【心理系大学レポート公開シリーズvol.6】心理学的支援法(心理療法)~代表的な3つの心理療法~(評価:B+)
設題の確認
各種の心理療法の中から、3つの心理療法を取り上げて、それぞれについて論述せよ。
<ポイント>
それぞれの技法について、治療のねらい、その対象者、治療法などについて述べ、その効用と限界について考察すること。自分自身の体験や事例について触れられればより望ましい。
レポート構成(序論)
本レポートでは、心理療法について述べてきた。
第一節では精神分析について、第二節では認知行動療法について、第三節ではクライエント中心療法について、第四節では自身の体験について説明する。
第一節:精神分析(本論①)
精神分析とは、フロイトによって創始された治療法であり、抑圧と呼ばれる機制によって無意識の中に無理に抑え込まれた欲動を明らかにすることによって、症状を改善しようとする治療である。
人の心には、意識・前意識・無意識という3つの心的領域を仮定し、特に無意識の領域が人の言動に大きな影響を与えるとしている。そして、性欲動や攻撃衝動などの基本的な欲動(エス)、欲動をコントロールしていし現実に適応していく自我、両親のような形で理想的な指針を提示する超自我の精神構造を考えた仮定した。
治療法の一つとしては、患者が頭の中に浮かんでくることをそのまま言葉にして分析する自由連想法を用いて、外からの刺激に対して、自分の心を守ろうとする防衛機制を明らかにするとともに、その背後に隠れている無意識の欲動や葛藤について患者が洞察していくのを手助けする。自由連想法では、治療者は患者の全ての言葉に等しく注意を向けて、自分の価値観を患者に押し付けることがないように中立性を維持しながらおこなうようにする。
対象者は、主に神経症など心因性精神疾患に分類される精神障害者である。また、主な治療法が標準型精神分析から精神分析的心理療法に変遷したことや理論が発展したことにより、精神分析の治療対象は大幅に拡大されたが、いずれの場合においても重要なのは、そのクライエントに精神分析が適応となるかどうか十分な見立てを行なうことである。そして、精神分析のみで治療を進めるのか、薬物療法や社会的な面のサポートが必要かどうかなどを検討し、時には多職種の人々と連携しながら治療方針を立てるようにする。
人のこころの働き、あるいは人間が人と人との関係性によって影響を受けることには変わりがないため、クライエントの生い立ちや人間関係や精神内界に思いを巡らせ、そのこころを理解し支援していく際には、精神分析の理論や療法が大いに役立つと考えられている。
第二節:認知行動療法(本論②)
認知行動療法は、ひとりの創始者によって始まったものではなく、様々な技術の総称であり、行動療法と認知療法の二つがその源流といわれている。この療法では、問題や疾患のメカニズムを学習理論や認知理論などの視点から理論化し、歪曲された認知のあり方に働きかけることで心理的苦痛や不安、非適応的な行動パターンを修正しようとする治療である。
ここでは、主に認知理論について述べていく。
歪曲された認知とは、ある状況で自動的にわき起こってくる自動思考と、心の底に気づかれないまま深層に存在している個人的確信であるスキーマによってもたらされると考えられている。
認知療法では、「①自動思考の根拠を探す、②自動思考の結果について冷静に考える、③代わりの考えを探す、といった一連の過程を踏み、継続的に認知のゆがみを修整する力を養うことによって、最終的にはスキーマの修正を目指す。」(1)といわれている。
治療法の一つとしては、認知再構成法をあげることができる。
認知再構成法とは、不安などネガティブな感情に関連している不適応な認知を、客観的に捉えることで、適応的な認知へと再構成していくものである。
以下のようなプロセスが認知再構成法の手順である。
「1.強くストレスを感じた状況や場面を特定する」
「2.その時の感情と自動思考を見定め、強さや確信度を評価する」
「3.検討する自動思考を選択し、様々な角度から検討する」
「4.新たな思考をまとめ、確信度を評価する」
「5.元の感情や自動思考の強さや確信度を再評価する」
また、認知再構成法の他には、近年では第三世代と呼ばれるマインドフルネスやACTといった、問題や症状を受容しようとするクライエント中心療法の考え方と似た技法も提唱されている。
