、ギルフォード(Guilford)の、知能の構造モデルである。知性の構造モデル、知能の三次元モデルとも呼ばれる。ギルフォードは、知能を、3つの次元の組み合わせとして、とらえた。

  1. 情報の内容。4種類ある(図形的・記号的・意味的・行動的)
  2. 情報の操作。5種類ある。この中に、収束的思考と、拡散的思考がある
  3. 情報の所産。6種類ある(単位・類・関係・系・変換・含意)

収束的思考は、与えられた情報から、決まった正解を求める思考である。拡散的思考は、発散的思考とも言う。与えられた情報から、新しい情報を作り出す思考である。

4かける5かける6で、120の知能因子になる。旧過去問では、ギルフォードと、三次元のモデルの組や、拡散的思考の用語説明が、出ている。ギルフォードは、3つの次元、120、そして拡散的思考。この組で押さえる。

人名と学説の対応

人名と学説の組を、確認する。英字の名前でも、答えられるようにする。

  • スピアマン(Spearman) = 2因子説。一般因子と、特殊因子
  • サーストン(Thurstone) = 多因子説。7つの基本的精神能力
  • キャッテル(Cattell) = 流動性知能と、結晶性知能
  • ギルフォード(Guilford) = 知能の構造モデル。3つの次元で、120

旧過去問では、学説の名前を示して、人名を選ばせる形が出ている。声に出して、組で確かめる。

答案でやりがちな間違い

  • キャッテルの説を、2因子説と書いてしまう。2因子説は、スピアマンの説である
  • 流動性知能と結晶性知能を、逆に書いてしまう。新しい場面への適応が、流動性知能。経験の結果が、結晶性知能である
  • 知能の定義を、ビネーの定義として書いてしまう。ビネーは、知能を、はっきりとは定義していない。定義として引くのは、ウェクスラーである。ビネーは、2本目で扱う

9限目①のまとめ

まとめる。知能の定義として引かれるのは、ウェクスラーである。目的的に行動し、合理的に思考し、環境を効果的に処理するための、集合的ないしは総体的能力である。スピアマンは、2因子説である。一般因子と、特殊因子である。サーストンは、多因子説である。7つの基本的精神能力である。キャッテルは、流動性知能と、結晶性知能である。新しい場面への適応と、経験の結果である。そして、ギルフォードは、知能の構造モデルで、120である。

次の回は、9限目の2本目、知能検査の歴史と、IQである。ビネーから始まる知能検査の流れと、知能指数の求め方を整理する。

院試ではこう問われる(この動画のまとめ)

  1. 知能の定義 ― 定義として引くのはウェクスラー(Wechsler)。目的的に行動し、合理的に思考し、環境を効果的に処理するための、集合的ないしは総体的能力。ビネーの定義と書かない
  2. 人名と学説の組 ― スピアマン(Spearman)=2因子説(一般因子 g と特殊因子 s)、サーストン(Thurstone)=多因子説(7つの基本的精神能力)、キャッテル(Cattell)=流動性知能と結晶性知能、ギルフォード(Guilford)=知能の構造モデル(内容4×操作5×所産6=120、拡散的思考)。英字のつづりでも選べるように
  3. 取り違えやすいもの ― 2因子説はスピアマンの説で、キャッテルの説を2因子説と書かない。流動性知能は新しい場面への適応、結晶性知能は経験の結果。この2つの入れ替えが選択肢に出る

9限目①の課題:頻出語の200字と、論述800字

動画の終わりで出している課題と同じです。どちらも、院試の出題の形に合わせて、この塾で作った課題です。

課題1 用語説明(各200字)
この動画の終わりに出てくる頻出語(10語)を、1語ずつ200字で説明してください。「定義・人物・例・似た語との違い」を入れると、200字になります。

課題2 論述(800字)
スピアマン、サーストン、キャッテルの知能のとらえ方の違いを論じなさい。流動性知能と結晶性知能の違いにふれること。日常の場面の例を1つ用いること。

段落は3つで書けます。1つめは、スピアマンの2因子説。2つめは、サーストンの多因子説。3つめは、キャッテルの流動性知能と結晶性知能の違いの順です。

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『心理学』の表紙

心理学

鹿取廣人・杉本敏夫・鳥居修晃・河内十郎 編/東京大学出版会(第5版補訂版・2020年)

この回の知能の理論を、1冊の中で通して確かめられる教科書です。心理学の入門の教科書で、心理学の全体を、図を使いながら順に説明しています。個人差を扱う部分に、知能の測り方と、知能の因子の説明があり、スピアマンの一般因子と特殊因子、サーストンの多因子説、ギルフォードの知能の構造モデル、キャッテルの流動性知能と結晶性知能まで、この回で扱う知能の理論の主な人物が、そろって載っています。人名と学説の組を、教科書の説明の流れの中で読み直したいときに向いています。院試の基礎心理学の範囲を広く覆う本なので、ほかの限目の復習にも使えます。

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この授業について
大量の過去問を AI で分析し、大学院と院試専門の塾で教えていたスタッフが制作・監修しています。ナレーションは合成音声です。公開前に人が内容を確認しています。
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この記事を書いた人

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FromU 心理支援ラボの編集チームです。臨床心理系大学院で教えてきた教員と、心理面接に携わる公認心理師・臨床心理士が、院試塾のテキストと講義を作っています。知識は無料で広く。心のことは、人から、関係の中で。ラボでは、スーパービジョンと学びの場を開いています。

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