臨床の倫理と予防① 臨床の倫理|院試塾 11限目①

← 院試塾の時間割(入口)へ独学で目指せる臨床心理系大学院|いまは 11限目① です。はじめての方は、まず時間割のページからどうぞ。

院試塾 11限目①。臨床の倫理と予防です。臨床の倫理を、院試で問われる形に整理します。11限目の1本目です。この動画では、守秘義務とその例外、答案の型、インフォームド・コンセント、公認心理師法の4つの義務、多重関係を、院試で問われる形に整理します。

目次

動画① 臨床の倫理

11限目①の頻出語マップ

この動画で覚える 8 語

語を押すと、過去問での出題率・動画のその場面・テキストの該当箇所が開きます。青は、とくに出題の多い語。

動画① 臨床の倫理と予防① 臨床の倫理(8語)

テキスト

この動画の内容を、答案に書ける順に文章にまとめる。11限目は、臨床の倫理と予防である。2本に分け、この回は1本目の、臨床の倫理である。倫理は、1限目でも6つの柱として扱った。この回では、入試で問われる形に合わせて、もう一歩深める。

直近の入試では、3つの形で出ている。観点を指定して論じる形、事例への対応を述べる形、そして、法律の条文の穴埋めである。

研究の倫理は、4限目の3本目で扱った。この回では、面接や検査など、臨床の場面の倫理を扱う。

守秘義務(秘密保持義務)

臨床の倫理の中心は、守秘義務である。業務で知った秘密を、正当な理由なく、漏らしてはいけない。

公認心理師法では、第41条に、秘密保持義務として定められている。法律の言い方は、秘密保持である。穴埋めでは、こちらの言い方で問われる。

この義務は、公認心理師でなくなったあとも続く。守秘義務は、クライエントが安心して話すための、土台である。ただし、どんな場合でも守る、というものではない。

守秘義務の例外

1限目のおさらいである。守秘義務には、例外がある。

  • 他の人の命に危険がある = 特定の相手への、差し迫った危害のおそれ
  • 自分の命に危険がある = 自殺のおそれ
  • 虐待が疑われる = 通告は、守秘義務より優先される
  • チームでの共有 = 援助にかかわる人どうしで共有する
  • 本人の同意 = 本人が、伝えることを認めたとき

1つめは、他の人の命に、危険があるときである。アメリカのタラソフ判決では、クライエントが、特定の相手に危害を加える危険があるとき、専門家には、その相手を守るための義務がある、とされた。

この義務は、警告義務と呼ばれる。のちに、保護義務とも呼ばれるようになった。選択肢では、タラソフ事件と、守秘義務と警告義務の組で出ている。

2つめは、自殺のおそれなど、本人の命に危険があるときである。3つめは、虐待が疑われるときである。通告は、法律で、守秘義務より優先される。

4つめは、チームでの共有である。病院や学校で、援助にかかわる人どうしが情報を共有し、チーム全体で秘密を守る。これを、集団守秘義務と言う。

そして、本人が同意したときである。今では、例外のある守秘義務、という考え方が主流である。

答案の型 3つの順

事例への対応を問われたら、3つの順で書く。

  1. 原則 = 秘密は守る。それが、クライエントとの信頼の土台だからである
  2. 例外 = 命の危険や、虐待が疑われるときは、伝えるべき場合にあたる
  3. 必要な範囲で伝える = 誰に、何を伝えるかを、しぼる。できれば、本人の了解を得てから伝える

もう1つ、守秘の限界は、面接のはじめに伝えておく。秘密は守るけれど、命にかかわるときは別、と最初に説明しておけば、いざというときに、関係を壊さずに動ける。

「どんな場合も守る」も、「すぐに警察に知らせる」も、どちらも答案としては足りない。

インフォームド・コンセント

心理検査を始める前に、検査の目的のほかに、何を説明すればよいか。

答えは、インフォームド・コンセントである。説明を受けたうえでの同意、という意味である。

説明することは、たとえば4つある。

  1. どんな方法で、どれくらい時間がかかるか
  2. 結果を、どう伝え、何に使うか
  3. 秘密の扱いと、その限界
  4. 受けるかどうかは自分で決められ、自由に断れること、途中でやめられること

説明は、専門用語を避けて、分かる言葉で行う。

検査のあとの結果の返し方も、倫理の一部である。アセスメントの倫理を論じる問題では、インフォームド・コンセント、守秘義務、結果の返し方の3つを、観点に指定されることがある。3限目の3本目のおさらいである。

公認心理師法の4つの義務

次は、公認心理師法の義務である。条文の番号と名前の組が、穴埋めで出ている。

  • 第40条 = 信用失墜行為の禁止。公認心理師の信用を傷つける行為をしてはいけない。仕事の中だけでなく、私生活での行為も含む
  • 第41条 = 秘密保持義務。さきほどの守秘義務である
  • 第42条 = 連携等。保健医療、福祉、教育などの関係者と、連携を保つ。また、相談者に主治医がいるときは、その指示を受けなければならない
  • 第43条 = 資質向上の責務。知識と技能の向上に、努めなければならない

4つの義務のうち、罰則があるのは、秘密保持だけである。資質向上は、努めなければならない、という努力の義務である。

多重関係

最後は、多重関係である。用語説明と、穴埋めで出ている。

多重関係とは、クライエントと、援助の関係のほかに、別の関係を持つことである。たとえば、面接の外で、友だちづきあいをする。交際相手になる。仕事で取引をする。二重関係とも言う。

