院試塾 3限目①。出題率が2番目に高い領域、パーソナリティと査定です。パーソナリティと査定の1本目です。3限目は語が多いので3本に分けています。1本目は理論編で、心理アセスメントの定義と診断との違い、パーソナリティをとらえる2つの立場(類型論・特性論)、類型論の人物(クレッチマー・シェルドン・シュプランガー・ユング)、特性論の人物(オールポート・キャッテル・アイゼンク)、いまの到達点のビッグファイブ、性格の規定因を扱います。
動画① 類型論と特性論
この動画で覚える 11 語
語を押すと、過去問での出題率・動画のその場面・テキストの該当箇所が開きます。青は、直近の入試でも出題が続いている語。
動画① パーソナリティと査定① 類型論と特性論(11語)
テキスト
この動画の内容を、答案に書ける順に文章にまとめる。語を1つずつ、「ひとことの定義 → キーワード → 人物と、対応する型や学説 → 混同しやすい語との違い」の順で読む。
アセスメントの考え方
心理アセスメント
心理アセスメント(心理査定、psychological assessment)とは、クライエントへの心理的な援助の方針を決めるために、面接・観察・心理検査を通して、必要な情報を集める過程である。
検査だけがアセスメントではない。答案では、「心理検査をすること」と書かず、面接・観察・検査の3つで情報を集める過程と書く。
3つの方法の特徴は、そのまま問われる。
- 面接法:本人の語りから、困りごとと、これまでの経過を聞き取る。質問をどこまで決めておくかで、構造化面接、半構造化面接、非構造化面接に分かれる
- 観察法:行動をそのまま見る。言葉で表現しにくい人や、子どもにも使える
- 心理検査法:標準化された道具を使う。結果を、ほかの人と比べられる形で示せる
目的は、援助の計画を立てること、その効果を確かめること、そして、これからの行動を予測することの3つである。
アセスメントと診断の違い
アセスメントと診断は、目的が違う。診断をするのは医師である。心理職は、アセスメントを通して、その人らしさまで見立てる。
| 精神医学的診断 | 心理アセスメント | |
|---|---|---|
| 目的 | 病気を確定し、治療につなぐ | その人の問題の解決を助ける |
| 見方 | 病気や異常に注目 | 人を全体としてとらえる |
| 集める情報 | 症状と経過が中心 | 問題だけでなく、健康な面・パーソナリティ・周りの支えまで |
人をとらえる2つの立場
パーソナリティ
パーソナリティとは、その人の行動や考え方、感じ方に、時間と場面をこえた一貫性を与えているものである。これをとらえる立場が2つある。
類型論
類型論は、一定の原理にもとづいて、いくつかの典型的な型を見つけ、人を分類する立場である。長所は、その人の全体像をつかみやすいこと。短所は、中間の型を見落としやすく、程度の差を示せないことである。
特性論
特性論は、一貫してあらわれる行動の傾向を「特性」と呼び、特性の量の組み合わせで人を記述する立場である。長所は、程度の差を数量で示せること。短所は、その人の全体像を見失いやすいことである。
| 類型論 | 特性論 | |
|---|---|---|
| とらえ方 | いくつかの典型的な型に分ける | 特性の量の組み合わせで記述する |
| 長所 | その人の全体像をつかみやすい | 程度の差を、数量で示せる |
| 短所 | 中間の型を見落としやすく、程度の差を示せない | その人の全体像を見失いやすい |
2つの長所と短所は、ちょうど裏返しになっている。片方を書けば、もう片方も書ける。類型論と特性論は、対立するというより、補い合う見方である。
類型論の人物
類型論の人物は4人である。
| 人物 | 分ける基準 | 類型 |
|---|---|---|
| クレッチマー | 体格と気質 | 細長型=分裂気質・肥満型=循環気質・闘士型=粘着気質 |
| シェルドン | 胚葉の発達と気質 | 内胚葉型(内臓緊張型)・中胚葉型(身体緊張型)・外胚葉型(頭脳緊張型) |
| ユング | 心のエネルギーの向きと4つの機能 | 外向と内向 × 4機能=8類型 |
| シュプランガー | どの生活領域に価値を置くか | 理論・経済・審美・社会・権力・宗教 |
クレッチマー
クレッチマーは、ドイツの精神科医である。体格と気質の関係を論じた。
- 細長型は、分裂気質に対応する。非社交的で、内気で、生真面目である
- 肥満型は、循環気質に対応する。社交的で、気分に波がある。躁うつ気質とも呼ばれる
- 闘士型は、粘着気質に対応する。きちょうめんで、粘り強い性格である
患者の観察から出発して、それを健康な人にも当てはめた。ここが特徴である。体格で性格を分けるこの枠組みは、類型論である。
シェルドン
シェルドンは、アメリカの心理学者である。体格を測定し、胚葉の発達をもとに、内胚葉型、中胚葉型、外胚葉型の3つの型に分けた。クレッチマーの説を、数量的に確かめた研究である。
シュプランガー
シュプランガーは、どの生活領域に価値を置くかで、理論・経済・審美・社会・権力・宗教の6つの型に分けた。
ユングの類型論
ユングは、2つの軸を組み合わせた。1つめの軸は、心のエネルギーが向かう方向である。2つめの軸は、心の4つの機能、思考・感情・感覚・直観である。
- 思考と感情は、物事を判断する機能で、合理機能と呼ばれる
- 感覚と直観は、物事をそのまま受け取る機能で、非合理機能と呼ばれる
2つの態度と、4つの機能。掛け合わせて、8つの類型になる。
外向と内向
関心が外の世界に向かう人を外向型、自分の内面に向かう人を内向型と呼ぶ。外向と内向という言葉は、あとのアイゼンクの特性論にも受け継がれる。
