【心理系大学レポート公開シリーズvol.4】心理学概論~発達段階の特徴~(評価:B)

目次

設題の確認

各発達段階の特徴について述べよ。

<ポイント>

乳幼児期・児童期・青年期・壮年期・老年期など発達段階特有の身体的・心理的特徴について述べ、さらに発達段階でどんな問題行動があるか考察し、その対処法について述べること。

レポート構成(序論)

 発達心理学では、人間の一生をライフサイクルという視点で統一的に理解しようという試みがおこなわれており、代表的なものとしては、エリクソン(Erikson,E.H)の考え方があげられる。エリクソンは、フロイトの心理性的発達論を基礎として、対人関係や社会性の方向に拡張することによって、心理社会的発達論を考えた。この理論では、人間の誕生から死に至るまでの人間の生涯を「乳児期」「幼児前期」「幼児後期」「児童期」「青年期」「成人前期」「成人期」「老年期」の 8 つの段階に分けている。

したがって、本レポートではエリクソンの発達段階に基づき、「発達段階の特徴」について、各発達段階の身体的・心理的特徴について説明し、各発達段階における問題行動とその対処について考察する。第一節では乳児期について、第二節では幼児前期について、第三節では幼児後期について、第四節では児童期について、第五節では青年期について、第六節では成人期について、第七節では壮年期について、第八節では老年期について述べる。

第一節:乳児期(本論①)

 乳児期という発達段階は、主におよそ出生から1 歳半頃までの時期を指す。

この時期は、出生から身長が1.5 倍、体重は3倍になるほど身体の急激な発達と、大脳皮質の急速な発達による運動、認識、学習能力の発達がある。乳児期の終わりになると、言語(発語)と二足歩行等の人間特有の行動が見られるようになる。そして、受けた養育の質によって乳児は環境を信頼し、それを秩序ある予測可能なものとみなすことを学習する。

この時期の心理的発達課題と危機は、「基本的信頼」対「不信」である。養育者が毎日乳児を世話し、やりとりをすることでボウルビイが提唱したアタッチメント(愛着)という感情の絆が乳児との間で生まれる。
つまり、授乳などの養育者による身の回りの世話をしてもらうことで、基本的な信頼感を獲得していく時期である。

しかし、この時期に養育者に十分なお世話をされず、頼ることができなかった場合には、周囲の人間に不信感を持つようになる傾向があるとされている。

第二節:幼児前期(本論②)

 幼児前期という発達段階は、およそ1.5歳~3歳の時期を指す。

この時期は、肛門括約筋をはじめとする全身の筋肉が発達し、自分で立って歩けるようになり、排泄のコントロールが可能となる。

そして、運動能力・精神能力の発達や探求や操作をする機会から、自律・適応・自己統制の感覚が出現する。

幼児前期の心理的発達課題と危機は、「自律」対「恥と疑惑」である。
この時期では、自分の行動をコントロールすることで、自律性を身につけられるとされている。そして、自分でさまざまな挑戦をすることで、様々な意志や感情を手に入れることができる。

しかし、この時期の子どもにあまり挑戦する機会を与えない場合、自律性が育ちにくくなる可能性や、失敗が非難され過ぎてしまうと恥や疑惑の感情を抱くようになり、萎縮する恐れがあると考えられている。

第三節:幼児後期(本論③)

 幼児後期という発達段階は、およそ3~6歳の時期を指す。

この時期は、生活上の自律(排池、歯磨き、食事、入浴)の獲得していき、幼稚園や保育所での社会生活での適応、そのための主体性の発現、友だちとの交流力などが発達する期間である。

この時期の心理的発達課題と危機「自主性」対「罪悪感」である。
この時期は、好奇心が旺盛で遊びも盛んになり、子どもの自発的な知的活動や運動活動に両親がどのように接するかによって、自由や自発性の感覚が生じ、何かをするときの目的意識を持てるようになるといわれている。

しかし、自発的な活動に対して厳しく叱責され過ぎた場合は、自分らしさを発揮することに罪悪感を持つようになってしまうため、自ら行動する力を育むと良いと考えられている。

第四節:児童期(本論④)

 児童期という発達段階は、およそ6~12歳の時期を指す。

この時期は、体力を養い、走る、跳ぶ、投げる、回転するなどの運動技能も巧みになり、さらに球技などの技も磨かれて盛んになる。

思考面では、物事がどのように働き、操作されなければならないのかということに感心を持ち、具体的・客観的な思考ができるようになることで、平和や愛などの抽象的な言葉も理解するようになる。また、集団生活での役割や規則、体制化、秩序化などが生まれるようになり、勤勉な精神や劣等感の克服への努力などが獲得されていく。

この時期の心理的発達課題と危機「勤勉性」対「劣等感」である。
子どもが自主的に学びを深めることや、仲間と集団行動をして成功することなどの体験を通して、自分自身の有能感や自尊心を育むことができると考えられている。

しかし、「周りと比較して、自分にできないことが多い」と感じたり、周囲の人からから責められたりする経験が多いと、失敗しても頑張ろうという気持ちを失い、劣等感を抱くようになるといわれている。そのため、周囲の人は本人が得意な分野や好きなことを見つけるなど、自主的に取り組めるような環境作りのサポートを心がけることが望ましいとされている。

第五節:青年期(本論⑤)

