保育×心理のマネージメント

保育士の採用や育成では、どんな資質がポイントになるでしょうか。一般的には、「子どもが好き」「子どものことをもっと知りたい・探求心」「保育への意欲」があげられるでしょう。この記事では、保育現場の園長として働いてきた経験から、保育園「全体」の質を上げてくれる大事な資質についてのポイントを紹介します。

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メンターとしての資質

 個人的に優れた保育士であっても、後輩を指導するメンターとしての力が備わっているかというと、その能力は別です。子どもへの対応が素晴らしい、保育の引き出しをたくさん持っている、保護者対応もそつがなくこなせる、という保育士でも、人に仕事を任せられない(信じられない、待てない)、なんでも自分でこなすことが優先になってしまい、後輩育成においては躓く、というケースはあります。

 後輩の力を信じて、子ども達に危険がない限りはある程度見守り、失敗から学んでもらえるようにその成長を見守ることが出来る人。後輩の良い所を沢山見つけて認めることが出来る人。後輩の思いや意見を拾い、一緒に考えて成功体験に繋げ、保育の楽しさを感じられるように導ける人。相手に役割を与え見守る姿勢や、成長を待つ姿勢は、相手への愛情がなければできません。
 このメンターとしての力は、自分が経験してきた人間関係や、上司との出会い、学びの中で培われるものであると感じます。

 保育現場では、この「新人の育成」と、「メンターの発掘・育成」は、どちらも重要な課題ですが、離職率が高く、人の入れ替わりが多い職場では、このメンターの育成は難しいでしょう。メンターとしての適性は、離職率が少ない組織文化の支えがあってこそです。

自身の保育観を持ち、それを共有できる資質

組織全体の向上には、中堅層と園長の信頼関係が鍵となります。ここの信頼関係がしっかりと出来ていると、その様子は若手職員や新人職員にも安心感を与え、中堅層の姿に習い、未来のキャリアアップのイメージを持つことができます。そして組織全体が、心理的安全性の高い、活気のある良い雰囲気となります。すると園長がその都度細かい指示を出さずとも、現場の職員がその思いを汲み、同じ思いで進んで動いてくれるチームとなるでしょう。保育はチームワークです。チーム保育がうまくいっている園は、保育環境に還元され、子どもの最善の利益につながります。そこを目指すべく、尽力したいところです。
 逆に保育観や思いを職員と共有できず、信頼関係のできていない関係が続いていると、必要な時に職員から協力を得ることは出来ず、組織の活力は失せ、個人としても組織としても、向上・前進することは難しいでしょう。結果的に子どもの利益にはつながりません。


 以上、保育士の資質には、「子どもが好き」「子どものことをもっと知りたい・探求心」「保育への意欲」に加えて、保育園園「全体」の質を上げてくれる大事な資質として、「メンターとしての資質」「自身の保育観を持ち、それを共有できる資質」がポイントになると考えています。

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