答案では、外向と内向を、性格の良し悪しとして書かない。心のエネルギーが向かう方向の違いである。
特性論の人物
特性論の人物は3人である。オールポートに始まり、キャッテル、アイゼンクをへて、ビッグファイブに行き着いた。
オールポート
オールポートは、特性論の出発点になった人である。特性を2つに分けた。
- 共通特性:多くの人に共通していて、人と比べられる特性
- 個人特性:その人だけが持つ特性
共通特性の強さを一覧にした図を、心誌(サイコグラフ)と呼ぶ。
キャッテル
キャッテルは、因子分析という統計の方法を使った。外から観察できる表面特性と、その背後にある根源特性を区別し、16の根源特性を取り出した。これをもとにした検査が、16PFである。
アイゼンクと4つの水準
アイゼンクも、因子分析を使った。基本の次元は2つ、外向と内向、そして神経症傾向である。のちに、精神病傾向を加えた。この理論から作られた検査が、MPI(モーズレイ性格検査)である。
アイゼンクは、パーソナリティを4つの水準の階層で考えた。下から順に、次のとおりである。
- 個別的反応:ある場面での、1回かぎりの行動(例:初対面の人に話しかけた)
- 習慣的反応:似た場面で、繰り返される行動(例:集まりでは、よく話す)
- 特性:習慣的反応がまとまったもの(例:社交性・活動性)
- 類型:特性どうしがまとまったもの(例:外向性)
つまり、特性の上に、類型を置いた。だからアイゼンクは、特性論と類型論を橋渡しした人と説明される。「因子特性論」「実験的類型論」という呼び名もある。答案では、アイゼンクを類型論だけの人として書かず、特性論の側で説明する。
ビッグファイブ
特性論のいまの到達点が、ビッグファイブ(特性5因子モデル)である。特性の数は、研究者によってばらばらだった。キャッテルは16、アイゼンクは2つか3つである。その後の研究を整理すると、5つにまとまる。これが、ビッグファイブの考え方である。人物は、マックレーとコスタを挙げる。
| 因子 | あらわすもの | ほかの呼び名 |
|---|---|---|
| 神経症傾向(N) | 不安になりやすさ | 情緒不安定性 |
| 外向性(E) | 社交性と活動性 | |
| 開放性(O) | 新しい経験への関心 | 知性 |
| 調和性(A) | 思いやりと協調 | 協調性、同調性 |
| 誠実性(C) | 計画性とまじめさ | 勤勉性 |
訳語がいくつもある。答案用紙では、どれか1つに決めて、最後までそろえる。
性格は何で決まるか
性格は、遺伝で決まるのか、環境で決まるのか。この問いには、4つの説がある。
- 生得説:遺伝で決まると考える
- 経験説:生まれたあとの環境と経験で決まると考える
- 輻輳説:シュテルンの説。遺伝も環境も関わり、その統合性を強調する立場
- 相互作用説:いまの主流。遺伝と環境が、互いに影響しあって性格をつくると考える
同じ環境でも、生まれ持った気質によって、受け取り方が変わるからである。
答案でやりがちな間違い
- アセスメントを「心理検査をすること」と書く → 面接・観察・検査の3つで情報を集める過程
- アイゼンクを、類型論だけの人として書く → 特性の上に類型を置いた。特性論の側で説明する
- ユングの外向・内向を、性格の良し悪しとして書く → 心のエネルギーが向かう方向の違い
院試ではこう問われる(この動画のまとめ)
- 用語説明 ― 「心理アセスメント」「類型論と特性論」「ビッグファイブ」。定義 → キーワード → 人物と、対応する型や学説 → 混同しやすい語との違い、の順で書く
- 比較 ― 類型論と特性論の長所と短所(裏返しになっている)。それぞれの代表的な理論家を挙げる。類型論はクレッチマー・シェルドン・ユング、特性論はオールポート・キャッテル・アイゼンク
- 人物と型・特性の対応 ― クレッチマー=体格と気質、ユング=外向と内向×4機能、アイゼンク=外向と内向・神経症傾向。ビッグファイブの5因子は、ほかの呼び名(協調性・同調性、勤勉性、知性、情緒不安定性)も答案で通じるように覚える
3限目①の課題:頻出語の200字と、論述800字
動画の終わりで出している課題と同じです。どちらも、院試の出題の形に合わせて、この塾で作った課題です。
課題1 用語説明(各200字)
この動画の終わりに出てくる頻出語(11語)を、1語ずつ200字で説明してください。「ひとことの定義 → 外せないキーワード → 人物・分類名と、対応する内容 → 似た語との違い」の順で書くと、200字になります。
課題2 論述(800字)
類型論と特性論を比較し、臨床場面でのパーソナリティ理解にどう生かせるかを論じなさい(それぞれの代表的な理論家を挙げること)。
段落は3つで書けます。類型論の説明と人物、特性論の説明と人物、そして臨床での生かし方の順です。
書いたら「できた!」を押す。頻出語の200字と、論述の模範解答は、学生証(無料登録)で読めます。
できた!を押して、学生証へ
できたら、押してください。この端末に記録され、時間割に反映されます。
学生証を作る(無料登録)
大量の過去問を AI で分析し、大学院と院試専門の塾で教えていたスタッフが制作・監修しています。ナレーションは合成音声です。公開前に人が内容を確認しています。
知識は AI で広く。関係は人で深く。知識は無料で届けます。心のことは、人から、関係の中で学ぶものだと考えています。AI の時代に心理士を目指す人にこそ、対面で、人との関係の中で受けるスーパービジョンと師弟関係を大事にしてほしいと思っています。
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