【心理系大学レポート公開シリーズvol.9】心理学研究法①~面接法と質問紙法~(評価:A)

目次

設題の確認

心理学の研究法のうち、面接法と質問紙調査法について述べよ。

<ポイント>

心理学をはじめとする人間科学の研究法として、面接法、質問紙調査法がある。それぞれの方法の特徴や問題点、準備・ 実施上の留意点などについてまとめること。

レポート構成(序論)

 本レポートでは、面接法と質問紙調査法について説明する。
第一節では面接法の特徴と種類について、第二節では面接法の長所・短所と留意点について、第三節では質問紙調査法の特徴と種類について、第四節では質問紙調査法の長所・短所と留意点について述べる。

第一節:面接法の特徴と種類(本論①)

 面接法とは、面接者が被面接者と直接顔を合わせた状態で質問し、口頭で回答を求めた上で、そのデータを収集する調査法である。
 双方のコミュニケーションが行われることで、質問紙法では得られない深い情報や、対象者の意識や経験の全体をデータとして捉えやすくなるため、研究者にとって予測しなかった新たな洞察が得られることが特徴である。

面接法は、調査的面接法と臨床的面接法の二種類に大別される。

まず調査的面接法とは、対象人物を調査することや、深く知るために行われる標準的な面接方法である。この調査的面接法の中には、更に構造化面接法・半構造化面接法・非構造化面接法の三種類が存在する。
構造化面接法とは、事前に質問内容や評価基準などを決めておく方法である。
半構造化面接法とは、既定の質問をした後に、話の流れに応じて面接者が柔軟に質問内容を変化させたり増やしたりする方法である。
非構造化面接法とは、事前に質問内容などは決めずに対象者との会話の中で自由に質疑応答を行う方法である。

次に臨床的面接法とは、診断や治療のために行う面接であり、主にカウンセリングや心理療法で用いられ、クライエントの悩みや問題解決のサポートを目的としている。
具体的には、クライエント中心療法、精神分析療法、集団精神療法などがあげられる。

第二節:面接法の長所・短所と留意点(本論②)

 面接法の長所としては、以下の三点のとおりである。
一つ目は、質問について補足や説明ができる点である。
二つ目は、被面接者の拒否的な態度をやわらげることやそうした態度をチェックできる点である。
三つ目は、相手の回答に応じてより深い質問をしたり確かめたりすることができる点である。

短所としては、以下の三点があげられる。
一つ目に、一斉にデータを大量にとることができない点である。
二つ目は、データを取るのに手間と時間がかかる点である。
三つ目は、誘導質問になってしまう恐れや心理的圧力がかかってしまうおそれがある点である。

面接法の留意点は、面接者と被面接者の相互的コミュニケーションを通して情報を収集する方法であるため、面接者にはコミュニケーション過程をマネジメントする面接技能が求められる。被面接者が理解しやすい話し方を心がけ、発言内容に頷いたり、相槌を打ったりするなどして、安心感を持ってもらうように努力する必要がある。同時に、面接者は被面接者の言葉だけではなく、表情や身振りなどのあらゆる非言語コミュニケーションを観察し、非言語情報を的確に把握するように努めなければならない。
また、面接法では客観性をいかに保障するかが重要となる。そのため、面接者は映像や録音によってデータを何度も検討したり、質問紙調査法などの他の分析結果と照らし合わせたり、複数の研究者で分析過程を進めたりするなどして、信頼性や妥当性を高めるように留意しなければならない。

第三節:質問紙法の特徴と種類(本論③)

質問紙法は、一定の質問によって個人の経験について尋ねることや、問題についての意見や判断を調査する方法である。

質問紙調査法は、心理尺度法、社会調査法の二つに大別される。
心理尺度法は、人間の意識や行動を測定しようとするものであり、心理検査などがある。
社会調査法は、社会に生起する事象に関する実態をとらえようとするもので、世論調査、社会調査、意識調査など幅広く利用されている。

質問紙調査法の特徴は、調査対象者の意識している内面を幅広くとらえることはできるが、相対的に深いレベルでの理解には限界があるということである。これらを補うためには、観察法や面接法などとの併用を考える必要がある。

