院試塾 11限目②。臨床の倫理と予防です。11限目の2本目は、予防と地域援助です。この動画では、予防の3段階と産業の場での各段階の例、危機介入、心理的応急処置(PFA)と見る・聞く・つなぐ、アウトリーチを、院試で問われる形に整理します。
動画② 予防と地域援助
この動画で覚える 7 語
語を押すと、動画のその場面・テキストの該当箇所が開きます。青は、とくに出題の多い語。
動画② 臨床の倫理と予防② 予防と地域援助(7語)
テキスト
この動画の内容を、答案に書ける順に文章にまとめる。11限目は、臨床の倫理と予防である。2本に分け、この回は2本目の、予防と地域援助である。予防の3段階は、1限目でも扱った。この回では、段階ごとの具体例と、災害や事件のあとの支援まで進む。
直近の入試では、予防の3段階の目的と例を、表に書かせる問題が出ている。災害のあとの心理的な支援も、いくつかの大学で、新しく出ている。
予防の3段階
1限目のおさらいである。予防は、3つの段階で答える。Caplanが、予防精神医学の中で整理した考え方である。
- 一次予防 = 問題が起きる前に、原因になるものを減らす。健康な人も含めた、全員が対象
- 二次予防 = 早期発見と、早期対処。問題が出始めた人を早く見つけて、重くなる前に手を打つ
- 三次予防 = すでに問題を抱えた人の、再発の防止と、社会復帰の支援
段階の名前だけでなく、それぞれの目的を、一言で書けるようにする。
職場での、予防の3段階
入試では、段階ごとの具体例も問われる。職場、つまり産業の場で考える。
- 一次予防 = ストレスチェックや、心の健康教育の研修。まだ不調になっていない、全員に向けた働きかけである
- 二次予防 = 健康診断などで不調を早く見つけ、早めに面談につなぐ
- 三次予防 = 休職した人の、職場への復帰の支援。復帰したあとに、再び悪くならないように支えることも含む
ストレスチェックは、名前から二次予防と思われがちだが、一次予防である。
危機介入
次は、危機介入である。
災害や事故、身近な人の死など、大きな出来事のあと、人は、ふだんのやり方では乗り越えられない混乱に陥ることがある。これを、危機状態と言う。
危機状態は、ずっとは続かない。この時期に適切な助けがあると、立ち直りやすくなる。そこで、早い時期に、短く集中して働きかける。これが、危機介入である。
この考え方は、LindemannとCaplanが、危機理論として整えた。地域で予防を進める、コミュニティ心理学の柱の1つである。
心理的応急処置(PFA)
災害や事件の直後に行う心理的な支援は、専門家のカウンセリングだろうか。答えは、違う。
WHOなどがまとめた、心理的応急処置である。英字で、PFAと書く。サイコロジカル・ファーストエイドとも呼ばれる。
心理的応急処置は、深刻な危機的出来事に見舞われた人への、人道的で、支持的で、実際的な支援である。
- 専門家にしかできないもの、ではない。教員やボランティアなど、援助する立場の人なら誰でも行える
- 専門家が行うカウンセリングとは異なる
- 出来事について、詳しく話させることも求めない。つらい体験を語らせる心理的デブリーフィングとは、違うものである
見る・聞く・つなぐ
心理的応急処置には、3つの活動原則がある。見る、聞く、つなぐ、である。穴埋めで、この3つから名前を答えさせる問題が出ている。
- 見る = まず周りの安全を確かめる。そして、急いで助けが必要な人や、強いストレス反応を示している人を確かめる
- 聞く = 助けが必要な人に寄り添い、必要なことや、気がかりをたずねる。話を聞いて、落ち着けるように手助けする
- つなぐ = 食べ物や水などの支援、正しい情報、そして家族や社会的な支援に、結びつける
支援者がそばにいられるのは、短い間である。本人が、自分で対処していけるように支える。
すべきこと・してはならないこと
心理的応急処置のガイドには、倫理的に、すべきことと、してはならないことが、表にまとめられている。論述では、ここに触れることが求められている。
すべきことは、たとえば、次のとおりである。
- 誠実に接する
- 本人が自分で決める権利を、尊重する
- 聞いた話の秘密を守る
