好きなことを仕事にしてはいけない!?
「好き」以外の視点から考えておく必要性
「好きなことを仕事にしよう」これは就職や転職時に、よく聞くキャリアアドバイスです。
また検索エンジンなどで「就職」と検索すると、「就職 好きなこと」と予測が出るほど、多くの人が好きを仕事にしたいと考えていることがわかります。
しかし、現実には…「好きなことやってるはずなのになぜだか辛い」
または…「これがほんとに好きなことなのか分からなってしまった」
もしくは…「自分の好きなことがわからないなんて自分はダメなんじゃないか」など
「好きを仕事に」に囚われすぎるあまりかえって苦しんでいる人も多いのではないかと思います。
今回のブログでは、なかなか強烈なタイトルなんですが…実はアオジュンは、好きを仕事にすること自体を否定するつもりはありません。
自分の好きなことに巡り会い、そして、それを仕事しているということは、本当に素晴らしいことだと思っています。
アオジュンが伝えたいポイントは、「好きなこと」という一本槍だけで、仕事を決めてはいけない…ということです。
仕事選びをする時には、「好きなこと」以外にも、例えば…自分の「得意なこと」を基準に考えてみたり、「ワークライフバランス」を基準に考えてみたり…「好きなこと」と同じくらい大切にしなければならない点は他にもたくさんあるはずです。
今回のブログでは、著者鈴木祐さんの書籍「科学的な適職」を基に研究結果をお伝えします!!
…ということで、今回は「好きなことを仕事にしてはいけない理由!?」について、4つの研究を中心に解説していきます。
好きな仕事しない方が幸福度は高い!?
2015年、ミシガン州立大学が「好きなことを仕事にする者は本当に幸せか?」というテーマで大規模な調査を行っています。
数百を超える職業から聞き取り調査を行い、仕事の考え方が個人の幸福にどう影響するかを調べました。
研究チームは、被験者の「仕事観」を適合派と成長派の2パターンに分類しました。
◉1つ目は、「好きを仕事に派」
「好きなことを仕事にするのが幸せだ」と考え、「給料が安くても満足できる仕事をしたい」と答える傾向が強いタイプ。
◉2つ目は、 「割り切り派」
「仕事は続けるうちに好きになるものだ」と考え、「そんなに仕事は楽しくなくてもいいけど給料は欲しい」と答える傾向が強いタイプ。
一見、「好きを仕事に派」の方が、自分が情熱を持てる仕事をすれば毎日が楽しく、お金目当てに働くよりも人生の満足度は高まり、幸福度も高そうな気がしますよね?
…ところが、結果は意外なものでした!!
「好きを仕事に派」の幸福度が高いのは最初だけで、1年~5年の長いスパンで見た場合、「割り切り派」の方が幸福度・年収・キャリアなどのレベルは高かったそうです。
研究チームによると、(「好きを仕事に派」は自分が情熱を持てる職を探すのがうまいが・・・実際にはどんな仕事にも好きになれない面がある)と言っています。
つまり、いかに好きな仕事だろうが、現実にはやりたくないことをやらなければいけなかったり、やり方に納得がいかなかったり、対人トラブルがあったり・・・といったことは、仕事をする上で当然起こります。
そして、「好きを仕事に」・・・と求める気持ちが強いと、その分だけギャップを感じやすくなります。中には「今の仕事を本当に好きなのだろうか?」といった疑問が生まれるようになり・・・その結果、最終的な幸福度が下がってしまう・・・と考察しています。
一方、「割り切り派」は?
…というと、仕事への思い入れがない分だけトラブルに強い傾向があります。もともと仕事に大した期待をしていないため、小さなトラブルが起きても「仕事とはこんなものだ」と割り切って考えられるそうです。
また、「割り切り派」は、他にも離職率が低く、スキルも身につきやすいという結果出ているそうです!!
割り切って働いたほうがスキルも離職率も優秀!?
オックスフォード大学が行った研究では「好きを仕事にした人ほど長続きしない」との結論が出ています。
この研究では、北米の動物保護施設で働く男女にインタビューを行った調査で、研究チームは被験者の働きぶりをもとに3つのタイプに分けました。
1つ目は、好きを仕事に派
「自分はこの仕事が大好きだ!」と感じながら仕事に取り組むタイプ。
2つ目は、情熱派
「この仕事で社会に貢献するのだ!」と思いながら仕事に取り組むタイプ。
3つ目は、割り切り派
「仕事は仕事」と割り切って日々の業務に取り組むタイプ。
その後、全員のスキルと仕事の継続率を確かめたところ・・・もっとも優秀だったのは「割り切り派」だったそうです!