また、質問紙調査法で用いられる質問紙は、知りたい対象によって二つに区別できる。
一つ目は、集団の傾向を知りたいときに用いられる調査系の質問紙である。この場合、各質問の内容や、選択比率、行動回数の平均、比率や回数が下位集団ごとにどう異なるかなどが調べられる。属性や意見、行動・実態などが測定内容となることが多い。
二つ目は、個人の特性の強さを知るために用いられる検査系の質問紙である。この場合、特性の強さを数値化するために回答の得点化が行われる。性格や態度、価値観、興味、知識・能力などが測定内容となることが多い。

また、1つの質問紙に両方のタイプの質問が混在することもある。

第四節:質問紙調査法の長所・短所と留意点(本論④)

質問紙法の長所としては、以下の五点のとおりである。
一つ目は、十分な項目数を準備することで個人の内面を幅広くとらえることができる点である。また、対象者の過去から未来にわたって、幅広くとらえることが可能である。
二つ目は、比較的短時間で多人数に同時に実施できる点である。また、大規模な統計的処理が可能であり、結果の一般化をおこないやすい。
三つ目は、紙と筆記用具さえあれば実施できるため、費用が比較的安価で済む点である。
四つ目は、実施条件を斉一にできるという点である。
五つ目は、対象者のペースで回答できる点である。

短所としては、以下の三点があげられる。
一つ目に、個人の内面を深くとらえることが難しい点である。
二つ目は、調査対象者の防衛が働きやすいという点である。例えば、内面を偽って報告したり、回答を拒否するケースなどが考えられる。
三つ目は、適用年齢に制限がある点である。そのため、年少者には一般的に実施することが難しい。

実施上の留意点は、質問項目が多すぎれば回答者の飽きや集中力の低下につながるため、質問項目の分量に注意する必要がある。
また、専門的で複雑な質問表現では回答者が理解できないことにつながるため、質問文をできるだけわかりやすい表現にすることが望ましい。そして、例えば、「神様を信じるか?」のような多義的な表現や、「政府を支持しようと思わないか?」のような否定形が含まれているような紛らわしい表現は避けるべきである。他にも、「政府には多くの無駄な出費があるといわれているが、消費税率を引き上げることに反対か?」のように意図的に調査結果を特定の方向に導こうとする不要な情報の付加も慎むべきである。また、肯定的もしくは、否定的な質問項目を羅列した後では、回答に偏りが生じやすくなるため、質問項目はランダムに並べるのが基本である。

まとめ(結論)

 本レポートでは、面接法と質問紙法について述べてきた。第一節では面接法の特徴と種類について、第二節では面接法の長所・短所と留意点について、第三節では質問紙法の特徴と種類について、第四節では質問紙法の長所・短所と留意点について説明した。

※ここからは、本論で分かったことを各々書いていくと読みやすい結論になるかと思います。

例えば…

△△△から○○という事実が分かり、○○ということが推測される。

□□□からは○○であったため、○○などが存在していた。

このことから○○が△△において大きな役割を担うであろう。

…ような感じで、各々まとめてみると良いかと思います。

レポートのテーマによりますが、まずはテーマと本論の要約をざっくり説明し、次に本論で分かったことを書くと読みやすい結論がおすすめです。

引用文献

参考文献

・大山正、他『新心理学ライブラリ8 実験心理学への招待』サイエンス社2012年
・後藤宗理、他『心理学マニュアル 要因計画法』北大路書房2000年
・サトウタツヤ、他『心理学・入門〔改訂版〕―心理学はこんなに面白い』有斐閣アルマ2019年
・高橋順一、他『人間科学研究法ハンドブック』ナカニシヤ出版2011年
・中澤潤、他『心理学マニュアル 観察法』北大路書房1997年
・森敏昭、吉田寿夫『心理学のためのデータ解析テクニカルブック』北大路書房1990年

教員からの評価とコメント

評価:A

コメント:両手法についてバランス良く述べていると考える。

注意事項

 本資料をコピペやそのまま提出なさらないようにお願いします。
あくまでも、レポートの構成や書き方などの参考用としてご活用ください。

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この記事を書いた人

株式会社カノン・エージェンシーと株式会社ミライト・レンタリースの経営をしております。本業の傍ら、心理系大学院&fromU & 独学で心理学を勉強中です。みなさんに役立ちそうな心理学に関するテーマをアップします!!

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