 青年期という発達段階は、およそ12~22歳の時期を指す。

この時期には、生殖機能を備えた大人の男女としての身体の変化である第二次性徴が発現する。また、性的関心の高まりホルモンバランスの変化は情緒や思考を不安定なものに変え、葛藤や不安の中で親や他者への否定的態度が第二次反抗期として顕現化される。

また、この時期では「自分がどんな人間で、何者であるのか」と思い悩み、自分の「アイデンティティ」を探し始める時期であり、進学や就職など自分の人生で選択しなければならない機会が増える時期でもある。

この時期の心理的発達課題と危機は、「自我同一性」対「同一性拡散」である。
将来の選択肢を考えていく中で、自分のアイデンティティを確立できると、自分で選んだ価値観を信じ、それに対して貢献しようといった、自分に嘘をつかず生きていこうとする忠誠といった徳が得られるとされている。

しかし、青年期に自分が何者かといったアイデンティティの確立できないと、「同一性拡散」という状態になり、社会で活躍することが難しくなる可能性があるとされており、その結果アイデンティティの確立を先延ばしにする「モラトリアム」の状態から、抜け出せなくなる可能性が高まると考えられている。

第六節:成人期(本論⑥)

 成人期という発達段階は、およそ22~40歳の時期を指す。

他者と接触しようとすることによって、他者に対する性的、情緒的、道徳的な関わり合いが生じる。

この時期の心理的発達課題と危機は、課題は「親密性」対「孤独」である。
対象に受け入れられ、信頼する対象との仲を深めることができれば、愛情という徳を獲得することができるようになる。

しかし、この時期に対象との関係を上手く確立できず、否定される経験が続いてしまうと、孤独を感じてしまい、心理的な成長もできなくなる可能性があるとされている。

第七節:壮年期(本論⑦)

 壮年期という発達段階は、およそ40~65歳の時期を指す。

この時期は、身体的な衰えを感じ始め、有病率も上昇してくる。

生活経験の関心が自分自身から家族や社会、次世代へと広がっていく。

この時期の心理的発達課題と危機「生殖性」対「停滞」である。
この生殖性は、自分の子どもを育てることだけに留まらず、社会的な業績を得たり、創造をして次世代に何かを残したりすることも、課題の一部であると考えられている。

しかし、もし次世代に貢献することができず、自分自身にしか関心が持てないと、自己停滞に陥る可能性があるといわれている。

第八節:老年期(本論⑧)

 老年期という発達段階は、およそ65歳以上の時期を指す。

この時期は、予備力、防衛力、適応力、回復力などの身体機能が全般的に低下し、日常的な不都合が生じる老化現象が起きる。

この時期の心理的発達課題と危機「統合」対「絶望」である。

この時期に今までの全てを振り返り未知なる死を考え、自分自身の人生を肯定・受容によって統合できると、英知という徳が得られ、残りの人生を穏やかに過ごすことができるとされている。

しかし、この時期に過去の人生を振り返って絶望し、老いに大きな不安を持ってしまうと、落ち込み、精神疾患に陥る可能性が高まると考えられている。

まとめ(結論)

 本レポートでは、発達段階の特徴について述べた。
第一節では乳児期について、第二節では幼児前期について、第三節では幼児後期について、第四節では児童期について、第五節では青年期について、第六節では成人期について、第七節では壮年期について、第八節では老年期について、各発達段階における問題行動とその対処について考察した。

※ここからは、本論で分かったことを各々書いていくと読みやすい結論になるかと思います。

例えば…

△△△から○○という事実が分かり、○○ということが推測される。

□□□からは○○であったため、○○などが存在していた。

このことから○○が△△において大きな役割を担うであろう。

…ような感じで、各々まとめてみると良いかと思います。

レポートのテーマによりますが、まずはテーマと本論の要約をざっくり説明し、次に本論で分かったことを書くと読みやすい結論がおすすめです。

引用文献

・岡田斉『心理学理論と心理学的支援[第3版]【社会福祉士シリーズ2】弘文堂 2018年
・内田伸子『発達心理学キーワード』有斐閣双書 2006年
・櫻井茂男『たのしく学べる最新教育心理学 教職に関わるすべての人に』図書文化 2017

・下山晴彦『面白いほどよく分かる!臨床心理学』西東社 2012年
・社会福祉士養成講座編集委員会編 『新・社会福祉士養成講座2 心理学理論と心理的支援』
中央法規 2015年
・平山諭、他『発達心理学の基礎と臨床①ライフサイクルからみた発達の基礎』ミネルヴァ書房 2003年
・平山諭、他『発達心理学の基礎と臨床②脳科学から見た機能の発達』ミネルヴァ書房 2003  
 年
・福屋武人『老年期の心理学』学術図書出版社 2004年
・古川聡、他『教育心理学をきわめる10のチカラ』福村出版 2011年
・松原達哉 『教育心理学』丸善出版 2013年
・無藤隆、他『よくわかる発達心理学』ミネルヴァ書房 2009年
・渡辺弥生『まんがでわかる発達心理学』講談社 2019年

教員からの評価とコメント

評価:B

コメント:設題に対しておおむね適切にまとめられているが、独自性が足りないことや内容として必要でないことが書かれている点などが気になった。

注意事項

 本資料をコピペやそのまま提出なさらないようにお願いします。
あくまでも、レポートの構成や書き方などの参考用としてご活用ください。



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この記事を書いた人

株式会社カノン・エージェンシーと株式会社ミライト・レンタリースの経営をしております。本業の傍ら、心理系大学院&fromU & 独学で心理学を勉強中です。みなさんに役立ちそうな心理学に関するテーマをアップします!!

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