行動療法・認知行動療法① 行動療法|院試塾 6限目①

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院試塾 6限目①。行動療法・認知行動療法の、1本目です。行動療法の理論と技法を、似た語を対にして、日常の例つきで整理します。6限目の1本目です。この動画では、行動療法とは何か、行動主義、古典的条件づけとオペラント条件づけ、強化と罰(弱化)、応用行動分析、系統的脱感作法、エクスポージャー、主張訓練とモデリングを扱います。

目次

動画① 行動療法

6限目①の頻出語マップ

この動画で覚える 11 語

語を押すと、過去問での出題率・動画のその場面・テキストの該当箇所が開きます。青は、直近の入試でも出題が続いている語。

動画① 行動療法・認知行動療法① 行動療法(11語)

テキスト

この動画の内容を、答案に書ける順に文章にまとめる。6限目の1本目は、行動療法である。院試では用語説明の定番で、行動療法そのものを問う形に加えて、強化と罰のように、似た語を対にして説明させる形が、近年も出ている。定義と例の2つがそろえば、200字が書ける。

行動療法とは何か

行動療法(behavior therapy)の定義は、学習理論にもとづいて、問題となる行動を変えていく方法の総称である。特徴は3つある。

  1. 問題を、行動としてとらえる。ここでいう行動には、見える動きだけでなく、考えや、感情や、体の反応も入る
  2. 行動は、学習されたものと考える。だから、治療も、学び直しの過程になる
  3. 何を、どこまで変えるのかを、具体的に決めて進める

行動療法は、1950年代の終わりごろから、学習理論をもとに、体系的な方法になっていった。アイゼンクが、この考え方を、行動療法という名前で、まとめた。行動修正や、行動変容という言い方も、ほぼ同じ意味で使われる。

行動主義 行動療法の土台

行動療法の土台にある考え方が、行動主義である。

ワトソンは、心理学が扱うのは、観察できる行動だと考えた。心の中をのぞく内観は、退けた。このとき、パヴロフの条件反射を、取り入れている。

その流れを引き継いだのが、スキナーである。スキナーは、体の中を、ブラックボックスと考えた。そして、環境と行動の関係だけを、分析した。

この、行動を学習としてとらえる見方が、行動療法の土台になる。

2つの条件づけ 古典的条件づけとオペラント条件づけ

行動療法には、2つの理論の背景がある。古典的条件づけと、オペラント条件づけである。対にして整理する。

古典的条件づけ

古典的条件づけは、パヴロフの名前がつき、レスポンデント条件づけとも呼ばれる。中性の刺激の直後に、無条件刺激を添える。すると、中性だった刺激が、条件刺激になり、それだけで反応が起こるようになる。梅干しを見ると、唾が出る。これは、その例である。

条件刺激だけを出し続けると、反応は弱まって消える。これが、消去である。似た刺激にも反応が広がることは、般化と言う。

オペラント条件づけ

オペラント条件づけは、スキナーの名前がつき、道具的条件づけとも言う。自分から出した行動の、あとの環境の変化によって、その行動の起こりやすさが変わる。部屋を片づけるとほめられて、また片づけるようになる。これが、その例である。

ソーンダイクの試行錯誤学習が、オペラント条件づけの原型とされる。

2つの違い

違いは、反応のしかたである。古典的条件づけは、刺激によって、反応が引き出される。オペラント条件づけは、自分から出した行動が、結果によって変わる。

強化と罰(弱化)

オペラント条件づけの、中心になる考え方が、強化と罰(弱化)である。この回の山場である。行動が増えるなら、強化。行動が減るなら、罰である。罰は、弱化とも呼ばれる。そして、刺激が出るのか、消えるのかで、正と負に分ける。

  • 正の強化。刺激が出て、行動が増える。片づけると、ほめられる
  • 負の強化。刺激が消えて、行動が増える。薬を飲むと頭痛が消えて、また薬を飲む。負の強化は、罰ではない。行動が増えている点に、注意する
  • 正の罰。刺激が出て、行動が減る。叱られて、やらなくなる
  • 負の罰。刺激が消えて、行動が減る。スマホを取り上げられて、やらなくなる

体罰は、正の罰の、典型である。一時的に行動が止まっても、恐怖や、逃避や回避や、攻撃といった副作用が、起こりやすくなる。だから、望ましい行動を、強化して増やす方法が、すすめられる。

応用行動分析

オペラント条件づけを、現実の問題に応用したのが、応用行動分析である。行動を、ABCで見る。

  • A 先行刺激。行動の前にあるきっかけ
  • B 行動
  • C 後続刺激。行動のあとに起こること

チャイムが鳴る。席につく。ほめられる。これが、1つの流れである。問題を、行動が多すぎるか、少なすぎるかとして、とらえる。そして、AやCを変えて、行動を変える。

技法が、3つある。

  • シェイピング。目標までを、スモールステップと呼ばれる小さな段階に分けて、近づくたびに強化する。行動形成とも言う
  • トークンエコノミー。望ましい行動にトークンを渡して、あとで好きなものと交換する
  • 消去。これまで強化されていた行動を、強化しなくする

院試では、これらを、具体的な場面を挙げて説明させる形で出ている。日常の例を、1つ用意しておく。

系統的脱感作法

ここからは、行動療法の代表的な技法である。1つめは、系統的脱感作法である。ウォルピが、体系化した。

土台にあるのは、逆制止という原理である。不安と、リラックスは、同時には起こらない。だから、リラックスした状態で不安な場面を経験すると、不安が弱まる。古典的条件づけの理論が、根拠である。