- 今は断っても、あとで支援を受けられると伝える
してはならないことは、たとえば、次のとおりである。
- 無理に話をさせる
- 聞いたことを、別の人に話す
- できない約束をする
- 支援を押し付ける
アウトリーチ
最後は、アウトリーチである。用語説明や穴埋めで出ている。
これまでの心理支援は、相談室で、来る人を待つ形が中心だった。けれども、支援が必要なのに、自分からは求めない人や、求め方を知らない人がいる。
そこで、支援者の側から、家庭や地域など、生活の場に出向いて働きかける。これが、アウトリーチである。
見えにくいニーズを掘り起こして、必要な支援につなぐことで、予防にも役立つ。
答案でやりがちな間違い
- 二次予防と三次予防を、取り違える。早期発見と早期対処が二次予防、再発の防止と社会復帰が三次予防である
- ストレスチェックを、二次予防と書いてしまう。全員に向けた働きかけなので、一次予防である
- 心理的応急処置を、専門家のカウンセリングと書いてしまう。カウンセリングとは異なり、無理に話をさせない支援である
11限目②のまとめ
まとめる。予防は3段階である。一次予防は原因を減らし、二次予防は早期発見と早期対処、三次予防は再発の防止と社会復帰である。職場では、ストレスチェックが一次予防、復職支援が三次予防である。
危機介入は、危機状態にある人に、早い時期に、短く集中して働きかける。
心理的応急処置は、見る、聞く、つなぐの3つの原則で行い、カウンセリングとは異なる。アウトリーチは、生活の場に出向く支援である。
次の回は、12限目の、子どもと家族の心理療法である。
院試ではこう問われる(この動画のまとめ)
- 予防の3段階 ― Caplanが整理。一次予防=問題が起きる前に原因を減らす(全員が対象)、二次予防=早期発見と早期対処、三次予防=再発の防止と社会復帰。職場では、ストレスチェックと心の健康教育が一次、健康診断と早めの面談が二次、復職支援が三次。ストレスチェックは一次予防
- 危機介入と心理的応急処置(PFA) ― 危機介入は、危機状態にある人に、早い時期に短く集中して働きかける援助(LindemannとCaplanの危機理論)。PFAは、見る・聞く・つなぐの3原則。専門家にしかできないものではなく、カウンセリングや心理的デブリーフィングとは異なる。すべきこと(誠実・自己決定の尊重・秘密を守る)と、してはならないこと(無理に話をさせる・できない約束・押し付け)がある
- アウトリーチ ― 相談室で待たず、支援を求めない人にも、生活の場に出向いて働きかける。見えにくいニーズを掘り起こし、予防にも役立つ
11限目②の課題:頻出語の200字と、論述500字
動画の終わりで出している課題と同じです。どちらも、院試の出題の形に合わせて、この塾で作った課題です。
課題1 用語説明(各200字)
この動画の終わりに出てくる頻出語(7語)を、1語ずつ200字で説明してください。「定義・何のため・似た語との違い」を入れると、200字になります。
課題2 論述(500字)
ある企業で働く心理職として、一次予防、二次予防、三次予防の、それぞれの目的を述べなさい。そして、各段階で行う活動の例を、1つずつ挙げなさい。
段落は3つで書けます。1つずつ、段階の目的と、活動の例を組にして、一次予防、二次予防、三次予防の順に書きます。
できた!を押して、学生証へ
できたら、押してください。この端末に記録され、時間割に反映されます。
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大量の過去問を AI で分析し、大学院と院試専門の塾で教えていたスタッフが制作・監修しています。ナレーションは合成音声です。公開前に人が内容を確認しています。
知識は AI で広く。関係は人で深く。知識は無料で届けます。心のことは、人から、関係の中で学ぶものだと考えています。AI の時代に心理士を目指す人にこそ、対面で、人との関係の中で受けるスーパービジョンと師弟関係を大事にしてほしいと思っています。
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