風景構成法

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心理臨床を勉強したい人
(心理系学部・院生・専門家)
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参考文献

概要

「風景構成法」とは、1969年に中井久夫氏(現神戸大学医学部精神科教授)の創案になる全く新しい心理テストである。

箱庭療法における、「退行」を促しやすい砂の上、玩具類を用いて作品を作るという、児童や神経症者にとってはまさにその点において治療的でありうることが、統合失調症者においては、かえって非治療的になる可能性があることを中井氏は見抜いた。氏は三次元空間から二時元平面に次数を下げ、川、山、田、道、家、木、人、花、動物、石などといったアイテムを順次述べて、「風景」を構成させる、ということで、箱庭のもつ侵襲性を減じ、かつ誰にでも、全く同じ導入法で追試可能とすることにより、後続する者にとっては、まことに簡単な用具(画用紙とサインペンとクレパス)と方法とで可能となった本法である。

「アイテムの配列一つをとってみても、なかなかのシロモノでありこれまでの私の十年に至る臨床の場での実際経験からいって、ロールシャッハ法に勝るとも劣らぬ卓越した方法であることが確信されるのである。(山中 康之)」

実施法

必要なもの

  • サインペンorマジック←理由:書きやすい 描線はっきり 消しゴムの使用不可
  • 12色or24色程度のクレパス
  • A4(297×210mm)←50分のセッションに収まる時間と疲労感

沢が実施する場合は、色付けは実施しないことが多い。色付けも原法として大事な部分があるが、時間短縮のメリット(デメリットもあるが)が沢に合っている。20分以内に情報多く取れる検査になる!色への敏感さが沢にはないし…。
また、鉛筆で実施する(サインペンは、色がついたときに後ろから透かせて見えるメリットがある。鉛筆は、使い慣れている道具というメリット)

教示

・画用紙にサインペンで一本の線で額縁のように枠どりをする。そのサイペンを手渡し

「さぁこれから風景を描いてもらおうと思います。上手下手を見るのではありませんから、好きなように描いてください。ただし、私の言う順番通りにしてほしいのです。」

アイテムの順番

川→山→田→道→家→木→人→花→動物(書きたい動物)→石→アディション(付加「最後に好きなもの描き加えてその絵を完成させてください。」)→色塗り→質問

それぞれのアイテムの意味

「まず、川です。川を描いてみてください」

・何もないところ(不安場面)への代一筆の反応は大事

 すぐに描くのか、考えるのか、何か質問してくるのか・・・

・「川」によって、空間が大きく分割される。

・何も無いところに「川」を書くエネルギー

・元気がない人はあまり大きな川を書くイメージは起きないはず・・・

>「真中の川で左右真二つに分断されてしまった。この先どうなるのだろうか」 >「なんと小さな川だこと、これを表現するのすらよほど大変だったとみえる。せかさず に慎重に、配慮深く進めないと…」

「さて、川がかけましたね。次は山です。山を描いて見て下さい。」

・最初に「風景をかいてもらう」と言ったのを聞きとめていた人は、たいてい山や丘などの空間を上方に幾分か残して描くことが多いが、あと先のことなど一切かまわず、川を紙の上端から描いてしまった人は、「山」と言われて一瞬とまどうも、そのあと、色々な形で「山を」処理する。(空間の歪みおかまいなしに描く、等高線状、川を塗りつぶす等)

「次は田んぼ。田です。田んぼを描いてください。」

・「畑でもいいですか?」と尋ねられる場合、「畑でもかまいません。」と付け加える。(外国人に適用する際にはWise meadow 牧場の意)

・労働や勉強のイメージが投影されやすい。

「さて、次は道です。道を描き入れてください。」

・風景構成法の場合、描かれる数は単数でも複数でもかまわない。
↑この段階で「二本書いてもいいですか?」とか、「別の道も書き加えていいですか?」と聞かれることがある。
>「思った通り書いてくださって結構ですよ」

家 木 人

「道の次は、家です。家をかいてください」

・「家」、「木」、「人」はHTPテストの諸要素であり、すぐれて人格を投影する。

・「人」はしばしば書くのを拒否、小さく描かれる、図式的線描写(stick figure)も多く、抵抗感の強い項目

「さて、次は花です。花を描き入れてください」

・拒否されることの多い抵抗強いアイテム「人」のあとに、「花」をもってくることは、施行する側も、される側もほっとするアイテム。

・大事なものの横に描かれる傾向

>家脇に菊を添える者、道端一面に野の草花を描き添える者、人の側に大輪の花を描く者

動物

「花の次は、動物です。どんな動物でもかまいません。動物を描いてみてください」

・人を拒否した人も、動物は描く人が多い。

・もの言わぬ物にひそやかに自分を託している人もいる。

・犬、猫、ウサギ、ニワトリ、などの家畜が最も多い。

・馬や牛なども多い。

・鹿やキリン、パンダ、コアラ、ライオン、トラ、象といった動物園の人気者。

・ときには、蛙、蛇を好んでというよりかは、描かざる得なくて描かれることがある。

・選ばれる動物はその人のある側面を絶妙に語っていることがある。

 (この「感じ」は、冒頭の川の項目からいずれにもあてはまる。)

「次は石です。石を描いてください」

・風景画のどれを見ても、それとなく描かれているもの

・分裂病の人たちは、たとえ人や動物や道を拒否しても、「石」だけは守るようにしっかり定位することが多い。

・神経症圏の人たちは、いかにも道にごろごろと沢山の石を撒き散らすことがある。

・強迫症の人達は、ぎっしりと敷きつめるように川を護岸したりすることがある。

アディション(付加)

「さて、私の言うのはこれだけです。最後に、何か足らぬもの、描きたいものがあったら書き加えてください。また、今までのもので未完成なところ、もっと書き加えたい部分があったら、それもよろしいです。とにかく、風景を完成させてください。」

・被験者の自由裁量にまかされているところが良い

・「橋」が最もよく追加される。(橋はしばしば、「道」の段階で川を渡るときすでに架けられていることが多い。)

・太陽、月、雲、魚、草、窓、カーテン

・戸を閉じるもの、戸を開くもの

解釈

詳細は絵の解釈ページへ

・一つ一つのアイテムの意味よりも、バランス、絵の感じ、印象が大事

・「風景」を構成することなく、言われた順序に、ちょうど「文字積木」の裏絵を並べていくごとくに描いている人→構成放棄:そのこと自体一つの立派な「症状」「表現」

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