一般的には、情熱を持って仕事に取り組んだ方が良さそうに考えますが、実際には「仕事は仕事」と割り切ったほうが、作業の上達が速く、すぐに仕事を辞めない傾向にあったわけです。
このような結果が出た理由は、1つ目に紹介した研究と同じです。
もし好きな仕事に就職したとして…最初のうちは喜びを感じられたとしても、どんなに好きな仕事にも、やりたくない業務はあるものです。
好きなことを仕事にしていた人ほど、「本当はこの仕事が好きではないのかもしれない」や「本当はこの仕事に向いていないのかもしれない」…と理想と現実のギャップに苦しみ、モチベーションが大きく上下するようになります。
そして、結果として、安定したスキルは身につかず、離職率も上がってしまうそうです。
好きを仕事にと固執するあまり…理想が高まり、現状の仕事に不満があると、もっと良い場所があるのではないかと…転職を繰り返す、いわゆる「青い鳥症候群」や「ジョブポッパー」になってしまうことにも繋がりかねません。
なので、仕事を選ぶ前から「好きを仕事に」と決めず、なんとなく仕事を始めてみる…というのも選択肢の一つかもしれません。
実際に、天職に就くことができた人の大半は、最初のうちはなんとなく仕事を始めて、努力していくうちに情熱が高まり、天職に変わった…という研究も存在しています。
結果として好きな仕事に変わっていく!?
2014年にロイファナ大学が多数の起業家にアンケートを行い、「いまの仕事をどれだけ天職だととらえているか?」を尋ね、「仕事に投入している努力の量」や、「毎日どれだけワクワクしながら働けているか?」といったポイントをチェックしたそうです。
研究の結果、次のような事実がわかりました。
1つ目は、「今の仕事に対する情熱の量は、前の週に注いだ努力の量に比例していた。」ということ。
2つ目は、「過去に注いできた努力の量が多くなるほど、現時点での情熱の量も増加していた」ということ。
つまり、最初のうちはなんとなく仕事を始めてみたものの…努力を注ぎ込んでいくうちに情熱が高まり、天職に変わった人がほとんどだったということです。
また、被験者の中には、最初から自分の仕事を天職だと考えていた人はほとんどいなかったようです。
また、ジョージタウン大学のカル・ニューポート氏は、自分の仕事を「天職」だと考えている人たちにインタビューを行ったそうです。
その結果・・・「天職に就くことができた人の大半は、事前に『人生の目的』など決めていなかった。彼らが天職を得たのは、ほとんどが偶然の産物だったそうです」
つまり、仕事の種類や内容は、適職探しにほとんど影響を与えないということです。
逆に言えばどのような仕事だろうが、あなたにとっての天職になる可能性があるということです。
仕事は先に好きになるものではなく、後から好きになるものかもしれません。
なので、「好きを仕事に」…と先に決めてしまうということは、時として、天職に巡り合う機会を失っているかもしれません、
やりたいことの見つけ方の著者 八木仁平さんは、本書の中でもこう述べています。
「好きなこと」を最初に決めるのではなく、やりたい仕事を見ける順番は「好きなこと」よりも先に「大事なこと」。
つまり、価値観。
次に、「得意なこと」、そして最後に「好きなこと」を決めることで、やりたい仕事が見つかるそうです。
ここでは、細かい説明は割愛しますが…
仕事選びをする際には、やはり「好き」という観点だけでなく、その他の要素でも十分に検討する必要があるようです。
まとめ
…というわけで、今回のまとめ!!
「好きなことを仕事にしてはいけない理由」について、ポイントは3つ。
まず1つ目は、「好きな仕事しない方が幸福度は高い」
好きを仕事にしない人は、仕事への思い入れがない分だけトラブルに強い傾向があり、もともと仕事に過剰な期待をしていないため、「仕事とはこんなものだ」と割り切って考えられ、好きを仕事にした人よりも、幸福度・年収・キャリアなどのレベルは高かったようです。
2つ目は、「割り切って働いたほうがスキルも離職率も低い」
どんなに好きな仕事でも、やりたくない業務はあるものです。
好きを仕事にしていた人ほど、現実のギャップに苦しみ、モチベーションが大きく上下し…そして結果として、安定したスキルは身につかず、離職率も上がってしまうようです。
3つ目は、「結果として好きな仕事に変わっていく」
最初のうちはなんとなく仕事を始めたのに、それに努力を注ぎ込むうちに情熱が高まり、天職に変わった人がほとんどだったそうです。また、自分の仕事を「天職」だと考えている人たちは、事前に天職だと決めておらず…彼らが天職を得たのは、ほとんどが偶然の産物だったそうです。
ちなみに、この「好きなことを仕事にしてはいけない理由」はアニメーション付き動画として、youtubeで解説しています!!
よかったら併せて見てみて頂けると、幸いです!
最後までお付き合いいただき、ありがとうございました!!
心理学研究所のアオジュンでしたーーーー!!
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