院試塾 4限目①。専門科目の出題のおよそ46パーセントに関わる領域、研究法と統計の1本目です。この動画では、研究の5つの方法(実験法・調査法・観察法・面接法・事例研究)、実験研究と相関研究の違い、量的研究と質的研究、3つの変数と操作的定義、無作為抽出と無作為割り当て、研究デザインの妥当性を扱います。
動画① 研究の種類と、変数
この動画で覚える 12 語
語を押すと、過去問での出題率・動画のその場面・テキストの該当箇所が開きます。青は、直近の入試でも出題が続いている語。
動画① 研究法と統計① 研究の種類と、変数(12語)
テキスト
この動画の内容を、答案に書ける順に文章にまとめる。この回の中心は、1つの対比である。実験研究と相関研究。それから、無作為抽出と無作為割り当て。名前が似ていて、目的が違う。ここは、何度も出題されている。
研究法は、20年動かない
研究法と統計は、専門科目の出題の、およそ46パーセントに関わる。1999年から2004年の入試で46.9パーセント。直近の入試でも、ほぼ同じである。
ほかの多くの領域が出題を減らすなかで、ここは横ばいである。だから、相対的な重要度は、むしろ上がっている。しかも、研究計画書と同じ幹から出ている。出願にも、面接にも、ここが効く。
設問は3つの型に分かれる。用語を説明する型、2つを比べる型、そして、その場で研究計画を立てる型である。
研究の5つの方法
研究の方法は、5つに分けて覚える。それぞれの強みと弱みを、セットで言えるようにする。
| 方法 | 何をするか | 強み | 弱み |
|---|---|---|---|
| 実験法 | 独立変数を研究者が操作して、他の条件をそろえ、従属変数への影響を見る | 因果関係が言える | 場面が人工的になりやすい |
| 調査法 | 質問紙などで、多くの人から回答を集める | 大量のデータが取れて、無作為に抽出すれば一般化しやすい | 変数どうしの関連しか言えない |
| 観察法 | 行動を、ありのままに記録する | 自然な行動が取れる。言葉を持たない相手にも使える | 観察者の主観が入る。観察者がいること自体が、行動を変えてしまうこともある |
| 面接法 | 対話で、語りを集める | 深さと文脈が取れる | 時間がかかり、数が集まらない |
| 事例研究 | 個別の事例を、詳しく追う | 臨床の実践と直結する。仮説を立てる力も強い | 統計的な一般化には限界がある |
事例研究は、統計的な一般化に限界がある。ただし、そこから普遍的な理解を引き出す意義も、論じられてきた。
実験研究と相関研究
実験研究と相関研究の違いは、よく試験で問われる。学習院大学大学院が、長所と短所を、研究例つきで問うている。
答えの核は、一点である。独立変数を、操作したかどうか。
| 実験研究 | 相関研究 | |
|---|---|---|
| 独立変数 | 研究者が操作する | 操作しない。すでにあるものどうしの関連を測る |
| 参加者 | 条件に、無作為に割り当てる | そのまま測る |
| 言えること | X が原因で Y が起きた | X と Y は関連している |
| 代償・限界 | 場面が人工的になる。日常の場面に一般化できるかが弱くなる | 因果の向きが決まらない。第3の変数の可能性も消せない |
操作はしても、無作為に割り当てない形もある。これを準実験という。
相関研究は、そのかわり、性別や、被虐待経験、疾患のように、操作できないものを扱える。現実の場面のデータが取れる。
答案は、この順に書く。定義、決定的な違い、そこから出る長所と短所、そして具体例である。具体例は、自分の関心領域から出すと、面接でも話がつながる。
量的研究と質的研究
量的研究は、数値にして、統計で処理する。仮説を検証するのに向いている。一般化もしやすい。
質的研究は、語りや記述を、そのまま扱う。意味の構造を読む。仮説を生み出すのに向いている。KJ法や、グラウンデッド・セオリー・アプローチがある。
ここに、答案の型がある。どちらが優れているか、を書くと落ちる。求められているのは、役割分担と、接続である。
- まず、事例研究が、現場から仮説を立ち上げる
- 次に、量的研究が、その仮説を検証する
- そして、その結果が、個別の事例の理解に返る
この循環で書くと、筋が通る。質的研究には、意味や過程そのものを理解するという、それ自体の目的もある。混合研究法にも触れられると強い。
3つの変数を仕分ける:独立変数・従属変数・剰余変数
変数は、3つに分ける。例で仕分ける。騒音があると、計算課題の成績が変わるか、という研究である。
| 変数 | 意味 | この例では |
|---|---|---|
| 独立変数 | 研究者が操作する、原因の側 | 騒音があるか、ないか |
| 従属変数 | その影響を受けて変わる、結果の側 | 計算課題の成績 |
