院試塾 12限目②。子どもと家族の心理療法です。12限目の2本目です。この動画では、遊戯療法と Axline の8原則、子どもの精神分析の2つの立場、箱庭療法の成り立ちと箱の規格、人名と療法の組、日本で生まれた療法とほかの療法を、院試で問われる形に整理します。
動画② 遊戯療法と箱庭療法
この動画で覚える 8 語
語を押すと、動画のその場面・テキストの該当箇所が開きます。青は、とくに出題の多い語。
動画② 子どもと家族の心理療法② 遊戯療法と箱庭療法(8語)
テキスト
この動画の内容を、答案に書ける順に文章にまとめる。12限目は、子どもと家族の心理療法である。2本に分け、この回は2本目の、遊戯療法と箱庭療法である。そして、日本で生まれた心理療法である。家族療法は、1本目の内容である。
直近の入試では、遊戯療法が、用語説明、指定された語を使った説明、選択肢の正誤の形で出ている。Axline の8原則は、そのままの名前で、指定語や選択肢に出ている。箱庭療法は、箱の大きさについての選択肢が出ている。最後に、森田療法や内観療法など、日本で生まれた心理療法と、名前で押さえておく療法を、まとめて確かめる。
遊戯療法(プレイセラピー)
最初の語は、遊戯療法である。プレイセラピーとも呼ぶ。入試では、どちらの名前でも出ている。
子どもは、自分の気持ちを、ことばでうまく言い表せない。子どもにとっては、遊びのほうが、ことばよりも基本的な表現の手段である。そこで、遊びを、ことばの代わりとして使う。
おもちゃや遊具をそろえた部屋を、プレイルームと言う。子どもは、この部屋で、セラピストと一緒に、自由に遊ぶ。
遊戯療法を始めたのは、精神分析の立場の人たちである。そのあと、来談者中心の立場からも、方法がまとめられた。
Axline と、児童中心療法
遊戯療法の基本原則を、8つにまとめたのは、誰か。
答えは、Axlineである。Rogers の弟子で、来談者中心の考え方を、子どもの遊戯療法に生かした。
この方法は、児童中心療法とも、非指示的遊戯療法とも呼ばれる。
Axline の8原則は、立場の違いを超えて、遊戯療法の基本の原則とされている。選択肢にも、この言い方で出ている。
Axline の8原則
Axline の8原則は、次の8つである。
- 温かく、友好的な関係をつくる
- 子どもを、あるがままに受け入れる
- 何を言っても許される、許容的な雰囲気をつくる
- 子どもの気持ちを察して、ことばで返す
- 子どもが自分で解決する力を信じて、選ぶことは子どもに任せる
- 指示をせず、子どもについていく(子どもがリードする)
- 治療を、急がない
- 遊びを現実の世界とつなぎ、子どもが自分の責任に気づくために、必要な制限だけを設ける
まとめると、受け入れること、子どもに任せること、そして制限である。何でも許すわけではない。受け入れることと、制限の両方があることを、押さえておく。
子どもの精神分析 2つの立場
遊戯療法を始めた、精神分析の立場には、2つの考え方があった。Anna Freud と、Klein である。


- Anna Freud = 子どもは自分から望んで来るわけではない、と考えた。そこで、本格的に始める前に、子どもとの信頼と愛着をつくる、準備の時期を置く。おとなの精神分析をそのまま使わず、教育の働きを加えた
- Klein = 準備の時期は要らない、と考えた。子どもの遊びを、おとなの自由連想と同じものとみなして、早くから解釈する
2人の考え方の違いは、イギリスの精神分析の中で、大きな論争になった。人名と、準備期か、早くからの解釈か、を対にして押さえる。
箱庭療法の成り立ち
次は、箱庭療法である。英語では、sandplay と言う。
- Lowenfeld = イギリス。子どものための方法として、世界技法を作った。箱庭療法の始まりである
- Kalff = スイス。Lowenfeld に学び、Jung の心理学で理解し直して、Sandspiel(砂遊び)の方法として発展させた
- 河合隼雄 = 日本へ、箱庭療法として導入した
Lowenfeld が始め、Kalff が発展させ、河合隼雄が日本へ。この順番と、人名の組を押さえる。
箱の大きさは、決まっている
箱庭療法では、決まった大きさの砂箱を使う。砂箱の内側は、57×72×7cm である。そこに、棚に並べたたくさんのミニチュアの中から、クライエントが自由に選んで、置いていく。
箱の大きさは、腰のあたりに置いたとき、全体がひと目で見渡せる大きさである。国際的な規格として、決まっている。
選択肢では、年齢や発達に合わせて、箱の大きさを変える、という記述が出ている。これは、規格と合わない。箱は、年齢で変えない。
セラピストは、作品に口をはさまず、見守る。ことばを使わずに表現できることが、箱庭療法の特徴である。
人名と、療法の組
選択肢では、人名と療法の組み合わせが、よく問われる。
- 遊戯療法の側 = Axline、Anna Freud、Klein の3人。Axline は来談者中心、Anna Freud と Klein は精神分析の立場
- 箱庭療法の側 = Lowenfeld、Kalff、河合隼雄の3人
遊戯療法の3人と、箱庭療法の3人を、取り違えない。
日本で生まれた療法と、ほかの療法
最後に、日本で生まれた心理療法と、名前で押さえておく療法を、1つにまとめる。直近の入試では、用語説明や穴埋め、人名との組で出ている。
- 集団療法 = 複数のクライエントを、集団の場で援助する
- 自助グループ = 同じ悩みを持つ人どうしが、支え合う。用語説明で出ている
- 森田療法 = 森田正馬が始めた。不安を取り除こうとせず、あるがままに受け入れる。この、あるがまま、は穴埋めで出ている
