知能と査定③ ウェクスラー式とその他の検査|院試塾 9限目③

院試塾 9限目③ ウェクスラー式とその他の検査
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院試塾 9限目③。知能と査定です。ウェクスラー式とその他の検査を、院試で問われる形に整理します。9限目の3本目です。この動画では、ウェクスラー式知能検査の名前と作った人、年齢で分かれる3つの検査(WPPSI・WISC・WAIS)、いまの版の指標の名前と数、ビネー式とウェクスラー式の比べ方、発達検査と知能検査の比べ方、検査実施上の留意点を整理します。

目次

動画③ ウェクスラー式とその他の検査

9限目③の頻出語マップ

この動画で覚える 10 語

語を押すと、過去問での出題率・動画のその場面・テキストの該当箇所が開きます。青は、とくに出題の多い語。

動画③ 知能と査定③ ウェクスラー式とその他の検査(10語)

テキスト

この動画の内容を、答案に書ける順に文章にまとめる。9限目は、知能と査定である。3本に分け、この回は3本目の、ウェクスラー式とその他の検査である。1本目と2本目では、知能の理論と、知能検査の始まり、そしてIQを見てきた。この回は、いま使われている検査を、名前と、作った人と、対象の年齢で整理する。

近年の入試では、検査の名前を1つずつ問うより、比べて論じさせる形が目立つ。ビネー式とウェクスラー式の違い。そして、発達検査と知能検査の違いである。この2つの比べ方も、ここで整理する。

なお、検査の詳しい見方と、結果の読み方は、このページでは扱わない。ここでは、名前と、作った人、対象の年齢、指標の名前と数を、並べて確かめる。

ウェクスラー式知能検査

最初の語は、ウェクスラー式知能検査である。ウェクスラー法とも呼ぶ。英字では、Wechsler と書く。近年の入試でも、Wechsler 式と、英字のまま出ている。

考案したのは、ウェクスラーである。ベルビュー病院の、主任心理学者であった。最初の検査は、ウェクスラー・ベルビュー知能検査で、成人用であった。当時もっとも使われていた、スタンフォード・ビネーへの不満から、作られた。

ウェクスラー式は、検査者と受ける人が、1対1で行う、個別式の検査である。問題は、いくつかの下位検査に分かれている。下位検査ごとに得点を出し、それをまとめて、全検査IQを出す。

IQは、同じ年齢の集団の中での位置で表す、偏差IQである。平均は100、標準偏差は15である。式は、9限目②で扱った。

年齢で分かれる3つの検査

ウェクスラー式は、対象の年齢によって、3つに分かれる。日本版の、対象の年齢で見る。

  1. WPPSI。幼児用。日本版の WPPSI-III は、2歳6か月から、7歳3か月まで
  2. WISC。児童用。日本版の WISC-V は、5歳0か月から、16歳11か月まで
  3. WAIS。成人用。日本版の WAIS-IV は、16歳0か月から、90歳11か月まで

3つとも、作ったのは、ウェクスラーである。旧過去問では、WAIS と WISC を作った人を、語群から選ぶ形が出ている。語群には、ターマンや、ギルフォードも並ぶ。取り違えないようにする。

いまの版の、指標の名前と数

いまの版では、下位検査の得点をまとめて、いくつかの指標得点と、全検査IQを出す。指標の名前と数を、版と組で確かめる。

  • WAIS-IV = 主要な指標は4つ。言語理解、知覚推理、ワーキングメモリー、処理速度。下位検査は15(基本検査が10、補助検査が5)
  • WISC-V = 主要な指標は5つ。言語理解、視空間、流動性推理、ワーキングメモリー、処理速度

WISC-V の5つの指標の名前は、近年の入試で大学が示した解答の例でも使われている。

古い版では、言語性IQと、動作性IQに分けていた。いまの版には、この2つの枠はない。全検査IQは、いまの版にもある。旧過去問には、この古い枠で出たものがある。答案用紙に書くときは、いまの版の指標の名前で書く。

