【心理系大学レポート公開シリーズvol.7】心理学的支援法(演習)~現代社会とカウンセリングの必要性と在り方~(評価:B+)

TA3iPogPSIE
目次

設題の確認

現代人の生活とカウンセリングについて考え、カウンセリングがどうあるべきか述べよ。

<ポイント>

現代の社会状況を捉え、何故カウンセリングが必要なのか、カウンセリングがどのような形で、どういったことに役立っているのか考察すること。

レポート構成(序論)

 本レポートでは、現代社会とカウンセリングについて説明する。
第一節では教育領域におけるカウンセリングについて、第二節では福祉領域におけるカウンセリングについて、第三節では産業・労働領域におけるカウンセリングについて、第四節ではカウンセリングの在り方について述べる。

第一節:教育領域におけるカウンセリング(本論①)

 教育領域におけるカウンセリングは、学校の現場が挙げられる。
近年、学校の現場では、生徒指導上の問題が多発しており、心理職の重要性は年々高まっているといわれている。

文部科学省によると、「不登校児童生徒数(小・中)は、平成28年度133,683名、平成29年度144,031名、平成30年度164,528名」であり、「いじめの発生件数(小・中・高)も、平成28年度323,143件、平成29年度414,378件、平成30年度543,933件」、「学校の管理下における暴力行為発生件数(小・中・高)についても、平成28年度 56,250件、平成29年度 60,197件、平成30年度 69,630件」と年々増加している。さらには、「生徒の自殺状況(小・中・高)は、令和元年度222名」と報告されており、教育の現場では、生徒指導上の問題が山積みであり、保護者や社会全体から課題対応を迫られている。
そのため、1995年に中学校を中心に、154校から始まったスクールカウンセラー事業は、その後小学校や高等学校へ広がり、2018年度は27,809校まで増えている。
また、当初週に1回8時間で、年間35回が基本的な枠組みであったが、学校の規模や、ニーズ、予算等の関係により、1校4時間~12時間、回数も年間数回~40回と、現状に合わせて多様化してきている。
スクールカウンセラー(以下、SC)の役割と業務は、子どもや保護者とのカウンセリングや、教師がSCから子どもの理解や保護者への関わりについての助言を得るコンサルテーション、SCとしての見立てや支援の方針を助言するケース会議等への参加、授業等への協力緊急支援など様々なものがあげられる。
このように、子どもたちのメンタルヘルスを支えていくには、SCの役割は大きいと考えられる。

第二節:福祉領域におけるカウンセリング(本論②)

 福祉領域におけるカウンセリングでは、代表的なものとして児童相談所があげられる。児童相談所は、子どもに関する虐待や非行、障害、養育、しつけなどの問題についての相談を受ける行政機関である。ここには、ソーシャルワーカーである児童福祉司が働いているという一般的なイメージがあるが、心理職として児童心理司も配置されている。児童福祉現場で心理職に求められる役割は、児童福祉司と連携し、相談ケースの心理アセスメント子どもや親への心理療法など心理支援を行うことである。

児童虐待の実態について、「厚生労働省統計情報部 令和元年度福祉行政報告例の概況」によると、令和元年度の児童虐待相談の対応件数は193,780件で、前年度に比べ33,942 件(21.2%)増加しており、ますます児童心理司の必要性は増している。

また、虐待などの理由から家庭で育つことのできない18歳までの子どもたちは、乳児院、児童養護施設、里親とファミリーホームなどで約4万人の子どもたちが生活しており、そのうち約6~7割が被虐待経験をもつといわれている。そのため、愛着障害や PTSDなどの心理的状態を示すことも多く、心理療法担当職員によるカウンセリングは非常に重要だといえる。

第三節:産業・労働領域におけるカウンセリング(本論③)

 産業・労働領域におけるカウンセリングでは、職場生活のメンタルヘルス、職場の人間関係改善、キャリア形成などの働く人たちが抱える問題を、心理学的手法を用いて、自らの力で解決できるように援助することがあげられる。

近年、ブラック企業や長時間労働、ハラスメントなどにより、メンタルヘルスの不調が引き起こされる問題は相次いでおり、職場における心理カウンセリングの重要性はますます高まっている。

産業・労働領域における最近の動向については、「メンタルヘルス指針、過労死等防止対策推進法、ストレスチェック制度」があげられる。
2006年の労働安全衛生法の改正に伴い「労働者の心の健康の保持増進のための指針」(メンタルヘルス指針)が策定され、事業者はメンタルヘルス対策を行うことが努力義務となった。
また、2013年には、国連の社会権規約委員会が、日本政府に対して長時間労働や過労死の実態に懸念を示した上で、防止対策の強化を求める勧告を行った。これより、2014年に「過労死等防止対策推進法」が公布された。
2015年には「ストレスチェック制度」が施行され、制度の主旨は、メンタルヘルス不調の一次予防である。そして、高ストレスと判定され、且つ本人が希望した者に対する医師による面接指導が事業者に義務化されるとともに、ストレスチェックの結果を集団分析し、分析結果をもとに職場改善を図る取り組みが努力義務となった。