| 剰余変数 | 独立変数以外で、従属変数に影響しうるもの | 計算の得意さ、課題の難しさ、実験の時間帯 |
剰余変数をそろえるのが、実験計画の仕事である。なお、調査研究では、操作していなくても、原因と想定する側の変数を、独立変数と呼ぶこともある。
操作的定義
もう1つ、大事な語がある。操作的定義である。不安、自己肯定感のような、目に見えない概念がある。これを、測定できる手続きに置き換えて、定義することである。
たとえば、「本研究では、不安を、STAI 状態不安尺度の得点と定義する」と書く。
この語そのものは、過去問での出題は少ない。けれども、研究計画を立てる問題では、実質的に要求されている。書かない研究計画書は、何を測るのか分からない、と必ず突かれる。
無作為抽出と、無作為割り当て
ここが、いちばん大事な区別である。学習院大学大学院が問うている。お茶の水女子大学大学院も、同じ対比を出している。混同しやすいが、目的がまったく違う。
| 無作為抽出 | 無作為割り当て | |
|---|---|---|
| 何をするか | 母集団から、標本を無作為に選ぶ | 選ばれた参加者を、各条件に無作為に振り分ける |
| 目的 | 標本を、母集団の縮図にする | 条件どうしの剰余変数を、確率的に等質にする |
| 守るもの | 外的妥当性(一般化できるかどうか) | 内的妥当性(因果を言えるかどうか) |
| 主に使う研究 | 調査研究 | 実験研究 |
片方だけでは足りない。無作為に抽出しても、割り当てが偏れば、因果は言えない。無作為に割り当てても、偏った標本なら、一般化できない。ここまで書けると強い。
研究デザインの妥当性
最後に、研究デザインの妥当性である。ここでは、3つを押さえる。
- 内的妥当性:その研究の中で、X が原因で Y が起きた、と言えるか。無作為割り当てと、統制で守る
- 外的妥当性:得られた結果を、他の対象、場面、時期に、一般化できるか
- 生態学的妥当性:実験の場面が、現実の生活場面を、どれだけ反映しているか。外的妥当性の一部とされることが多い
生態学的妥当性は、実験室の課題で、日常の認知が測れているのか、という問いに焦点がある。学習院大学大学院が、具体例つきで問うている。具体例が必須である。記憶研究で用意しておく。意味のない綴りを覚える場面と、日常の出来事を思い出す場面を比べる例である。
3限目で扱った、測定の妥当性とは、別の話である。混ぜない。
答案でやりがちな間違い
- 実験研究が優れていて、相関研究は劣る、と書いてしまう → 違うのは、操作をしたかどうか。因果が言えるかどうかの違いで、優劣ではない
- 無作為抽出と、無作為割り当てを、同じものとして書いてしまう → 抽出は一般化のため。割り当ては因果のため
- 量的研究と質的研究の、優劣を書いてしまう → 書くのは、役割分担と接続
院試ではこう問われる(この動画のまとめ)
- 用語説明 ― 研究の方法は5つ。それぞれ、強みと弱みをセットで言えるようにする
- 比較 ― 実験研究と相関研究の違いは、操作の有無。定義 → 決定的な違い → 長所と短所 → 具体例 の順で書く。無作為抽出は一般化のため、無作為割り当ては因果のため
- 研究計画 ― 変数は、独立・従属・剰余の3つ。そして、測る手続きまで、操作的に定義する
4限目①の課題:頻出語の200字と、論述800字
動画の終わりで出している課題と同じです。どちらも、院試の出題の形に合わせて、この塾で作った課題です。
課題1 用語説明(各200字)
この動画の終わりに出てくる頻出語(12語)を、1語ずつ200字で説明してください。「定義 → 強みと弱み(または目的) → 似た語との違い」の順で書くと、200字になります。
課題2 論述(800字)
実験研究と相関研究の違いを、長所と短所、具体例を挙げて論じなさい(無作為割り当てに触れること)。
段落は3つで書けます。実験研究と相関研究の定義と違い、それぞれの長所と短所、そして具体例の順です。
書いたら「できた!」を押す。頻出語の200字と、論述の模範解答は、学生証(無料登録)で読めます。
できた!を押して、学生証へ
できたら、押してください。この端末に記録され、時間割に反映されます。
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大量の過去問を AI で分析し、大学院と院試専門の塾で教えていたスタッフが制作・監修しています。ナレーションは合成音声です。公開前に人が内容を確認しています。
知識は AI で広く。関係は人で深く。知識は無料で届けます。心のことは、人から、関係の中で学ぶものだと考えています。AI の時代に心理士を目指す人にこそ、対面で、人との関係の中で受けるスーパービジョンと師弟関係を大事にしてほしいと思っています。
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