ビネー式とウェクスラー式

ここからは、比べる形である。まず、ビネー式とウェクスラー式である。近年の入試で、この2つの違いを論述させる形が出ている。英字で、Binet 式、Wechsler 式と書かれることもある。

ビネー(Binet)の肖像
ビネー(Binet)
シモン(Simon)の肖像
シモン(Simon)
  • 作った人 = ビネー式は、ビネーとシモン。ウェクスラー式は、ウェクスラー
  • 問題の組み方 = ビネー式は、年齢ごとに問題を並べる、年齢尺度。ウェクスラー式は、問題を、種類ごとの下位検査に分ける
  • 結果の表し方 = ビネー式は、もともと、精神年齢で表した。のちに、ターマンのスタンフォード・ビネーで、比IQが使われるようになった。ウェクスラー式は、同じ年齢の集団の中での位置を、偏差IQと、指標得点で表す
  • 日本の主な検査 = ビネー式は、田中ビネー知能検査Ⅵ。ウェクスラー式は、WAIS、WISC、WPPSI

日本のビネー式の代表は、田中ビネー知能検査である。いまの第6版では、比IQに代えて、偏差知能指数を、主な指標にしている。

作った人、問題の組み方、結果の表し方、日本の主な検査。この4つの観点で並べれば、違いを論述する形が、組み立てられる。

発達検査と知能検査

次に、発達検査と知能検査である。近年の入試で、具体例を挙げて違いを述べる形や、算出される数値の違いに触れさせる形が、出ている。

発達検査は、主に乳幼児を対象にする。知能検査には、幼児から成人までの検査がある。

  • 発達検査 = 新版K式発達検査、遠城寺式乳幼児分析的発達検査。数値は、発達年齢と、発達指数(DQ)
  • 知能検査 = WISC-V など。ウェクスラー式の数値は、偏差IQと、指標得点

発達検査では、発達年齢を求める。それを生活年齢との比にしたものが、発達指数(DQ)である。

発達検査は、発達年齢と、発達指数。ウェクスラー式の知能検査は、偏差IQと、指標得点。数値の名前で、書き分ける。

ほかの知能検査の名前

ほかの知能検査の名前を、並べておく。いずれも、近年の入試では、設問になっていない。名前だけ確かめておけばよい。

  • K-ABC = カウフマン(Kaufman)。いまの日本版は KABC-II
  • DN-CAS = 日本版は改訂の準備中(DN-CAS2)
  • ITPA = カーク(Kirk)
  • 集団式知能検査 = 陸軍α式・β式(日本ではA式・B式)

検査実施上の留意点

ビネー式とウェクスラー式は、違いだけでなく、共通する点も問われる。近年の入試では、2つに共通する、検査実施上の留意点を述べさせる形が出ている。どちらも、検査者と受ける人が、1対1で行う、個別式の検査である。実施の前、実施中、実施のあと、の3つに分けて整理する。

  1. 実施の前 = 何を、どんな目的で調べるのかを、受ける人に説明して、同意を得る(インフォームド・コンセント)。結果を、誰と、どのように共有するのかも、先に決めておく。検査者の側は、実施の手順に、習熟しておく
  2. 実施中 = 教示や手順は、検査ごとに決められている。決められた手順どおりに進める。そのうえで、ラポール(信頼関係)をつくり、受ける人の不安や緊張に配慮する。部屋は、静かで、プライバシーの守られる場所を選ぶ。疲れが結果に響くこともあるので、時間にも余裕を持たせる
  3. 実施のあと = 結果は、本人の利益のために使い、守秘に気を配る。伝えるときは、どう受け取られるかを考えて、ことばを選ぶ。同じ検査を短い間隔でくり返すと、練習効果で、得点が変わることがある。短い間隔での再検査は、原則として避ける

答案用紙に書くときは、実施の前、実施中、実施のあとの順に並べると、組み立てやすくなる。

答案でやりがちな間違い

  • WAIS や WISC を作った人を、ターマンと書いてしまう。ターマンは、スタンフォード・ビネーである。WAIS、WISC、WPPSI は、3つとも、ウェクスラーである
  • いまの版を、言語性IQと、動作性IQの枠で書いてしまう。いまの版は、WAIS-IV が主要指標4つ、WISC-V が主要指標5つである
  • 発達検査の結果を、IQと書いてしまう。発達検査は、発達年齢と、発達指数(DQ)である