こうした法改正等の背景には、目まぐるしく変化する社会情勢が影響している。 近年、労働者を取り巻く環境は、経済や社会の大きな変動にさらされて、産業構造の変化や技術の革新、国際的な競争の激化に対応するために、各企業が打ち出すリストラ策などは、雇用情勢や雇用形態の多様化に大きく影響し、雇用は不安定なものになりつつある。このような環境に置かれる労働者たちは、他人や職場全体に配慮をする余裕がなくなることや、職場全体に影響力を持つ管理監督者も、業績のプレッシャーなどから同じような状態にある。

このような状況に適切な対処ができず、さらなるストレスの増大や、ハラスメントなどの対人トラブルも発生している。こうした変化が職場におけるストレスや悩みの原因となり、それらが積み重なることでメンタルヘルスに不調をきたし、場合によっては、こころの病気になって会社を休まざるを得なくなり、最悪の場合は自殺に至ってしまうこともある。
このように、働く人たちのメンタルヘルスを支えていくには、心理職の役割は大きいと考えられる。

第四節:カウンセリングのあり方(本論④)

 最後に、カウンセリングとしての根本的な考えや姿勢など、カウンセリングのあり方について考察する。
どんなに時間をかけてカウンセリング心理学や臨床心理学、心理学の書物を読み、講義を聴いて知識を蓄えたとしても、実際に良いカウンセリングができる保証はない。カウンセリングは、生身の人間に対して行う援助的活動であるため、生きたカウンセリングの学びは本物のクライエントと対面するところからはじまるものだと考える。
また、理論や技法、事例検討なども重要なものであるが、どんなカウンセラーであれ、それらを支える土台となる「カウンセラーとしての姿勢」が最も重要であると考えている。具体的には、カール・ロジャーズが提唱した「共感的理解、無条件的受容、自己一致」の3つの基本的姿勢が挙げられる。これらのことは、カウンセラーに限らず、人間関係を築くための根幹をなしているとも考えられる。
國分によると、カウンセリングとは、「言語的および非言語的コミュニケーションを通して、相手の行動の変容を援助する“人間関係”」(1)とも述べている。カウンセリングは、生身である多様なクライエントと”人間関係“を構築することを常に念頭に置かなければならないものだと考える。

まとめ(結論)

 本レポートでは、現代社会とカウンセリングについて述べてきた。
第一節では教育領域におけるカウンセリングについて、第二節では福祉領域におけるカウンセリングについて、第三節では産業・労働領域におけるカウンセリングについて述べ、第四節ではカウンセリングの在り方について考察した。

※ここからは、本論で分かったことを各々書いていくと読みやすい結論になるかと思います。

例えば…

△△△から○○という事実が分かり、○○ということが推測される。

□□□からは○○であったため、○○などが存在していた。

このことから○○が△△において大きな役割を担うであろう。

…ような感じで、各々まとめてみると良いかと思います。

レポートのテーマによりますが、まずはテーマと本論の要約をざっくり説明し、次に本論で分かったことを書くと読みやすい結論がおすすめです。

引用文献

引用文献

(1)國分康孝『カウンセリングの理論』誠信書房1980年p.5

参考文献

・厚生労働省2019年『児童虐待相談対応件数の動向』(2020年7月20日取得、
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kodomo/kodomo_kosodate/dv/index.html)
・下山晴彦(監修)『面白いほどよくわかる!臨床心理学』西東社2012年
・玉瀬耕治『カウンセリングの技法を学ぶ』有斐閣 2008年
・野島一彦『臨床心理学への招待(第2版)』ミネルヴァ書房 2020年
・福島脩美『総説カウンセリング心理学』金子書房 2008年
・文部科学省2019年『児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査結
果について』(2020年7月20日取得、
https://www.mext.go.jp/b_menu/houdou/31/10/1422020.htm)

教員からの評価とコメント

評価:B+

コメント:現代の統計が使用されており、とても分かりやすい内容だった。しかし、何から得られたデータなのかを文中に記す必要がある。また、句読点が多すぎるため、一文を短くする必要がある。

注意事項

 本資料をコピペやそのまま提出なさらないようにお願いします。
あくまでも、レポートの構成や書き方などの参考用としてご活用ください。

この記事が気に入ったら
フォローしてね!

よかったらシェアしてね!

この記事を書いた人

株式会社カノン・エージェンシーと株式会社ミライト・レンタリースの経営をしております。本業の傍ら、心理系大学院&fromU & 独学で心理学を勉強中です。みなさんに役立ちそうな心理学に関するテーマをアップします!!

コメントをどうぞ

コメントする

目次
閉じる