職業倫理では、多重関係は避けるべきもの、とされている。

別の関係が重なると、心理職の判断が、客観的でなくなる。クライエントの側も、嫌なことを嫌と言いにくくなる。援助の関係が、クライエントのためではなく、心理職の利益のために使われる危険も出てくる。

答案でやりがちな間違い

  • 守秘義務を、例外なしに守るものと書いてしまう。原則、例外、必要な範囲の3点で書く
  • 4つの義務の条番号を取り違える。40条は信用失墜行為の禁止、41条は秘密保持、42条は連携、43条は資質向上である
  • どの義務にも罰則があると書いてしまう。罰則があるのは、秘密保持だけである

11限目①のまとめ

まとめる。守秘義務は、法律では秘密保持義務である。命の危険や虐待のときは、例外になる。タラソフ判決は、守秘義務と警告義務の組で覚える。答案は、原則、例外、必要な範囲の順で書く。

インフォームド・コンセントでは、方法、結果の使い方、秘密の限界、断れることを、分かる言葉で説明する。

公認心理師法の義務は、40条から43条の4つである。そして、多重関係は避ける。

次の回は、11限目の2本目、予防と地域援助である。

院試ではこう問われる(この動画のまとめ)

  1. 守秘義務とその例外 ― 法律の呼び名は秘密保持義務(公認心理師法 第41条)。他の人の命の危険・自殺のおそれ・虐待の疑い・チームでの共有(集団守秘義務)・本人の同意は例外。タラソフ判決は守秘義務と警告義務(のちに保護義務)の組。答案は「原則→例外→必要な範囲で伝える」の順で、守秘の限界は面接のはじめに伝えておく
  2. インフォームド・コンセント ― 検査の前に、方法と時間・結果の伝え方と使い道・秘密の扱いと限界・自由に断れること、途中でやめられることを、分かる言葉で説明する。アセスメントの倫理は、インフォームド・コンセント・守秘義務・結果の返し方の観点で問われる
  3. 公認心理師法の4つの義務と多重関係 ― 40条=信用失墜行為の禁止(私生活も含む)、41条=秘密保持義務、42条=連携等(主治医の指示)、43条=資質向上の責務。罰則があるのは秘密保持だけ。多重関係(二重関係)は避ける

11限目①の課題:頻出語の200字と、論述600字

動画の終わりで出している課題と同じです。どちらも、院試の出題の形に合わせて、この塾で作った課題です。

課題1 用語説明(各200字)
この動画の終わりに出てくる頻出語(8語)を、1語ずつ200字で説明してください。「定義・何のため・似た語との違い」を入れると、200字になります。

課題2 論述(600字)
面接の中で、クライエントが「誰にも言わないでください」と前置きしたうえで、特定の人への危害をほのめかした。守秘義務の原則と例外、あなたがとる対応を、理由とともに述べなさい。

段落は3つで書けます。1つめは、守秘義務の原則。2つめは、例外と、この場面があてはまる理由。3つめは、必要な範囲で伝えるという対応の順です。

11限目の1冊|PR
『公認心理師エッセンシャルズ 第2版』の表紙

公認心理師エッセンシャルズ 第2版

子安増生・丹野義彦 編/有斐閣(第2版)

この回の臨床の倫理を、公認心理師の学びの全体の中で確かめられる入門書です。目次に、公認心理師の法的義務、職業倫理、安全の確保、守秘義務、情報共有(多職種連携・地域連携)の項目が、この回と近い順に並んでいます。この回の課題2を書く前に、守秘義務と連携の関係を読み直したいときに向いています。なお、公認心理師の学びの全体を薄く広く見渡す本なので、1つの語を長い文章で論じる使い方には向きません。答案の型は、この動画とテキストで確かめてください。

※ このリンクは広告(アフィリエイト)です。ここから購入されると、代金の一部が FromU の運営(この塾を無料で続ける費用)に充てられます。

できた!を押して、学生証へ

できたら、押してください。この端末に記録され、時間割に反映されます。

11限目①クリア、おめでとうございます。net.fromu.jp に無料登録すると、この課題の模範解答と章末クイズが開き、進み具合がアカウントに残ります。
学生証を作る(無料登録)
この授業について
大量の過去問を AI で分析し、大学院と院試専門の塾で教えていたスタッフが制作・監修しています。ナレーションは合成音声です。公開前に人が内容を確認しています。
知識は AI で広く。関係は人で深く。知識は無料で届けます。心のことは、人から、関係の中で学ぶものだと考えています。AI の時代に心理士を目指す人にこそ、対面で、人との関係の中で受けるスーパービジョンと師弟関係を大事にしてほしいと思っています。
▶ 院試塾 時間割▶ 学生証(無料登録) ※ 過去問の問題文そのものは各大学の著作物のため、扱っていません。
よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

Lab.FromUのアバター Lab.FromU FromU 心理支援ラボ

FromU 心理支援ラボの編集チームです。臨床心理系大学院で教えてきた教員と、心理面接に携わる公認心理師・臨床心理士が、院試塾のテキストと講義を作っています。知識は無料で広く。心のことは、人から、関係の中で。ラボでは、スーパービジョンと学びの場を開いています。

コメント

コメントする

目次