9限目③のまとめ

まとめる。ウェクスラー式知能検査は、年齢で3つに分かれる。WPPSI、WISC、WAIS である。作ったのは、3つとも、ウェクスラーである。いまの版は、指標の名前と数で確かめる。主要な指標は、WAIS-IV が4つ、WISC-V が5つである。

そして、比べる形である。ビネー式とウェクスラー式は、作った人、問題の組み方、結果の表し方で比べる。発達検査と知能検査は、対象の年齢と、算出される数値で比べる。

これで、知能と査定の3本が終わった。次の回は、10限目、精神分析の治療論である。

院試ではこう問われる(この動画のまとめ)

  1. 名前と作った人 ― ウェクスラー式(Wechsler)は年齢で3つ。WPPSI(幼児)・WISC(児童)・WAIS(成人)。3つとも作ったのはウェクスラー。ターマン(スタンフォード・ビネー)やギルフォードと取り違えない
  2. いまの版の指標の名前と数 ― 主要な指標は WAIS-IV が4つ(言語理解・知覚推理・ワーキングメモリー・処理速度)、WISC-V が5つ(言語理解・視空間・流動性推理・ワーキングメモリー・処理速度)。言語性IQ・動作性IQは古い版の枠。全検査IQはいまの版にもある
  3. 比べる形 ― ビネー式とウェクスラー式は、作った人・問題の組み方(年齢尺度か、下位検査か)・結果の表し方(精神年齢・比IQか、偏差IQ・指標得点か)で比べる。発達検査と知能検査は、対象の年齢と、算出される数値(発達年齢・発達指数(DQ)か、偏差IQか)で比べる

9限目③の課題:頻出語の200字と、論述800字

動画の終わりで出している課題と同じです。どちらも、院試の出題の形に合わせて、この塾で作った課題です。

課題1 用語説明(各200字)
この動画の終わりに出てくる頻出語(10語)を、1語ずつ200字で説明してください。「作った人・対象の年齢・似た語との違い」を入れると、200字になります。

課題2 論述(800字)
知能検査と発達検査の違いを、対象の年齢と算出される数値から論じなさい。知能検査については、ビネー式とウェクスラー式の違いにも触れること。それぞれの検査名の例を挙げること。

段落は3つで書けます。1つめは、ビネー式とウェクスラー式の違い。2つめは、発達検査の対象と、発達年齢、発達指数。3つめは、知能検査と発達検査の、対象の年齢と、算出される数値の違いの順です。

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この回で並べた検査の名前を、1つの項目の中でまとめて確かめられる入門書です。検査法のうち知能検査法の項目に、ウェクスラー式の3種類(成人用の WAIS、学齢期用の WISC、幼児用の WPPSI)、ビネー式の田中ビネー知能検査、カウフマンの K-ABC、ITPA、集団式の A式・B式、そして発達検査と、発達年齢・発達指数(DQ)が、順に出てきます。この回の課題2の、知能検査と発達検査の違いを書く前に読むと、検査名の例を集めやすくなります。なお、この本は WAIS-III・WISC-III・田中ビネー知能検査Ⅴの時代に書かれていて、指標の名前と数は、いまの版と違います。いまの版の指標の名前と数は、この動画とテキストで確かめてください。

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写真
ビネー・シモンの肖像:パブリックドメイン(Wikimedia Commons)
この授業について
大量の過去問を AI で分析し、大学院と院試専門の塾で教えていたスタッフが制作・監修しています。ナレーションは合成音声です。公開前に人が内容を確認しています。
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この記事を書いた人

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FromU 心理支援ラボの編集チームです。臨床心理系大学院で教えてきた教員と、心理面接に携わる公認心理師・臨床心理士が、院試塾のテキストと講義を作っています。知識は無料で広く。心のことは、人から、関係の中で。ラボでは、スーパービジョンと学びの場を開いています。

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