対象者は、主にうつ病性障害をはじめとして、その他にはパニック障害、PTSD、身体表現性障害などが挙げられ、様々な精神障害に効果的であることが実証されていることから、もっとも標準的な精神療法の一つとなっている。また近年では、生活習慣病など、身体疾患に対する効果も認められている。認知行動療法の限界点に言及している文献はあまり多くないが、急性期の患者に対する適用は慎重に判断すベきといわれている。また、認知的な手法などは、クライエントにある程度の知的水準が求められると考えられる。
第三節:クライエント中心療法(本論③)
クライエント中心療法は、アメリカのロジャーズによって創始された精神療法であり、治療者が介入することを極力避けながら、クライエントの主体性と能力を尊重して、患者の話を傾聴することによって、内在している成長する力を開放する治療である。
ロジャーズは、クライエントが自分自身にどのように見えてくるかを理解させることができるならば、あとはクライエントがひとりでやっていくことができるという考え方を主張した。
援助技法としては、指示・批判・説得といった技術を排除した非指示的カウンセリングと、傾聴が重要である。
また、クライエント中心療法における治療者の基本的態度である、無条件の肯定的関心・共感的理解・自己一致(真実性・真実性)も重要である。無条件の肯定的関心とは、クライエントを一人の人間として認め、無条件に肯定的な気持ちをもって接することである。共感的理解とは、クライエントの立場に立って、その気持ちをできるだけ正確に理解しようと努めることである。自己一致とは、クライエントに向かった時の自分自身の内面的感情を理解し、そのまま表現することである。治療者にこれら3つの条件が備わった上に、クライエントの感情に敏感に反応する、感情の反射という技法を用いることで、クライエントは自ら人間的な成長に向かっていくといわれている。
クライエント中心療法の効果については、いくつかの視点から検討されており、疾患別には軽度から中等度のうつに対する非指示的カウンセリングの効果が示されているが、疾患別の効果が示された研究は認知行動療法と比べかなり少ない。また、クライエント中心療法は重篤な事例には適用できないという批判は古くからあり、現在でも根強い。
しかし、クライエント中心療法の効果は疾患別よりもその全体的な関係の効果として確かめられており、治療だけでなく教育場面や職場の人間関係にも応用されている。
第四節:自分自身の体験(本論④)
※ここからは、ご自身の経験と第一節から第三節の心理療法を絡めて、各自書く所になっています。
まとめ(結論)
本レポートでは、心理療法の代表的な理論ついて述べてきた。第一節では精神分析について、第二節ではクライエント中心療法について、第三節では行動療法について、第四節では認知療法について説明した。
※ここからは、本論で分かったことを各々書いていくと読みやすい結論になるかと思います。
例えば…
△△△から○○という事実が分かり、○○ということが推測される。
□□□からは○○であったため、○○などが存在していた。
このことから○○が△△において大きな役割を担うであろう。
…ような感じで、各々まとめてみると良いかと思います。
レポートのテーマによりますが、まずはテーマと本論の要約をざっくり説明し、次に本論で分かったことを書くと読みやすい結論がおすすめです。
引用文献
引用文献
(1)日本精神保健福祉士養成校協会『新・精神保健福祉士養成講座1(第2版)精神疾患とその治療』中央法規2016年 p233
参考文献
・上島国利『やさしくわかる精神医学』ナツメ社2017年
・霜山徳爾、鍋田恭孝 『心理療法を学ぶ』 有斐閣選書2000年
・下山晴彦(監修)『面白いほどよくわかる!臨床心理学』西東社。
・精神保健福祉士養成セミナー1(第6版)精神医学―精神疾患とその治療』へるす出版2017年
・矢澤美香子 編 『基礎から学ぶ心理療法』 ナカニシヤ出版
教員からの評価とコメント
評価:B+
コメント:3つの代表的な心理療法について、基礎的なポイントを踏まえつつ、まとめられているものと思われる。ただし、いくつか意味がわからない箇所や、本来の主旨があった。
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