- 内観療法 = 吉本伊信が始めた。してもらったこと、して返したこと、迷惑をかけたことの3つを振り返る
- 動作法 = 体の動作を通して、心に働きかける、日本生まれの方法
- 自律訓練法 = Schultz が作った。自己暗示によって、心と体をくつろがせる。人名との組で出ている
森田正馬と吉本伊信は、取り違えない。日本で生まれた方法は、森田療法、内観療法、動作法の3つである。
答案でやりがちな間違い
- 箱の大きさを、年齢で変えると書いてしまう。箱は国際的な規格で、年齢では変えない
- Axline を、精神分析の立場と書いてしまう。Axline は Rogers の弟子で、児童中心療法の立場である。精神分析の立場は、Anna Freud と Klein
- 森田療法と、内観療法の人名を、取り違える。森田正馬が森田療法、吉本伊信が内観療法を始めた
12限目②のまとめ
まとめる。遊戯療法は、遊びを、ことばの代わりとして使う。Axline は、Rogers の弟子で、8原則をまとめた。受け入れること、子どもに任せること、そして、必要な制限である。
子どもの精神分析には、2つの立場があった。Anna Freud は準備期を置き、Klein は早くから解釈する。
箱庭療法は、Lowenfeld が始め、Kalff が発展させ、河合隼雄が日本に導入した。箱の大きさは規格で決まっていて、年齢では変えない。
次の回は、13限目の、見立ての枠組みである。
院試ではこう問われる(この動画のまとめ)
- 遊戯療法とAxlineの8原則 ― 遊戯療法(プレイセラピー)は、遊びをことばの代わりの表現として使う子どもの心理療法。Axline(Rogersの弟子・児童中心療法)が基本原則を8つにまとめた。要点は、あるがままに受け入れること、選ぶことを子どもに任せること、必要な制限だけを設けること(第7は治療を急がない)。何でも許すわけではない
- 子どもの精神分析の2つの立場 ― Anna Freudは、先に信頼と愛着をつくる準備の時期を置き、教育の働きを加える。Kleinは、準備の時期は要らず、遊びを自由連想と同じとみなして早くから解釈する。人名と、準備期か早くからの解釈かを対にして押さえる。Axlineを精神分析の立場と書かない
- 箱庭療法の成り立ちと箱の規格 ― Lowenfeld(イギリス・世界技法)が始め、Kalff(スイス・Jungの心理学)が発展させ、河合隼雄が日本へ導入した。砂箱は国際的な規格で、年齢では変えない。セラピストは作品に口をはさまず見守り、ことばを使わずに表現できることが特徴
- 日本で生まれた療法と、ほかの療法 ― 自助グループは同じ悩みを持つ人どうしが支え合う集まり。森田療法(森田正馬)は不安をあるがままに受け入れ、内観療法(吉本伊信)は3つの視点で振り返る。動作法は日本生まれ。自律訓練法はSchultzが作った。森田正馬と吉本伊信を取り違えない
12限目②の課題:頻出語の200字と、論述600字
動画の終わりで出している課題と同じです。どちらも、院試の出題の形に合わせて、この塾で作った課題です。
課題1 用語説明(各200字)
この動画の終わりに出てくる頻出語(8語)を、1語ずつ200字で説明してください。「定義・何のため・似た語との違い」を入れると、200字になります。
課題2 論述(600字)
プレイルームで、小学2年生の子どもが、終わりの時間になっても「まだ帰らない」と遊びをやめない。Axline の8原則のうち2つ以上を取り上げ、あなたの対応と理由を述べなさい。また、同じ子どもに箱庭療法を取り入れる場合の、遊戯療法と共通する点と、箱庭療法に特有の点を1つずつ述べなさい。
段落は2つで書けます。1つめは、Axline の8原則を2つ以上取り上げた、あなたの対応と理由。2つめは、箱庭療法を取り入れる場合の、遊戯療法と共通する点と、箱庭療法に特有の点です。
できた!を押して、学生証へ
できたら、押してください。この端末に記録され、時間割に反映されます。
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Anna Freud:撮影者不明・オランダ国立公文書館(Nationaal Archief)所蔵・円形に切り抜く加工あり・CC0(Wikimedia Commons)
https://commons.wikimedia.org/wiki/File:Anna_Freud_1957.jpg
https://creativecommons.org/publicdomain/zero/1.0/
Klein:Douglas Glass 撮影・Wellcome Collection 所蔵・縮小と円形に切り抜く加工あり・CC BY 4.0(Wikimedia Commons)
https://commons.wikimedia.org/wiki/File:Melanie_Klein_1952.jpg
https://creativecommons.org/licenses/by/4.0/
大量の過去問を AI で分析し、大学院と院試専門の塾で教えていたスタッフが制作・監修しています。ナレーションは合成音声です。公開前に人が内容を確認しています。
知識は AI で広く。関係は人で深く。知識は無料で届けます。心のことは、人から、関係の中で学ぶものだと考えています。AI の時代に心理士を目指す人にこそ、対面で、人との関係の中で受けるスーパービジョンと師弟関係を大事にしてほしいと思っています。
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