手順は、3段階である。

  1. 不安階層表をつくる。不安の弱い場面から、強い場面へ並べる
  2. リラックスを身につける。漸進的筋弛緩法などを使う
  3. リラックスしたまま、階層の弱い場面から順に、想像していく。できたら、次の場面に進む

たとえば、高い所が怖い人なら、2階のベランダから始める。恐怖症に、効果があるとされる。

エクスポージャー

2つめは、エクスポージャーである。曝露法とも書く。

不安を感じる状況に、想像の中で、または実際に、身をさらす。そして、慣れて、不安を感じなくなることを目指す。作用は、古典的条件づけの消去で、説明される。

系統的脱感作法との違いが、よく問われる。

  • 系統的脱感作法は、リラックスという、不安と両立しない反応を使う。そして、弱い場面から、順に進める
  • エクスポージャーは、リラックスを使わない。強い場面から、始めてもかまわない。不安が下がるまで、その場面にとどまる

系統的脱感作法は、エクスポージャーの、始まりの技法だった。そこから、エクスポージャーが発展した。曝露反応妨害法も、この仲間である。

主張訓練とモデリング

3つめと4つめの技法である。

主張訓練

主張訓練は、アサーション・トレーニングとも言う。自分の気持ちや考えを、率直に、そして相手も大切にしながら、適切に伝える練習である。黙って我慢する、非主張的な表現と、相手を責める、攻撃的な表現。この2つと対にして整理する。

近年の出題では、気分の落ち込みが続く人の事例で、希望を伝える練習にあたる技法を、語群から選ぶ形があった。

モデリング

モデリングは、他者の行動を観察して、学ぶ方法である。バンデューラの、社会学習理論が、背景にある。バンデューラの実験では、攻撃的な行動を見た子どもに、攻撃的な行動が多く見られた。治療では、望ましい行動をモデルが示して、それをまねして身につける。ロールプレイを、使うこともある。

答案でやりがちな間違い

  • 負の強化を、罰と書いてしまう。負の強化は、行動が増える。罰は、行動が減る
  • 行動療法の背景を、古典的条件づけか、オペラント条件づけの、片方だけで書いてしまう。両方が背景である
  • 系統的脱感作法と、エクスポージャーを、同じものとして書いてしまう。リラックスを使うかどうかと、進め方が違う

6限目①のまとめ

まとめる。行動療法は、学習理論にもとづいて、問題となる行動を変える方法である。背景は、古典的条件づけと、オペラント条件づけの2つである。強化と罰は、行動が増えるか減るかと、刺激が出るか消えるかで、整理する。負の強化は、罰ではない。技法は、理論とセットで整理する。系統的脱感作法とエクスポージャー、主張訓練、モデリングである。

ところで、行動療法は、心の中の動きを見ていない、という批判も受けた。そこで、考えや感じ方といった、内側の動きも取り入れた方法が生まれる。それが、認知行動療法である。次の回で扱う。

出典について

図は自作。例はすべて日常の場面の自作である。図は、下山晴彦編『よくわかる臨床心理学』(ミネルヴァ書房)に着想を得ている。

院試ではこう問われる(この動画のまとめ)

  1. 行動療法 ― 学習理論にもとづいて、問題となる行動を変える方法の総称。背景は、古典的条件づけとオペラント条件づけの両方
  2. 強化と罰(弱化) ― 行動が増えれば強化、減れば罰。刺激が出るか消えるかで、正と負に分ける。負の強化は、罰ではない
  3. 技法は理論とセット ― 系統的脱感作法とエクスポージャーの違い(リラックスの要不要と、進め方)。主張訓練は、非主張的・攻撃的な表現と対にする

6限目①の課題:頻出語の200字と、論述800字

動画の終わりで出している課題と同じです。どちらも、院試の出題の形に合わせて、この塾で作った課題です。

課題1 用語説明(各200字)
この動画の終わりに出てくる頻出語(11語)を、1語ずつ200字で説明してください。「ひとことの定義・しくみ・日常の例・似た語との違い」を入れると、200字になります。

課題2 論述(800字)
行動療法の2つの理論背景を、それぞれに基づく技法の例を挙げて説明し、両者の違いを論じなさい。古典的条件づけとオペラント条件づけを取り上げ、日常の場面の例を1つ用いること。

段落は3つで書けます。1つめは、古典的条件づけと、それに基づく技法。2つめは、オペラント条件づけと、それに基づく技法。3つめは、2つの違いの順です。

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『よくわかる臨床心理学[改訂新版]』の表紙

よくわかる臨床心理学[改訂新版]

下山晴彦 編/ミネルヴァ書房(改訂新版 2009年)

この回で扱った行動療法・条件づけ・応用行動分析・曝露法(エクスポージャー)・系統的脱感作法・アサーションを、同じ1冊の中で引ける入門書です。見開き2ページで1つの項目なので、気になった語だけを、辞書のように読めます。行動療法の項目には、アイゼンクによる定義も出てきます。次の回で扱う認知行動療法も、同じ本の続きの項目で読めます。なお、臨床心理学の全体を1冊で見渡す入門書なので、行動療法だけを深く掘り下げる本ではありません。

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大量の過去問を AI で分析し、大学院と院試専門の塾で教えていたスタッフが制作・監修しています。ナレーションは合成音声です。公開前に人が内容を確認しています。
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この記事を書いた人

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FromU 心理支援ラボの編集チームです。臨床心理系大学院で教えてきた教員と、心理面接に携わる公認心理師・臨床心理士が、院試塾のテキストと講義を作っています。知識は無料で広く。心のことは、人から、関係の中で。ラボでは、スーパービジョンと学びの場を開いています。

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